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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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得た人脈と情報整理

歯医者行ったり、今更艦これのイベント始めてスピードクリアを目指していたらこんな時間……。


最近、暑くなってきて文章を書くのがだるかったけどやっと書けたよ……。

 ――ルンバ・ララ隊との戦いを終え、彼等を拘束した悠理達。今は合流したマーリィと兵士達が、カーニャ達共に見張りに付いている。

「――と言う訳で、セレイナ様とヨーハに聴きたい事があるんだけど」

 一方、悠理とレーレ、セレイナとヨーハはルンバ隊が作戦室として使っていたテントに集結し、改めて自己紹介を済ませたところだ。

「グレッセ王都の状況か?」

 見るからに渋い表情のお姫様――それはそうだろう。如何に自分が生き長らえる事が国の存続に繋がると言っても、王都の住人を見捨てたのと似たようなもの。彼女とてそう言われたら恐らくは否定しないだろう。出会って数時間でもそれ位は悠理にも想像がつく。

 しかし、今はそちらよりも彼には気になっている事がある。それは今回の騒動の元と言えるとある人物について。

「いや、そっちよりもカーネスって奴の事が訊きたい。本当にソイツが裏切ったのか?」

「裏切ってなんか居ねぇよッ!!」

 少しの間もなく声を荒げてセレイナは否定する。一瞬、その瞳が王族のソレから普通の少女のソレになった様な気がした。気付いた所で悠理には指摘するつもりもないのだけれど。きっと、時が来れば話しを聞く機会もあるだろう。


「アイツは――――カーネスは操られてるだけだ……」

 声を荒げた事で冷静になったのか、俯きながらそう口にするセレイナ。

「――――誰にだ?」

 それはスルハで悠理自身が口にした可能性の一つであり、真っ先に否定された仮説だった。

 ――が、その事には対して驚きはない。話を聴いた限りではカーネス・ゴートライが国を裏切る様な人物とは悠理も思えなかったからだ。

 ある意味愚直とも言えるそんな男が反旗を翻したとなったらやはり……洗脳。

 グレフ達に否定されてからもずっとその可能性を疑っていた。

 ――だが、“祝福殺し”を簡単に操れる様な相手とは一体……。

「私達も良くは知らないのです。その男性が“チーフ”と呼ばれていた位しか……」

「――何だと?」

 ――歯車がカチリと音を立てて噛み合ったのを悠理は確かに聴いた気がした。

 クヴォリアでの一件からこうも早く再びその存在に関わる事になろうとは……。

『なぁ、色ボケ侍女、ソイツは眼鏡をかけてなかったか?』

「え、えぇ、確かに眼鏡を着けていたと思いますけど」

「オイ、テメェ等何か知ってんのか!?」

「ああ、実は――――」

 悠理達はクヴォリアで起きた一件を語り始める。街はバドレによって支配され、住民達は洗脳状態にあって酷い仕打ちを受けていたこと。奴隷商人のジャダと組んで地下で奴隷市場を開いており、亜人種や大勢の少女を捕えていたこと。そして、洗脳を解いた住民達の状況など……。

 一言発する度に、ヨーハとセレイナは各々の表情を変えていく。


「そうですか、クヴォリアの住民にそんな酷い事を……」

 ヨーハは普段の明るさを無くし沈痛な面持ち。数年間に渡る住民達の助けを呼ぶ声なき声に気付いてやれなかった悔しさからだろうか? 唇を噛み、痛いほどに拳を握り締めている。

「――――の野郎ッ!! 俺様達のグレッセで好き勝手やりやがって……」

 対してセレイナはやはりと言うべきか、真っ直ぐにチーフへの怒りを露にしている。それは今まで強いられた理不尽に対して叫ぶ事すら出来なかった住人達の代弁。声無き声の怒りの咆哮。

 瞳には憤怒の炎がユラユラと揺らめいているかのよう。

「今は何とか落ち着いてるから安心してくれ――とまぁ、そんな訳で、だ。俺達はコルヴェイ軍は勿論、そのチーフって奴が牛耳ってる組織も相手にしなきゃならない」

 各々方向性は違えど、感情を爆発させる二人を悠理は宥めていく。

 内に秘めるその思いを清算するなら、チーフ本人にぶつけるべきだと思うから。今は自分達がするべき事について考えるのが第一。

「――だから、少しでも情報が欲しい。ソイツが何を目的として各地に手下を放っているのか……もしかしたらこれは世界規模の問題かも知れない」

『…………』

 ――“かも知れない”と言う曖昧な言い回しに、レーレが何とも言えない微妙な顔をした。理由はソレは嘘だと、確信があるからそう言っているのだと知っているから。

 カーニャやセレイナ達にまだ明かしていない悠理とレーレだけが知りえているチーフの正体……。

 それを知っていればこそ、そこに世界と言う規模を持って来たのだ。

「世界規模――――か、いまいちピンと来ねぇが……ヨーハ! ()()()()?」

「――うふっ♪ ヨーハにお任せデース!」

 セレイナに促され、先程までの陰鬱な雰囲気を消し飛ばしたヨーハが、少し離れた所に立って目を瞑った。

 ――一体、何が始まるのだ? と首を傾げる悠理とレーレを尻目に突如変化が起こる。

「この光は……?」

 ヨーハを中心として周囲一帯から仄かな光が立ち昇る。ふわりと、ヨーハのオレンジ色の髪とスカートが光と共に舞い上がってそのまま宙に漂う。

 神秘的とも言える悠理は一瞬見惚れてしまう。光の中で唯目を瞑り立ち尽くしているだけだと言うに……。まるで天女が地上へと降りて来たと錯覚しそうなほどに幻想的な光景であった。


「これがヨーハの祝福だ。世界に潜む精霊達と交信して情報を漁ってくる。ついでに言うと簡単な未来予知も可能だ」

 彼女の祝福はかなりレアなもの。科学技術で成り立っている現代と違って、ここは中世を髣髴とさせる技術と祝福で成り立つ世界。

 この能力を現代で例えるのなら――――通信機。街から街への情報を送る際に使用される手段の一つで、この力があれば就職に困らないと言うほどにレア度が高い上に所有者も少ない。

 しかし、そんな中でもヨーハの祝福はまさに最高峰。レア中のレア。

 使えばその負担は大きいものの、その気になれば大陸の端から端までカバーし、情報の取得、伝達を可能とする。

「スゲーじゃねぇか! ――もしかして、そんな能力だからあんな性格になったのか?」

 情報を取得すると言う点においては、悠理の“侵入”も同じ。であれば、一気に頭の中に入ってくる情報の大きさと苦しみは理解出来る。

 その負担を軽減するには気合で乗り切るか、得た情報に何の感情も抱かないようにするか、もしくは自分自身の感情を壊してバカになってしまうかだ。

 悠理は基本的に気合で乗り切るタイプ。問題のヨーハは感情を壊したタイプではないかと睨む。

 あの性格であればストレスを感じる事はないだろう。

「――あー……、言いたい事は解らなくもねぇが、ありゃあ()なんだよ」

 言いたいことを察したセレイナ困ったように返答する。アレは元からこんな性格なのだと、呆れとも諦めにも似た溜息を吐いて。

「……うぅっ」

 そんなやり取りの中、突如顔色を悪くしたヨーハ。光は何処かに消え失せ、同時に彼女がふらつき始め……。

「おい! 大丈夫か――――!!」

 倒れそうになるヨーハを支えた悠理――が、唐突にその目をカッと見開く。

「は、はい……だいじょ――!?」

 接触したヨーハもそれは同じで、まるで身体に電流が走ったような衝撃を二人は共有していた。

 この時、不意に二人の意識がリンクしのだ。ヨーハが知り得た情報がイメージとして悠理の頭に流れ、悠理がこの世界に来てから数週間の出来事がヨーハの脳内にフラッシュバックする。

 後にこの現象は“共鳴”と呼ばれ、ヨーハと悠理を繋ぐ重要なモノとなるが、今の二人が知るには早すぎる情報であった……。

「こ、これ……は……」

「あ、貴方は、もしか……して……」

 共に驚愕を顔に浮かび上がらせつつ、徐々に意識が落ちていく。二人の異変に気付いたセレイナとレーレが何かを叫んでいるが声はもう既に届いていない。周囲からは音と光が消え失せ、保っていた意識は闇に深く深く沈む。

 せめてもの抵抗で倒れる直前に悠理がヨーハを抱きしめて、床に投げ出されるその身を庇ったが果たして意味があったかどうか……。

 そうして、二人がこうして出会った事でグレッセの――――いや、世界の運命は加速を開始した……。

次回、いよいよ“チーフ”の正体が明かに?


――ただし、明日本編が更新されるかどうかはイベントの進み具合によるんじゃよ……。

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