3366/3980
突入、悪夢空間!《読書マン3・暫定》
「ヨウラ、手は離すなよ」
「……うん」
ユーリとヨウラが歪みの穴を通ると、そこは漆黒の回廊であった。上下左右の間隔が辛うじて解るから、進んでいる感覚はあるものの、視覚的には永遠と歩かされている、もしくは全く動いていないような錯覚に陥っても不思議ではない。
繋いだ手の温もりがお互いの存在を確かに証明しているようでもあった。
――しかし、それも長くは続かない。どれだけ感覚が曖昧になっていたとしても、それは道。であれば終点と言う名の出口に辿り着くのも必然。
トンネルを抜けるのであれば、それは光と言う視覚を持ってであろう。今回でもそれは適用される様だった――ただし、黒き回廊の出口は白い光ではなくて赤い光ではあったが。




