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炎と風は虹に寄り添う5《深夜勤務マン5・暫定》
『…………は?』
思わずと言った様子でアルルウェロメノレーカは口をぽかんと開けてしまう。
ユーリの身体を拘束していた黒い靄が、カズラクロウスが起こした一陣の風によって吹き飛ばされてしまったからだ。
――何故? 何でそんなことが出来る?
ハッキリと見下していた相手が起こした奇跡……或いは神業と言って良いその結果を彼女は認められないでいた。
なんて事はない。風とは空気の流れ。そして空気はそこにあるもの。そこにあるものとは――空間に通じるモノ。
つまりはカズラクロウスにだってその素養はあった訳だ。
適性においては遥かにアルルウェロメノレーカの方が有利であったとしても。




