恋する乙女と初めての略奪
※今回は微エロシーンを含みますのでご注意を。
――あんまり、期待しないでね?
――悠理がレーレ達に贈り物をしてから二時間後……。
彼等は今、本隊との決戦に備え野宿の準備をしている。
「本当に俺達が先に寝ていいのか?」
適当な木にもたれかかり、それ以上の準備は不要な悠理。
夜の森は少しばかり寒いが、元々暑がりなので彼に関しては何の問題もない。
『ああ、ディーノスの力使って疲れてんだろ?』
この発言に少なからず驚く、大して疲れている訳ではないが気を遣ってくれる優しさはありがたいもの。それが、レーレからのものであれば尚更だ。
「では、お言葉に甘えさせて貰おう」
寒いのは苦手だ、と言うファルールは悠理がグレフから借りた毛布に包まって横になる。
普段凛々しい彼女が猫の様に丸まって寝る姿は何とも可愛らしい。
「何かあったら直ぐ起こせよ?」
『ヘッ、別に気なんか使わねぇよ』
そんなやり取りを交わして悠理もまた眠りにつく。
木に背中を預け、意識をぼやけさせる。思考を曖昧にしてまどろみを引き寄せる。
最早、自分が人間であるという認識すら捨て去ってひたすらぼんやりと身体全体の力を抜く。
これが彼の睡眠方法、昔からこんなやり方を何千回も繰り返したお陰で、今では眠りに落ちるのに5分とかからない。
今回もいつもの様にあっさりと眠りの世界へと旅立った。
――――それから1時間後……。
『――――寝たよな? よし……』
二人分の寝息を確認して眷族召喚。
レーレの呼び出しに応じて、あの姉妹が召喚される。
――何故か二人ともパジャマ姿で……。
『周囲を偵察してきてくれるか?』
安全な場所を選定して野宿しているとは言え、万が一があっては敵わない。
念には念を、それにこれから一瞬無防備になってしまうのだから。
穴埋めをしなくてはならないだろう、彼女達で。
『……ワカッタワ』
『アーイ!』
主の思惑など露知らず、各々別方向へ偵察に行く眷属姉妹。
『――――さて』
十分に気配が遠のいた所で、物音を立てぬ様にして悠理の傍へ。
細心の注意を払う、この行動が万が一ばれたらどうなるか……。
(こ、これは、力を取り戻す為だからな! 決して惚れてるとか、興味がある訳じゃないからな!)
心の中で言い訳と建前を並び立てて、彼の顔にそっと手を添えて――。
『んっ、ちゅっ……』
――唇を重ねた。贈り物として受け取ったリリネットの首飾りの効果を発動させる為に。
発動条件は“使用者と対象者の粘膜同士の接触”。
つまりは“口付けもしくは接吻”か、“性行為”の二択。
後者は流石にレーレも戸惑うが、口付け位ならいっかと妥協した。
――既に頬にはしちまった訳だし。
悠理の前では嫌がっていたものの、内心は興味津々、元より彼女は好奇心旺盛。
今まで異性との関わりを殆ど持たなかった為に、色恋のあれこれを試す機会も無かった。
誰でも良かった訳じゃない、廣瀬悠理だったから、まぁ良いかと妥協出来たのだ。
(あれ、これってどれくらい口付けしてりゃいい――)
唇を重ねてからこの間約3秒。首飾りが効果が発揮されないことに疑問を抱いた――その時!
『~~~~~~~~~ッ!?』
身体の全身に電流が走ったような衝撃がレーレを襲う。
その性で身体の芯から火照って来てしまい、思考がぼんやりとのたうつ……。
(何だ、これ……頭真っ白に……)
リリネットの首飾りは、とある淫魔の“能力、本能と性欲衝動の一部”を封じ込めたもの。
力を行使すれば、その際に淫魔が感じる快感や恍惚感を自分も味わう事となる。
今、レーレの性的感覚は普段の何倍にもなっており、唇が触れているだけでも蕩けてしまいそうになっている。
――しかも、厄介なのはこれからだ。
『んむぅ、ちゅっ、じゅる……!』
突然、先程まで放心していたレーレが悠理の唇を激しく貪り始めた。舌を強引に突き入れ、歯茎を舐め回し、一方的に舌を絡めて唾液を啜る。
そして、彼の唾液を飲み込む――――頭がジン、と痺れて夢見心地のよう。唾液の通った喉が酒を飲んだように焼け、更にその奥へ落ちてお腹――子宮までもがその熱さにやられ喜びの声を上げる。
(やべぇ……止められね――)
止められないのも当然。これは淫魔の“本能”、もっと欲しい、快感が、アナタが!
唯、ひたすら貪欲に快楽と獲物を求める魔性――それが淫魔。
一部とは言え、リリネットの首飾りにはそれが封じ込められているのだ。
一時的とは言え、能力を使用して淫魔の感覚に同調しているレーレはその影響下にある。
ましてや、今まで色恋に疎遠だった彼女がその手の感情を御しきれるハズも無く……。
『ユーリっ、んっ、ちゅ……る……ん……ユーリッ、ユーリ!』
何度も名前を呼びながら首に手を回し必死にしがみつく。今、頭の中は快感を得ることで頭が一杯。
最早、この状態から解放されるにはイクところまでイクのみ。
そして存外、その時は早くも訪れる。
(ダメだ……もうっ!)
生まれて始めて感じる強烈な性的快感に長く耐え切れる訳も無い。快楽の波にあっと言う間に流され、揉まれ、その頂きへと昇って行く……。実にあっけなく。
『――――んーーっ!!』
ビクビクと全身を痙攣させて唇を離す。
唾液が唇と唇を繋ぐ橋となって伸び、途切れる。
快感で思考が定まらないレーレは思う。
――ああ、勿体ねぇ……。
暫くの間、快感の余韻に浸る。どうやら、今回はこの程度で済んだらしい。
もし、彼女が望むなら体力の限り続けていられそうではあるが……。
『はぁ……はぁ……やべぇ、癖になっちまうかも……』
顔を紅潮させ、快感に溺れた締りのない表情を直そうとするが中々上手く行かず、悠理の横に倒れこむ。
何はともあれ、無事に力を取り込む事には成功した。今、自分の身体に大きな力の存在を確かに確認出来る。
――まぁ、召喚儀式で支払った力全てを補填する――までは流石に無理だよな。
たった一回ではこれが限度。一回ならば、だが。
後、何回こんな事をすればいいのだろうと考えて気付く。自分がこれからもこの行為を続けたいと望んでいることに。
――いやいや、そんなこと考えるな!
浮かび上がる願望に嫌々と駄々を捏ねるように地面の上で暴れていると――。
「――――何をしている」
声を掛けられた。いつの間にかファルールに顔を覗き込まれている。
『――――ぬぇあぁぁぁぁぁぁっ!?』
「しーっ! 大声を出すんじゃない!」
あまりにも快感に浸りすぎていた為か全く気付けず、驚きの悲鳴をあげるレーレ。
唇に人差し指を突き立て、声を潜めながら忠告するファルール。
――この状態をミスターに見られたくは無いだろう?
『い、いつから……見てた?』
忠告を素直に受け入れひそひそ声で話し合う。先ず間違いなく、先程の事は目撃されているに違いない。問題は何処から見られていたかだが――。
「……お前がミスターの唇を激しく吸う辺りから――」
(ほぼ最初からか!)
お互いに顔が真っ赤だった。ファルールもそう言う経験がないから、覗き見はマズイと思いつつも、好奇心に負けて一部始終を目に焼き付けてしまっていた。
「ま、まぁ、そのなんだ――」
『よせ、何も言うな聞くな!』
これ以上は何を言っても聞いても、互いに恥ずかしい思いをするだけだ。
だが、解っていてもその羞恥心より好奇心が勝った。
「――そんなに凄かったか……?」
『――か、かなり……』
「そ、そうか……」
その言葉を境に暫く静寂が訪れる。
――5分後ほど経ってレーレが沈黙を破った。
『あ、あのよ……下着の替えって持ってないか?』
何故か下半身を押さえながらもじもじと身体をくねらせながらそう尋ねた。
「尾行するのにそんな暇は――――ま、まさか?」
何に必要なのだ、なんて質問は愚問。女性が性的快感を味わえばとある生理現象が発生する。
如何にその手の知識に疎いファルールであっても、身体の仕組みは知っているし、そこから答えに辿り着くのは簡単だ。
『……うぅ、まさかこんな事になるとは……』
ぐっしょりと濡れた下着を脱ぎつつ、涙を浮かべながら誓う。
もう二度とこの首飾りは使わな――――。
「――それ、破壊した方が良いんじゃないか?」
『――ヤダ』
他人にそう言われてしまうと何故か勿体無く感じるものだ。
それこそ、手放す位なら何度でも使ってしまいたくなる程に……。
――そしてこの後、帰ってきた眷属姉からパンツを強奪して事なきを得たレーレであった。
『――ヒドイワ……』
『ワーイ、ネーチャンモオソローイ!』
ちなみに眷属妹はノーパン派であるらしい。
その情報を含めて、結局レーレが首飾りの能力を使ったのを悠理が知るのはかなり先のことである。
――――――――――――本隊への襲撃開始まであと10時間。
初めて微エロシーンを入れてみたけど――どうでしたかね?
確か以前、エロい文章の書き方――みたいな本を買った気がして、参考にしようと思ったのですが……。
トリニティセブンの続き見てたら時間がなくなっちゃって……。
あと、本が何処行ったのか解らんし。
とりあえず、普通に考えて書いてみたけど――――ダメだな。
こんなの俺の求めるエロスには程遠い……。
必ずリベンジしますが、今日のところはこの辺で……。