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無我になる《うぇーい・暫定》
――感覚がした。
何をやっていてもそうだ。自分は一体何をやっているのか? どうしてこんな事をしているのか、と。
限界が近づいて、或いはもう決壊しそうで、上の空の思考でぼんやり考えている時、ふ、と。
ふと、壁を超える感覚がするのだ。無意識の状態で最適解を導き、適切な動作で成功させる。
そんな曲芸、もしくは神業とも言える芸当を。
人は誰だってそう言った可能性を実現させる力を持つ。顕現される確率が極めて低いと言うだけで。
今回のユーリもそうだ。女帝ジェミカと彼の間にはまだ差がある。
相手は既に“神殺し”と言う一種の頂きにいて、経験と訓練によって十全に力を操る事が可能だからだ。




