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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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終戦、グレッセ王都!・式典、宣伝、結婚宣言!?その一

うおぉぉぉぉっ! グチャグチャになった自信はあるが何とか書けたぞ!


つーか、書く前に『ブクマ増えてるヒャッホィッ!』ってなったのに、投稿前に確認したら減ってるじゃねぇかぁぁぁぁぁぁッ!


俺のテンションマッハを返してよ!

 ドレスアップを終えた一行は高級宿を出て中央広場へ向かう。王都中の住民に声をかけたからか、道は人で大混雑。けれど、彼等の顔も知れたもので、人々は感謝の気持ちと共に会釈をしながら道を空けてくれる。


 モーセが海を割った――――とまでは言わないが、それでも人の波が引いていくのはそれに近いものを感じた。――――そうして、中央広場にある緊急避難用のオブジェクトが視界に移る。

 そこにはスルハの街で別れたあの二人が手を振って悠理達との再会に喜びを露にしていた。


「おお、待っておったぞ」

『お久し振りです皆様方』

「グレフ! リリネットさん! 来てたのね!」


 工房街スルハの代表グレフ・ベントナーと、そのメイドである大淫魔リリネット・グラウベルだ。

 カーニャは嬉しそうにタタタッと駆け寄り、リリネットと握手を交わす。もうあれから数週間――――つい昨日の事様にも、数年以上会っていない様にも感じられたのは、あまりにも濃密な時間を過ごしからだろう。


 ――――本当に、この数週間は数年単位の驚きと体験が詰まっていた気がする。苦労ではあったが、同時に何処か誇らしく感じていてカーニャは自然と笑みが零れていた。


「ああ、ミスターに頼まれた甲冑を届けにな」


 やはりと言うべきか、悠理の甲冑はスルハを旅立つ前にグレフに製作を依頼したものだったらしい。

 本当は最終決戦に間に合わせるつもりで製作していたが…………()()あって、ギリギリ間に合わず、こうして手渡す機会が終戦後になってしまったのは職人にとって無念としか言いようが無い。


「後は――――グレッセ王へ剣の一本でも手向けようと思ってな……」

『それと、暫くは王都でも混乱が続くでしょうし、古き英雄の名が必要になるのではないかと思いまして』


 グレフは沈痛な面持ちで深く息を吐く。若き頃、彼とグレッセ王は戦場で背中を預けあった仲だ。

 友人が亡くなった事に対して深い悲しみが胸を襲っていたが、今は泣く事も悲しむ事も許されない。今はもう居ない友人の為にも、この王都で出来る事をしなければならない…………。


 人的被害は数字の上で見れば最小限。しかし、国の求心力たる王が亡くなったのは最大の損失。

 ここから国を建て直すとなると――――確かに、リリネットの言う通りかも知れない。古い英雄だろうが何だろうが、人々の希望と支えになるのであれば使えるものは使うべきだ。


 それに英雄時代のグレフを慕う者も王都には多いだろう。彼の人脈と名が思う存分に役立つはずだ。


「それじゃあ暫く一緒なのね! リリネットさんの料理美味しいからアタシ大好き!」


 ――――が、そんなこれからの対策を練りにきた二人の決意。カーニャはそれをポジティブシンキングで捉える。ぱぁっと花が咲く様な笑顔を見せながら、嬉しさを身体全体で表現。

 ハグ、抱きつき、抱擁。ぎゅ~っと子が親に抱きつくな姿が、中央広場に居る大勢の人に目撃される。

 けれども当の本人は気にしてないらしい。今唯、思う存分に喜びをぶつけるだけ。


『あ、あらあら? 神を宿した聖女様ともあろう人が甘えん坊ですねぇ……』

「ね、姉さん……。すみません……、どうも戦いが一段落着いたからか気が抜けてしまったみたいで……」


 既に悠理が情報をリークしていたのか、リリネットが照れ笑いを浮かべて、抱きつくカーニャの頭を撫でる。姉の失態(?)とも言える姿を、ノーレは頭を下げて詫びる。

 グレッセ解放の道中、そして解放後も中々心休まる時が無かった。だからその反動と言っても良いのかも知れない。戦いがなければ、こうして誰かに甘えたり、甘えさえたり、そんな日々を普通として過ごしていたハズだ。


 悠理はカーニャの甘える姿を眺めながらそんな事を思う。そんな“もしも”に意味なんてないと知りながら。それでも彼女の人生にそういう平凡な幸せが来ます様に、と願いながら――――。


「カーニャ、甘えたいんだったら……俺の胸に飛び込んで来い!」

「いーっだっ! こっちの方が柔らかいもーん!」

『ひゃっ!? こ、こらっ! 調子に乗っちゃダメですよ!』


 ――――辛かったら、いつでも俺に甘えていいんだぜ? そうアピールしたかったのだが…………。

 全力であっかんべーされてしまい、兜の中で苦笑する悠理。まぁ、楽しそうだから良いかと気にもならない。

 ――――いや、ドサクサに紛れて柔らかそうな胸の膨らみに顔を埋めたのは正直言ってどうかと思ったが。


「ハッハッハッ、お前が楽しそうで何よりだ――――よ?」


 自身も楽しそうに笑いつつ、真正面から寄りかかられた重みに首を傾げる。

 ――はて? カーニャには断られたハズなんだが、これは一体誰の重みかな? ふと甲冑の胸元を見れば――――そこにはマーリィの姿。


「甘えたかったら――――飛び込んでも宜しいのでしょう?」


 残った片方の瞳でじっと見つめながら、妖艶に微笑み上目遣いで迫るその姿に悠理は思わず『エロ可愛いじゃねぇかチクショー!』と、心の中でガッツポーズ。

 しかし、一人が抜け駆けしたら、後はもう争奪戦になる訳で…………。


『あーっ、ズルいぞマーリィ!』

「右腕はもらった!」

「アルゥソ! 妾を肩車するのじゃ!」

『テメェ等まで……! クソッ、こうなったら左腕を――――』


 珍しくドレスで着飾ったレーレが文句をつけている間に、同じく簡易的なお洒落を施したファルールが右腕を、リスディアは背中に飛び乗り、肩へとよじ登っていた。

 あっと言う間に抱きつけそうなポイントが埋まり、こうなれば残った左腕を――――と狙うが…………。


「あ、あの……私も甘えても――――良いですか?」

『ノーレェェェェェェッ!』


 ――伏兵とは、予想外であるからこそ真価を発揮するものである。

 ノーレが悠理に甘える貴重な瞬間にレーレの絶叫が重なった。


「お、おぉぉ……、色んな所からホールドされて身動きとれんな……のわっ!?」

『せ、背中は渡さねぇぞ!』


 唯一残った背中からガバッとレーレが抱きついた事で四方はガッチリと固められた。

 何と言うか…………嬉しい反面、周囲の視線が厳しい。ほのぼの視線やら、羨ましさと嫉妬に燃えた視線やら様々な瞳が向けられる。


 抱きつかれているのはフルプレートの騎士だが、抱きついているのは美女ばっかり。それにグレッセ王都を救った一行ともあって、感謝と憧れに似た感情が多分に含まれている。視線を集めるのは仕方がない事だと言えよう。


「フハハッ! 英雄色を好むと言うが……まさにその通りだのぉ。……いやはや、これが若さ――――と言うヤツかなぁ……」


 楽しそうに騒ぐ悠理達を眩しそうに見たグレフが豪快に笑い声を上げる。かつて自分にもそんな時期が――――あれば面白かっただろうに。当時のグレフにはそんな美女に囲まれる嬉し恥ずかしいハプニングは無かった。


 戦争中、しかもその最前線に立っていたのだからそれも当然。今はリリネットが居るから寂しくは無い。

 けれども、自分が経験できなかった事を誰かがしているのは妬ましいし、それ以上に眩しく羨ましい限りだ。――――歳を取ったかな? と溜息を吐くグレフ。


『――もう、爺臭い事を言って……。まだまだこれからではないですか?』

「そうだな、もう少し長生きしてみたくなった。アイツの代わりにこの世界の行く末を見届けてやろうではないか。すべてが終わったら墓の前で一日中話込んでやろう。ヤツのおしゃべり好きは死んでも変わらんだろうて」


 情けない事を言うな、と主に非難の目線。それは『私が傍に居るじゃないですか』、と言う控え目なアピール。

 視線を受けてグレフは『フッ』と笑い、未来に思いを馳せた。きっと亡きグレッセ王も何処かで見ていると信じて心の中で強く誓い刻む。


 ――――友よ、安らかに眠れ。今暫くはこの地で変わりに働いてやる故な…………。 


『はい、いつまでもお供します――――カーニャさん?』

「――――うぅ~……!」


 さり気無く、もう何度目かも解らない思いの丈を主に打ち明けるリリネット。彼が死を迎えるその時までともにあり続ける――――――そんな決意に浸っていると、大淫魔の大きな二つの膨らみで唸り声。

 カーニャの視線は美女に抱き着かれて身動きの取れない悠理に注がれていて…………。発せられた唸り声は――――やはり羨ましさから。


『もうっ……、羨ましいならそう言えば良いじゃないですか』

「べ、別に羨ましくなんてないです!」

「ハッハッハッ! …………ん? そろそろ始まる様だな」


 リリネットの言葉にハッと顔を赤くして抗議するカーニャ。その慌てふためく様子に、『やはりこれが若さか!』と笑うグレフ。そんな彼の視界の隅で、見知った顔が手を振って合図する。


 グレッセ王の臣下――――今はセレイナの臣下となった忠臣だ。どうやら諸々の準備が完了したらしい。


「案内しよう、お前達は私と一緒の列に並べば良い」


 気付けば街の住人達もきちんと列になって並んでおり、家臣一同も整列していた。

 国に仕える者達が立ち並ぶ場所にポッカリと空いた部分。どうやらそこが悠理達が並ぶ位置らしい。


「お、応、頼むぜグレフ。――――と言う訳で、放れろー」


 グレフへそう返答して、抱きついていた美女達に離散を呼びかけると、意外な事に彼女達はあっさりと離れていていく。それもそのハズだ。

 この式典がもたらす意味は非常に大事なもの。だから一言伝えれば気持ちを切り替えるのは当然の事である。


「――さぁて、行こうか聖女様?」

「……ふんっ、しょうがないからよろしくされてあげる」


 リリネットから離れたカーニャへ、ダンスへ誘う様な軽やかさで手を差し出す。

 照れたのか、待たされたことへの不満があるのか、彼女は口を尖らせながらも、悠理の手に自らの手を重ねて一歩踏み出す。


 ――――悠理と出会って辿り着いたこの場所で、一つの決着を着ける為に。

次回、綺麗なセレイナ登場。

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