ツルギのチカラ、ココロのチカラ
今回は切りの良い所まで書ききれなかったのと、納得いかない部分があったので区切っています。
なのでいつもより短いのはそのせいです。
「おいおい……もしかして地雷踏んじまったか?」
牽制として、こちらの力を見せ付けたことがあだになったのかも知れない。――と思ったが、直ぐに違うと気付く。先程までとまったく雰囲気が違う、まるで野生の獣を目の前にした気分に警戒レベルをあげる――と同時!
「ウォォォォォォォォォッ」
咆哮を上げ、凄まじい速度で突っ込んでくる女騎士。
ほぼ無意識にグラディウスを掲げ、精霊石に力を注ぎ込む。
虹色の光が収束し、刀身を眩い輝きが包み込んだ。
「くっ……速ぇッ!」
初撃を何とか受け止める――――いや、受け止めてなどいない。
ファルールの剣は悠理のグラディウスに触れる直前で止まっている。
――だと言うのに、まるで二つの剣が激しくぶつかりあったかの如く衝撃波を生み、中央広場内で戦っている白ずくめとモブアーマー達の身体を大きく揺らした。
(――ッ!? 動かない……!)
ビクともしない、一体何故――。
(このグラディウスじゃなかったら真っ二つだったぜ……!)
悠理は遅まきながら、実戦の恐怖を感じていた。しかし、その恐怖を否定しない。受け入れて力を操作する事に全力を傾ける。
ここに来て、自身の持つ様々な能力の源、“虹色の光”を初めて攻撃手段として使用した。今まではしたくても、その手段がなかった。
だが、精霊石を媒介とすれば光を攻撃的なエネルギーに変換可能である、と彼は気付く。
まず、精霊石に宿った祝福に書込みで手を加えた――勿論、精霊石の意思から了承はとってある。
能力を“虹色の光の変換及び操作”、この二点に特化させた。
その結果、悠理の持つ出鱈目な規模のエネルギーを本人以上に正確に操り、理想的な状態を実現させる――と言う、何とも恐ろしい武器が誕生した訳だが。
「う……ぉぉぉぉぉぉっ!」
押し切れないと理解したファルールが一度剣を引き、再び叩きつける――――が、やはり刃同士がぶつかる音は響かない、にも関わらず二つの剣から衝撃波が放たれ周囲を激しく揺るがす。
「ぐぐぐ……負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
悠理が更に力を注ぎ込む、すると刀身を覆っていた輝きが一回り大きくなり、その分だけファルールの剣を押しのけていく。
そう、その輝きこそ悠理が会得した攻撃術理。
刀身を包み込む輝きは圧縮された攻撃エネルギーの塊、彼が望めば更に大きくなり自在に形を変える事も出来る。
「――っ、奇妙な技を……!」
「今度はこっちからだ!」
立て続けに二、三度打ち合う、その度に拮抗した力同士が荒れ狂ってエネルギーの奔流を生む。
最早、周囲の者達は誰一人戦闘を続けられない。二人が生み出す衝撃に吹き飛ばされ無い様にするので精一杯だ。
『――っ、凄まじい衝撃だ……!』
黄金騎士ゴルドが盾を構え、創造主であるドレフの前に立ち衝撃波を受け止める。まるで嵐の中で暴風を受け止めたようだとすら感じる。ならば、実際にあの攻撃を受けたらどうなるのだ?
そんな事を考えて、身震いする。鎧に着けられた装飾品が、ゴルドの想像した恐怖を代弁するようにカタカタと音を立てた。
「あれは、一体……本当に私が造った剣なのか?」
状況のあまりにも早い変化についていけないのか、どこかぼんやりとした様子でドレフが呟く。
あれ程強力な剣を作った覚えはない。いや、鍛冶師として持てる力と技術の全てを注ぎ込んで造り上げた傑作だ、と胸を張れる出来栄えだったのは間違いない。
だが、今目の前にあるのはそれ以上の結果。
最早、自分の作品なのか? そう疑ってしまうレベルだ。
まさか、女騎士が持つあの剣と互角に渡り合うとは……。
『ミスターの力ですよ。彼が貴方の作品を更なる高みへと誘ったのです』
「それ程の力を持つとは――――――彼は一体……」
――何者なのだ?
何故、自分の作り上げた鎧達が動いているのか、何の為に彼は女騎士と刃を交えているのか?
聴きたい事は山ほどあって、それを己の息子とも言える黄金騎士に尋ねるのは妙な気分だった。
その問いにふっ、とゴルドは笑って。
『彼は自由の使者――――――ミスターフリーダム!』
悠理本人がそうした様に高らかに、その名を謳い上げる。
「ミスター……フリーダム……」
教えられた名をドレフが反芻する。己が造り上げた剣を持ち、人間離れした力を操って戦う男の姿を何処か眩しそうに、あるいは嬉しそうにして目を細めた……。
――――二人の戦いは激しさを増して行く……。
終わらなかった……orz
前書きでも言った通り、キリの良いとこまで書けなかったのと納得行く内容に仕上がらなかった為に大幅に区切っちゃいました。
あと二ページ以内にファルさんとの戦いは終わる!――ハズ。
つーか、今日は妙に眠くていつも以上にグダグダになってしまった……反省。