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それは“象徴”なんて呼ばれてた《遅番マン5・暫定》
話をしよう。それは“象徴”なんて呼ばれてた。
ユーリ・ヒロセの出身地である並行世界の地球。
人にはそうだと認識できない役割を持った存在のこと。
それは居るだけで周囲一帯を守護する――敢えて言うなら“霊的”な存在だ。人間の姿と命を持っているから、“霊”ではないのだけれど。
だが、周囲を守護すると言う力……それは裏を返せば、“象徴”を喪えばその加護は消え失せる。
ユーリの世界で起きた大災害や、戦争に発展した悲劇の多くについてはこの“象徴”が失われた為だ。
誰も認知出来ないから、知られてはいないけども。
そして彼も覚えていないけれど、彼は目の前で“象徴”が死ぬ瞬間を見た。
それだけで、彼はもうイレギュラーな存在になってしまったとも言える。




