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さらっと現実へ帰還して……5《深夜勤務マン1・暫定》
『……あれ?』
雷龍王の娘は首を傾げた。文字通り、電光石火の如くユーリへと飛び掛かろうとしたのに、出来なかった。驚いて足に違和感を感じて、見てみれば――。
『――へぇ、ぼくの邪魔をするなんて。いがーい』
カラカラと楽しそうに嗤う彼女の足元は黒い靄で覆われていた。ガッチリと拘束されている訳ではないが、足首までどっぷりと異空間に呑み込まれていては踏ん張りも効かない。
力があっても抗えない。こうして無効化してくる相手など数が知れている。




