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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
36/3916

進化と真価の本領

※色々と説明不足な所がありますが、それは次の話で補完させて頂きます。


今日はもう寝かせて下さい……

「グ……ぁ……ゴフッ……」

 口から血の塊を吐き出す、エミリーの一撃によって約1500m程吹き飛ばされ森へ墜落。

 何とか生きているものの、動くことすらままならない。

(ってぇ……。両腕で庇ってもこれかい……)

 両腕の骨は完全に砕け散ったどころか、あらぬ方向に曲がっていて肉体的にも視覚的にも痛い。

 ガードごとぶち抜かれた性で肋骨も粉々、墜落の際にあちこちぶつけて更に折れたりその手前まで逝ってる箇所もある。所謂、虫の息と言うヤツだ。

(だが――これで)

 ――勝てる。

 確信を抱く、彼自身にしかにしか解らない論理だが、ずっとこの時が訪れるのを待ち焦がれていた。

 廣瀬悠理には切り札がある、ずっとその存在を疑ってきた能力が。

 その名を――――“千変万化”。

 ノレッセアに来て()()()()()使()()()()()()()

 ずっと、不思議に思っていたことがある。

 カーニャ達と会った時、すんなりとこの世界のことを受け入れた自分。レーレと対峙した時、恐怖を勇気で捻じ伏せて戦う覚悟を決めた自分。

 どうして簡単にそんな事が出来たのだろう?

 あの時も疑問に思ったが、一度は結論に辿り着いた。

 ――自分は変質している、と。

 

 あれから悠理はこの変質を意図的に起こせないかと考え続け。その方法の一つを現在強行中。

 もしもそれが――――()()()()()()()()|成()()()()()()だとしたら?

 あくまでの可能性、自分の中にある不確かな根拠を元に一か八かの大博打。

 前回、前々回とこの能力で変質したとされるのは精神。

 今回望むのは肉体の強化、それもとびきり凄まじいのを。

 だが、先程のエミリー戦で何度か試したものの、既存の力を応用する術が身に付くだけだった。

 精神強化はあれほど容易だったのに、何故肉体強化が出来ないのか……。

 そこでふと気付く、あの時は望む自分が明確だった。望む強靭な精神イメージがハッキリしていた――――つまり、肉体にも同じことが言えるのではないか? 

 求めるイメージが明確でなければ発動しないと言うのなら合点はいく。侵入(ハッキング)でゴーレムの情報を取得していれば或いは使用可能だったかも知れないが……。


(耐え切れないのなら――)

 だが、今は違う。エミリーの一撃を受けたのは身をもって知る為。

 全身のダメージを情報源として望む肉体イメージを算出……完了。

 悠理の身体を虹の光が包み込む。もっと強く、もっと頑強に、もっとタフネスに。

 ――耐え切れないのならば、耐え切れる肉体に改造してしまえばいい!

「――それだけの、こと――だ!」

 人間でなくなる可能性もある中、悠理はそれだけのことと一言で済ませる。

 既に覚悟は出来ている。博打はハイリスクハイリターンだからこそ面白い。

 彼はそう考え、ひたすら肉体のイメージを固めていく。

 虹の輝きが一層強さを増し、悠理の姿を掻き消していく。

「ぐ、ぐぅぅ……ガぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 絶叫と咆哮の入り混じったソレに呼応する様に虹の光が柱となって天に昇っていく。

 強烈な光と共に迸るそれが止むまでそう時間はかからない。

 ――――そして、光が消滅した時そこから現れるのは何者か。

 それは直ぐに解る、そう直ぐに……。 


――――――――

――――――

――



 ――少々時間を遡る……。

「よくやった、偉いぞエミリー!」

『ゴー……』

 勝利を確信したリスディアが愛しのペットを褒め称えると、エミリーは照れているのか、その巨大な手で頭を掻いた。

 侍女達は戸惑いつつもその様子を見て戦闘終了を悟り、どこか気を弛めてしまっている。

「ふふん、貴様等今泣いて謝れば命だけは助けてやるぞ?」

 鬼と錯覚していた男が視界から消え、ようやく侍女の背中から出てくるリスディア。

 どうやらもう終わった気でいるらしい。例え、悠理を倒したとしてもここに二人居ると言うのに。 

『ん? 何言ってんだお前?』

 何たる甘い考え、しかもレーレとの実力差にも気付けていない。

 彼女がその気になれば、エミリーなど相手にならないと言うのに。

「妾の寛大な心を理解できぬか? これだから下賎の輩は――」

『いや、まだ勝負はついてないだろ?』

 完全にエミリーの勝利を信じて疑わないリスディア。そしてレーレもまた信じて疑わない。

 ――――ユーリがこの程度でくたばると思ってんのか?


「は? 何を――――――――ヒッ」

 不可解な言動突き詰めようとした瞬間、轟音が響く。

「な、何だ? 光の……柱?」

 音の方角に光の柱が立ち昇っているのその場の全員が目撃する。

 煌く虹の柱――その色はあの男を連想させるに十分足るものだった。

『おー、随分派手だなぁ――――おい、エミリーとか言ったか?』

『ゴー?』

 敵からの呼びかけにエミリーは律儀に反応した。何か御用ですか?、と言う様に首を傾げて。

『避けるか防御するした方が良いぞ5秒以内にな』

『ゴ?』

 言葉の意味を理解しかねて再度首を傾げようとした時―――――突然、巨体が真後ろに吹き飛んだ!

「え、エミリィィィッ!」

 一瞬の出来事過ぎて何が起きたのか解らない。少なくとも、リスディアや侍女達にはいきなりエミリーが3mほど吹っ飛んだ事実だけ与えられ、そこへ至る経緯がサッパリだ。だが、()()()()()()

「ま、まさか……」

 ファルールはその姿を捉えていた。唐突に森から高速で飛び出した何者かがエミリーを殴り飛ばし、今地面へと着地したのを……。


「おー、思ったよりも吹っ飛んだな」

 ――その男は紛れも無く……。

「ミスター! 無事だったのだな!?」

 ミスターフリーダム――廣瀬悠理。

 重傷だったハズの身体は何事も無かったみたいに元通り、彼は彼のまま人間の姿を保っている――――少なくとも外見上は。

「ん? ああ、そうでもねぇさ」

 今しがたエミリーを殴り飛ばした右手……皮膚が裂け骨が露出している。それと、腕の骨が衝撃に耐え切れなかったらしくヒビが入っており、力なくだらんと垂れ下がっていた。

「――しゃあねぇ、もう、一回だ!」

 無事な左手で右拳を強引に握らせ――――千変万化を発動!

 虹の光が炎と化して悠理の身体を包み込む。

『――本当に底が知れねぇなお前は……』

 死神であるレーレにはそれが如何なる現象か見当がつく。悠理は現在一足飛びで肉体を強化している。

 本来ならば、人間の肉体は鍛錬に鍛錬を重ねてゆっくりと強くしていくもの。でなければ負担に耐え切れず逆に肉体を破壊する要因になりかねない。

 一足飛びなんて出来るハズもなければ、そもそもがその方法だって簡単には見つからない。

 その常識を――――。


「っしゃあっ! これでもう大丈夫!」

 ――――悠理は簡単に飛び越えてしまう。

 虹の炎が退いた頃には右腕は完全完治完了。外見も中身も元通り――いや、()()()()()

「かかってこいよエミリー。()()()()()()

 既に起き上がっていたエミリーに掌で挑発。いつか見たカンフー映画の真似事だ。

『ゴォォォォォォォッ!』

 雄たけびを上げ、地面を揺らしながら突撃してくるエミリー。

 悠理はその場で拳を構える、最初はグーのポーズで。

 相手が拳を振り上げ、ジャン、ケン……ポンッ!

「うおりゃッ!」

 迫り来る巨大な拳に拳で応じる。ぶつかり合った衝撃は凄まじく、突風なってその場を揺るがす。

 両者そのままピクリとも動かない。

「ヒッ、エミリーのパンチを受け止めたじゃと!? や、やはり鬼じゃアイツは!」

 ありえない光景に身を竦ませ、再びリスディアは侍女の影に隠れて震え上がった。


「どうだ? 押し返せねぇだろ?」

『ゴ、ゴゴ……』

 エミリーは拳に全力、全体重をかけている――――それなのに。

 全く動かない、こちらが押し返される事もない為、完全にお互いの力は拮抗していると判断しても良い。

 だが有り得るのだろうか、そんな事が。自分よりも遥かに小さい相手が、この巨体から繰り出される超重量級の一撃と同等の破壊力を生み出すなんて。

「――――でも、俺は更にもう一段階あるんだなッ!」

 そんなエミリーの疑問を嘲笑うように、悠理は更に上を行くと宣言し、実行に移す。

 右腕から一瞬虹の光が立ち上ったかと思うと、みるみるうちに丸太並の太さに巨大化。エミリーの拳を少しずつ押し返していく。

「あ、あれはグレフどのの剛腕!」

 見た目は確かに似ているが実際は擬きに過ぎない。

 あちらは祝福による身体強化、こちらは()()()()()()()()()()()()()()()

つまりこれは最早特殊な能力ではなく、彼にとってはもう当たり前に出来ること。

「ぬおりゃッ!」

『ゴっ!?』

 一層力を込めて拳を殴り飛ばせば、ついに均衡が破れエミリーは大きく体制を崩し、たたらを踏んで後退。

 ――この隙を逃しはしない。


「おおぉぉぉぉぉぉッ!」

 地面を蹴って弾丸の様に加速し、右拳を叩きつける。最早、ゴーレムの岩肌をも超える強度に変質した

悠理の拳は全力で攻撃しても傷つくことがない。

 また一歩後退、今度は後ろに回りこみ背中を全力で殴り飛ばす。再び正面へ、次は右、左、上、下

、息をつかせる間を与えぬ連続攻撃を仕掛ける悠理。

 エミリーは成す術もなく、尋常ならざる速度と一撃一撃に翻弄されるがまま。

 攻撃力、耐久性とも遥かに上回っていたはずが、今はそれも相手に部がある。

 その上、元々巨体故に致命的な弱点だった速度がここに来て更にエミリーを追いむ要素となってしまう。何せ、悠理は速度も爆発的に向上している。

 これでは一か八かで一撃に全力を賭けてもあっさりと避けられてしまうのがオチだ……。

『ゴ、ゴー……』

 頑強な岩肌に亀裂が入り始め、心なしかエミリーの戦意が薄らぐ。

 それもそうだろう、最早勝つ術が無い。防御のみに意識を集中すれば負ける事は無いかも知れないが、再び悠理が肉体強化をしてきたら耐えられる自信は無かった。

「――エミリー、ありがとう」

『ゴッ!?』

 いつの間に耳元に居た悠理が囁いたのはお礼。そのあまりの突拍子のなさにエミリーも動きを止める。


「お前のお陰で強くなれた。お前とここで出会えたのは実に幸運だった」

 レーレの時は無我夢中で、ファルールの時は拮抗状態から意表をついて何とか勝利。

 こうして肉体強化に辿り着ける程の激戦を繰り広げられたのは、自分が持つ他の能力が一切通じないゴーレムだからこそ。

 その事に悠理は素直に感謝する。

「故に容赦はしない、この一撃でお前を倒す。他の連中に手は出さないから、安心して倒れるといい」

 自分をより高みに導いてくれた相手だからこそ敬意を持って接し、全力で打ち倒す。

『ゴー……』

 観念したのか、悠理の言葉に安心したのか、攻撃のそぶりは見せずエミリーは大人しく最後の一撃を待つ。

 ただし、残りの力総てを防御に割り当てた。恐らくきっと、こうでもしない限り自分はバラバラに砕けると言う予感に従って。

 そして――――予感は見事的中する。

「――――廣瀬流・()()(くだ)()!」

 悠理の放った一撃――――いや、()()によって全身に亀裂が入っていき、耐え切れずエミリーが膝をついて、大きな音を立てながらそのまま前のめり倒れて行く……。

 一同唖然、唯その一言に尽きる。誰もがその状況を把握出来ずに口を開けて呆けていた。

 いずれにしろ、これにて決着。

 2000対3の本来なら絶望的とも言えるこの戦いはこうしてあっさりと終わりを告げた……。

冒頭で言ったとおり、説明不足な回でした……


戦闘回となるとやっぱり書きたい事が多すぎて時間が足りず……


今回の様に説明を次回に持ち越すという苦肉を策を使わざるを得ない……


あー、有休使って一日中執筆していられればもう少しまともにかけるんだろうケド

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