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事態は待ってはくれない3《遅番マン5・暫定》
「厄介だな」
「うん。操られててもハレィピナは斬れないね」
ハレィピナと戦闘――いや、彼女を牽制する程度の足止めを繰り返しながら、姉妹はさも『面倒くさい』と言った顔をした。
こう、非常にぬるぬるとした動きで剣戟を躱すハレィピナはまるでウナギみたいだった。掴もうとしても掴みきれない。その動きの緩急が一定ではないのだ。動きが止まって、『隙アリ!』と剣を振るってもぬるっと避けられる。彼女の技術は操られて鈍っていても健在。何故なら尋常ならざるレベルで肉体に染みついているから。言わば、呼吸と同じ。多少、リズムは狂っているかも知れないが、呼吸は呼吸。自然とできるもの。




