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その頃のあの人・ノルキアーレ5《遅番マン・暫定》
――敵意はないのだろう。少なくとも、態々こうして孤立させた割には影人間とも言うべきそれは何もしてこない。いや、何かを訴えるような素振りをしているような気もするが……。
「――解らないわ。何を言いたいのか」
『…………』
『そうでしょうね』と言わんばかりに、それは肩を落とす。如何にも人らしい動作だ。ますます、ノルキアーレは今のこの状況に眉を顰めるばかり。自分が何に巻き込まれているのか、どうして自分なのか? 解らない事への苛立ちが少しずつ募っていくのを自覚した。




