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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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嗚呼、鼓動が響いている・前編

ぐげげ……、何とか書いたけど分割になってしまった……。


やっぱ暑さ対策はキチンとしないとなぁ。

 アルフトレーン一帯を包み込んだ悠理の光は僅か十数秒。しかし、街の外で待機するルンバ達の目にもそれはハッキリと確認できたと言う。

「――くっ、何がどうなったんだよ……」

「ユーリ様とレーレ様は……」

 光の発生源に居たセレイナ達は光が止んで1分ほどまともに目を開けられなかった。それほど強い光を受けても目がチカチカする程度で済んでいるのは何か理由がありそうだったが、それは今考えるべき事でもない。

 優先すべきは悠理とレーレ。彼女達は必死に目を凝らし、彼等の無事を確認しようとする。

「グッ、ウゥッ……」

 そんな中、耳が拾ったのは誰かのくぐもった声。やっと回復してきた目でその姿を捉えるとそれは悠理のものであった――が、彼はレーレの横で苦しそうに膝を着いてた。

「ユーリっ! 大丈夫!?」

「あ、ああ、何とか……な……」

 回復したばかりの視力など関係なしにカーニャが悠理へと駆け寄り、その小さい体躯で彼を支える。

 見ればその顔には玉の様な汗が溢れ、苦悶の表情で荒い息を繰り返していた。今まで行動を共にした中で見たこともない満身創痍の状態。

 クヴォリアの街で同じ様に光を放った時は直ぐに気絶したが、今回は耐えている。しかしこれならまだ気絶した方がマシではないか。カーニャがそう思う程に悠理の体調は芳しくなさそうだ。


「ユーリさん!? 急いで何処か休める場所を……!」

 同じく彼の元に辿りついたノーレがその身体を支えようとする――が悠理がそれを手で制した。だがしかし、その手はノーレの居る方向からほんのちょっぴりズレている。

「――い、いいや、それよりも……レーレは大丈夫そうか……? 何か、無理しちまったみたいで……目が少しイカれちまった、らしい」

「ちょ、ちょっと、他は大丈夫なの!?」

「――――。 スマン……ちょっと……耳も……ヤバイ、みたい、だ……」

 異変はやはりあった。彼は『多分、一時的なモノだ』と自身の症状を説明したが、それにしたって重症なのは変わりない。例え一時的とは言え、目も見えず耳も聞こえないのではやはり気絶したほうがマシだったと思える。

「カーニャどの、ミスターをそこの物陰へ。私が回復させる」

「っ、わ、解ったわ!」

 悠理の状態を聞いた一行の動きは早かった。まず重体の彼を回復させるべく、ファルールが鎧を外し始め、着込んでいたインナーの胸元を大きく開く。決して大きくはないが、確かに存在を主張する二つの膨らみが大胆にも曝け出された事にカーニャは一瞬頬を赤らめた。

 ――――が、直ぐにその意味を理解すると彼女と共に悠理の身体を民家の影へと運んでいく。

 無論、リミエリアルの腕輪を使った回復の儀式を行う為だ。条件にある身の清めに関してはこんな緊急時の為に持参していた聖水を香水の様に全身へと振り掛ける事でその代用とする。

 なにはともあれ、準備を整えたファルールは回復儀式を開始した。


「彼女の事は私が診ておきますから、安心して下さい!」

 ノーレはそう言ってレーレの身体を抱きしめた。その瞬間、確かに感じた心音にほっと胸を撫で下ろす。改めて彼女を見てみるとその外見には大きな変化があった。肌の色が以前より白くなっている事と、髪の毛の色素が薄くなっている点である。

 これはまず間違いなく、精霊の祝福を埋め込んでレーレの新たな祝福にしたからであろう。

 それによって今彼女がどの様な存在に成り果てたかは解らない。

 だが、少なくとも彼女はもう死神ではない。それだけは断言出来ることだ。

「ヨーハ! 俺様達はコイツらを護衛するぞ!! もしも今襲われたら不味いからな!」

「はい! 精霊達から情報を集めて周囲を警戒します!」

 セレイナは“大戦鎚ヘレンツァ”を構え、周囲を警戒。ヨーハも自身の祝福を発動させ、周囲に存在する土地精霊にアクセス……。街全体の情報をかき集める。今の所は警戒すべき点はなし。

 加えていうなら、ヨーハこの時、カリソによって閉じ込められていただろう街の住民達の居場所を発見するが、何かに守られている様な気配を感じ取ったので後回しにする事にした。


「私は急ぎルンバ隊を呼んできます。御嬢様はエミリーと共にここで皆様をお守りしてください。良いですね?」

 言うが早いかマーリィは速攻でこの場から立ち去っていく。街の入り口にはディーノスを置いてきている。そこからルンバ隊へはそんなに時間は掛からないだろう。

 しかし、彼女は一刻も早く救援を呼ぶ為に全力疾走を行い続ける。眷属姉妹のレーレへの献身的行為に彼女は胸を打たれていた。

 自身もリスディアと言う主に仕えている身なれば、その気持ちは痛いほどに解る。だからこそ、眷属姉妹に敬意を表する為、彼女は彼女に出来る事をしようとしていた。

「わ、解ったのじゃ!」

『ごぉぉぉぉっ!』

 マーリィのただならぬ決意を感じ取ったのか、リスディアもキリッと真面目な表情になり、エミリーは雄たけびを上げて応える。

 こうして僅か1分にも満たない内に悠理防衛網が完成していた。

 初めてにしては息の合ったチームプレイ。これがこの先の戦いでも生きてくるのはそう遠くない未来の事である。

うー、疲れてるよ、眠いよぉ……。

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