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極端な望みの果て5《遅番マン・暫定》
『――――ッ!!』
声帯などあろうはずもない氷の龍がそれでも咆哮を上げる。すると途端に吹き荒れる吹雪が周囲を白く染め上げて行く。
「…………」
“生命神秘の気”による保護膜を纏っていながらも、ユーリはそこに込められた“孤独”と“拒絶”の意思を感じ取った様な気がした。この龍を作ったのが彼女であったならば、だが。
推測でしかなかったそれは途端に確信に変わっていく。彼女の何を知っている訳でもない。付き合いは浅く、そして彼女には一度忘れさられている……それでも、尚。
それでも尚、孤独と拒絶の吹雪は彼女が生きた西方の大地を彷彿とさせる。




