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黒幕と凍り付いた心4《健康診断・暫定》
ユーリ達が向かっている神殿の最奥……。
その周囲を凍てつかせている氷は暗い色をしていた。神殿内は灯りらしいものがないのに明るく、視覚の確保に難儀はしないが、此処だけは違った。
暗い、暗い、凍てついた氷。それはその人間の深い孤独と拒絶を更に強固にしたと言う象徴であったのかも知れない。
「――――」
最奥……そこにあるのは巨大な玉座。何故、そこにそんなモノが? と聞かれれば、それは造られたからだろう。その証拠に玉座は暗い氷で造られているのだから。




