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異世界に来たら頻繁に死にかける件について5《読書マン・暫定》
「うーむ……」
イルドゥニーカから話を聞き終えたユーリは唸った。
正直、厄介なことこの上ない。それは確かに悪夢のようなこの空間に相応しいものであったが故に。
此処では自分のトラウマとも言える部分を直視させられる。しかしも、それに抗えない。
刺激されたトラウマはそのまま表層の人格を乗っ取って暴れ始める。この間、抵抗らしい抵抗は出来ないのだそうだ。思考に霧がかかっているような状態であったと言う。
一つだけ良い報告があるとすれば――。
「完全にー、乗っ取られる訳じゃー、ないみたいー、ですー」
――なんとアレでも六割程度の力しか出てなかったらしい。
加えて、本人の戦い方を忠実にトレースしているから、想定外の攻撃はしてなかったとのこと。




