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奥へと一歩4《遅番マン3・暫定》
「そーれー」
――無双。
イルドゥニーカが引き起こしている惨状はまさにそう言って差し支えないものだった。
これが人や大虐殺、環境なら大破壊。しかし相手は無機物だし、この建物もそうそう“崩壊”するようなものではない。それを知った彼女はまさに水を得た魚。
彼女のそれは手で触れなければ効果が無い。襲い掛かってくる敵は量が量の群体とは言え、それぞれは小さな個体。けれどもその材質が弱点でもあった。
「ほいっと」
ユーリが手を振ると獲物に群がる獣の様だった敵はそれぞれが薄い糸でつながる様にして停止。
そこにイルドゥニーカが触れれば……一網打尽と言う訳だ。




