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結末は奇想天外3《発掘・暫定》
「治療を」
「はい」
ジェミカの声に応じてぬるりと現れたのは、世界が書き換えられる以前にユーリのお世話を担当した女性であった。全身をカチコチに凍らされた彼の身体をペタペタと触りながら、片掛けのカバンからアレやこれを取り出している。
「――んのやろう……」
「落ち着いてって姉者! 今は分が悪いよ」
「……チッ! 感謝しろよぉジェミカぁッ!! そいつがクソ頑丈じゃなかったらお前も絶対斬れてたんだ!!」
目の前であれやこれやを堂々とやっているジェミカにブチギレ状態のフェルタ。旗色を考えると完全に負け犬の遠吠えにしか聞こえないが、それはある意味で真実でもあった。
事実、ユーリの硬さはちょっとした異次元であり、彼を挟んでいては本来の力がジェミカまで届かなかったのも嘘ではない。




