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無我になる4《遅番マン2・暫定》
「見事ッ!」
氷の壁を突破してジェミカへ肉薄するユーリ。彼の正面以外をフォローするカーニャとハレィピナ。
奇跡的……と言えば大げさだろうか? いや、そこまではフェルタにも出来た事だ。それもユーリ達とは違ってほぼ一人で。
それらを考慮してもジェミカはユーリ達へ賛辞を送った。だが――。
「――だが、甘いな」
パキっと。一瞬で凍り付く音。
「グッ!? 何ッ!!」
ユーリが異変に感付いた時には既に遅い。奇妙な事に彼は空中で飛び掛かったままの姿勢で張り付けられていた。よおく目を凝らしてみれば彼の身体を覆う様にして、空間が白く濁っていた。




