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女帝は去る時も派手《遅番マン・暫定》
「……潮時、か」
ふと、飽きたと言わんばかりに吐き捨てて、ジェミカは背を向けた。まるで気紛れな猫の様に。
『全員、動くな』
『引くなら引かせろ、割に合わんぞ』
後ろ姿を見せた事で追撃しようと動く騎士を、リーダー格のあの二体……仮称“ブラザーズ”が引き留める。自分達は負けはしないが、勝てもしない。その事を当事者である彼等は良く解っている。
元より、彼等は夢幻の類と言った存在。儚い……と言うほど、その存在感は薄くはないが、やがて消える定めは変えようもない。




