決着への道標・前編
身体の調子おかしいの~♪ 完璧暑さのせいじゃない~♪
――――そんな訳で、今日の更新は短めで失礼しまっす!
「あー、じゃあグレッセ王都に突っ込む為に作戦会議を始めるぞ? 司会は不肖この俺様が勤めさせてもらうぜ」
――カーネス襲撃から翌日の昼。レーレも復活し、いよいよグレッセ突入への段取りを決める会議が開始され様としていた。
メンバーは悠理、レーレ、カーニャ、ノーレ、ファルール、リスディア、マーリィ、セレイナ、ヨーハ、そこに今回はルンバ・ララ、そして窓の外から部屋を覗くエミリーの10名。
衝撃の襲撃事件からまだ半日しか経っていない為か、今回の会議はいつもよりも重い雰囲気が漂っている。――が、この緊張した空気に耐え切れない者が約一名……。
「セレイナ様、セレイナ様、セレイナ様ぁぁぁぁぁッ!」
「うるせぇぞヨーハ!」
割り当てられた席から立ち上がり、突如バンバンと机を叩いて抗議したのは他ならぬ身内。
自国を取り戻す為の会議だと言うのに、彼女は普段と変わらない。故にセレイナもいつも通りにヨーハを怒鳴りつけてしまう。習慣と言うは恐ろしいものだ……。
「せ、席替えを、席替えをお願いします!」
「はぁ、席替え? そんなものどうでも良いじゃ――――」
一体、何を言い出すんだ?、と首を傾げ、改めて周囲を見渡す。先ずは上座に司会のセレイナ、彼女の左手側にあるテーブルには上から、リスディア、マーリィ、ヨーハ、ルンバ。
そして、右手側のテーブルは上から、ノーレ、カーニャ、悠理と膝の上にレーレ、ファルールだ。
ヨーハの位置は悠理の真正面。愛しの彼を思う存分眺められる場所なだけに、本来なら文句などないハズだが……。
『~~~~♪』
先ず、悠理の膝の上で上機嫌なレーレにヨーハは嫉妬。
「…………ん、どうしましたセレイナ様?」
「な、何かヨーハが潤んだ瞳でこっち見てくるんだけど!」
更にはその両脇はカーニャとファルールが固めている。ファルールはちゃっかり悠理へピッタリと密着しているし、嫉妬に燃えるヨーハに怯えたカーニャはつい彼の腕にしがみ付いていた。
つまりヨーハは一身上の都合――嫉妬心で気が気じゃないから席替えをしろ!、と言っている訳だが転々。
「――――却下だ」
「そんなぁぁぁぁッ!?」
当然そんなワガママが押し通るハズもない。あっさりばっさり切り捨てるセレイナにヨーハは血涙を流しそうな勢いだ。
「うがーっ、話が進まねぇじゃねぇか! そんなにミスターの近くが良いなら、お前はアイツの後ろにでも立っとけ!!」
「あっ、その手がありましたか。は~い♪」
その一言にあっと言う間に上機嫌になり、悠理の元へと小走りで近づいて行き、そのままガバッと背中に圧し掛かった。
「んふふ~ん、ユーリ様~♪」
ふにょん、と効果音さえ聞こえてきそうな柔らかな胸が大胆に押し付けられ、ぐにゃりと形を変える様は何ともエロティック……。その感触に悠理も『おぉっ』と感嘆の声。
「――うーむ、背中に伝わるレーレやカーニャでは味わえないこの柔らかな感触……流石だなヨ――グヘッ!?」
「ユーリ様!? 大丈夫で――――ひぎゃぁぁぁっ!?」
『おっと、悪いユーリ。急に体を伸ばしたくなってな』
「ごめんねヨーハ? 何か悪意を感じた気がして」
ニコニコと笑いながらも何処か棘のある言い方。解説すると、レーレが膝の上から悠理の顎へヘッドバット、カーニャがヨーハの目潰しを喰らわせていた。
――いや、ヨーハはとばっちりじゃないかとファルールは口には出さず、一部始終を見てそう思う。
満足したのか、二人は無言でお互いの健闘を視線で称え合っていたが。
「それひゃあ、ひょうがねぇな!」
「――おぉぉっ、ヨーハの目がぁ、目がぁ……!」
悠理は舌でも噛んだらしく、けれどもレーレが元気な事が嬉しいのか、さして気にする風でもなく笑う。ヨーハは激痛に涙を浮かべながら悠理のうなじに顔を思う存分埋め悶える。
「こんな奴等に国の命運を託そうなんて――――早まったか?」
――――そんなセレイナの呟きに、傍観者であった他のメンバーは苦笑で答えるしかなかった。
うーん、ひんやりタオルを装備したもののイマイチな感じだよなぁ……。