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イルドゥニーカの悪夢5《読書メン2・暫定》
――彼はまるで悪夢の様だ。暗い夜に朝日を呼び込む悪夢。
人を絶望から引き上げる事が必ずしも希望と、救いとなる訳ではない。
救われた者は生きていかねばならない。苦痛も、絶望も。抱えて生きていかねばならない。
それが救いだろうか? それは希望だろうか? それは偽善者の自己満足ではないか?
イルドゥニーカはそう考えてしまう。疲れているのだ。それなりに。
もう歩き疲れた。だったら、この深き闇の世界に……形だけでも綺麗なこの花畑で眠っていたいのだ――でも。
――彼は決して諦めないのでしょう。拒絶されても、手を伸ばすのでしょう。
そして……彼女は何やかんやその手を取ってしまうのだ。何故って、心の中ではやはり救いと希望を求めているから。




