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それは“象徴”なんて呼ばれてた3《調整2・暫定》
ユーリ・ヒロセは出身の並行世界の地球において数少ない“例外”だった。
それは“象徴”と関り、その死に立ち会って尚、何事もなく生き残ったからに他ならない。
だから何かあるのか? と聞かれれば『特に』と答えるしかない。
ただ、本来なら避けられない事象――陳腐な言い回しを使えば“運命”を変えて、或いは超えてしまった人間は予想の外に行ってしまう。
これが難病を克服した、奇跡が起きて間一髪危機を免れた――なら問題なかった。
“象徴”に関わった者の顛末は揺り戻し。
世界が定めたシステムによって生まれる半ば強制的な結末。
普通の人間に避けられる訳が無い。




