寝室にて眠る神の姿は
うほーい、色々やってたら時間がなくなっていたんだぜ!
それと初めて誤字脱字の報告を頂きました!
――いや、喜んじゃダメなんですけどね?
でもでも、こうして『――ミテイルゾ』って報告があると、気合が入るし嬉しいもんなんですよ。
よーし、休日は粗探しと行こうかなぁ。
『――おいおい、随分簡単に侵入できたな……』
「――と言うか、レディさん強すぎじゃない?」
寝室を守る門番兄弟を悠理が囮となって惹きつけてから約10分程が経過。レーレが唖然とした様子で呟いた様に、寝室への侵入は順調。中に居た兵士達もレディによって全員が昏倒させられていた。
その数約10人、何れも軽装で武器を携行していなかった点からもしかすると戦闘要員ではなかったのかも知れないが。いずれにせよ、侵入者に気付いた彼等をものの数秒で伸してしまう辺り、彼女の技量やくぐってきた修羅場の数が違うと言う事実を裏付けていた。
その一瞬しか見えなかった動きに思わずカーニャも感嘆するほどだ。
「さぁ、先へ進みましょうか?」
くるくると器用に小太刀を回転させて鞘に納めると、チャキン、と小気味良い金属音を鳴らす。
10名の兵士を一蹴する程の成果をあげても彼女は淡々としていた。今は目的を果たす為に進むべき……と言うことなんだろう。
「それにしても……ここが寝室? まるで玉座の間じゃない」
カーニャは辺りを見回しそう評した。確かに個人の寝室と言うには余りに広すぎる。
『無駄に広いのは相変わらず、か……。だがこりゃあ一体何だ?』
何度か訪れた場所だけにレーレは特に驚かない。驚かないが、以前と変わった物が沢山ある。
先ずは巨大な鉄の箱、そこから伸びるいくつもの線。細いものがあれば太いものもあり、それ等は全て寝室の奥へと伸びている。
次に箱に取り付けられた何かの部品らしきもの。少なくともレーレの知識に該当する物は見当たらない。カーニャはどうだろうと視線を送るが、彼女もさっぱりらしい。両掌を晒してお手上げのポーズ、だ。
『レディ、アンタは――』
「――異世界の技術ですよ。私や廣瀬さんが居た世界のね」
至極あっさりと、この場にある奇妙な物体達の正体を言い当てたのはやはりレディだ。
巨大な鉄の箱はエネルギーの供給装置、伸びている線は電源ケーブル。箱に取り付けられた部品はモニターやコントロールパネルに分類される機材。これらは所謂、地球の現代社会における科学の力で造られたアイテム達だ。
ただし、その全てが地球と似た形状や機能を有している訳ではない。動力源の殆どは祝福――いや、正確に言うなら機材に内蔵された精霊石が、電力と同等の扱いとして使われている。
――しかし、実に疑問が残る話だ。
『何だと? どうしてそんなものが此処に――――』
「レ、レーレ、アレ……何?」
――どうして異世界の技術がこの世界に? 疑問の確信に迫ろうとしたレーレだが、いきなりカーニャに肩を叩かれ意識はそちらへ。
『あん? どうしたって――――』
――視線の先、そこにはガラスの様に透明な巨大な球体。その中は緑色の怪しげな液体で満たされている。だがカーニャが驚いたのはそこではない。
その球体の中に居た少女の姿に驚いたのだ。緑色の液体に浮かぶ少女こそが――レイフォミア・エルルンシャードだ……。
『レ、レイッ! クソッ、何だこれ、こんなの前に来た時にゃあ無かったぞ!?』
「レディさん、これって……」
本気で焦りを見せたレーレにカーニャの不安も加速する。これが何であるか? この質問に答えられるのは仮面の女性に以外に有り得ない。
「――生命維持装置ですよ」
やはり淡々と語るレディ。しかし、彼女は何故その情報を持ちえているのか? 本来なら真っ先にそんな質問が出るハズだが、今のレーレにはその余裕が無い。
『生命、維持?』
だから鸚鵡返しで答える位が精々だった。
「そうです、これは彼女の命を長らえさせる為に造られたもの。つまり――」
言いながら彼女はしゃがみ込み、床にあるケーブルを掴む。ここに来るまで通ってきた箱の線は全てここへと繋がっている。
――生命維持装置。そんな物が必要だと言う事は……まさか! と、レーレは嫌な予感を確信し、顔を青くする。そんな彼女にお構いなく、レディは自身の知りうる情報を口にする。
「――レイフォミア・エルルンシャードは死に瀕している、と言う事です」
――なん、だと? 突如知らされた真実に愕然とするレーレとカーニャ。彼女達の不安を表すかの様な爆音が、天空幻想城の何処かで鳴り響く……。
時間が無かったので分割。