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ユーリの光とローラの闇4《深夜勤務マン5・暫定》
ユーリは別に聖人ではない。性格だってあまり良いとは言えないし、周りが思う程に前向きな性格もしていない。
彼はただ、生きている以上、前に進まなくてはならない、と。そう言う固定観念に囚われ、怯え、それでも止まる事だけは無い様に走り続ける事を選択しただけだ。
他人はそれを、彼を強いと言う。辞めた職場の後輩に『皆が皆、貴方ほど強くない』と。
ユーリはそれを聞いた瞬間、盛大に顔を顰めた自信も記憶もある。
実際にユーリは自分が強いなどとは考えた事はない。
だが、強くありたいとは思っている。そう願い、念じて、少しでも理想に近付こうと心がけて生きる人間と、それさえしない人間に差が現れるのは当然のこと。




