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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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命運を握る者達?・その2

ね、眠いよ……。


うーん、頭働いてないけど、書くには書けたな……。

「――ユーリ! アンタまたアタシ達を置いてけぼりにしたでしょッ! そこに正座しなさいっ!」

 ――悠理とレーレが追いかけっこを続ける中、今更ながら騒ぎに駆けつけたカーニャとノーレ。

 マーリィはもう夢の中に居る主を護衛する為に残ったらしい。連れてきた10名の兵士も一緒だ。

「おっ、丁度良い所に! 助けてくれッ」

 駆けつけて第一声の怒りもなんのその、悠理は一直線にカーニャの元へ。そしてそのまま背中に隠れ――様とした。何しろ二人の身長差は20cm以上もあるだから、隠れ切れないのは明白。

 ――が、今更ノーレの背に隠れた所でカーニャのプライドを傷付けてしまうだけだろう。

「えっ、えっ? ちょっと何なのよっ!?」

「あのえっと……、どうしたんですか?」

 叱りつけるべき人物に助けを求められて戸惑いつつ、一応背中に隠れさせてあげる辺りはカーニャが持っている優しさの一端なのかも知れない。

(へぇ、周りを見ても動じず、か)

 ――と言うか、二人は既にこの状況――――身動き出来ない兵士達を見て何かしら悟った様だ。

 姉の方はともかく、悠理が逃げ回っている理由を先に問う辺り、ノーレは先ず間違いなく気付いているのだろう。

 行動を共にしていく事で彼女達も確かに成長を重ねている、とレーレは感じた。少なくとも、悠理の行動に一々驚かなくなった所か、文句を言いに来る位には強くなったと思う。


「ああ、二人の事を“可愛らしい”って褒めたら急にレーレが怒り出して――――さぁぁぁぁぁぁっ!?」

 ――二人の成長に喜ぶべきかどうか悩んでいるレーレの目の前で悠理が派手に吹っ飛んだ。

 今の悠理に避けられないハズがないのだが、カーニャの渾身右フックが顔面にクリーンヒット!

 そのまま勢い良く拳を振りぬかれ、あらぬ方向へ飛んでいく……。

「な、ななな――――急に何言ってんのよバカッ!!」

 犯行の動機は――照れによるもの。実は彼が誰かを“可愛い”と褒めるのはかなりレアで、ノレッセアに来てからだって数える位しか言ってないハズだ。

 しかも、カーニャに関してはクヴォリアの地下室で起きた一件からこっち、悠理を見る目が変わってきている。これにはスルハで起きた例の件がキッカケでもあるのだが……。

 ともかく、そんな訳で彼女は今、彼を非常に意識している状態。そんな相手に突然可愛らしいと褒められたとなっては照れもする――――それで渾身の右フックが炸裂してしまうのか? と聞かれれば返答に困るが。まぁ、複雑怪奇な乙女心と言うものだろう。

「あ、あぅ……」

 暴力を伴ったカーニャの照れ隠しと違い、ノーレのリアクションはストレート。背中を向けて、真っ赤になった顔を両手で覆い隠し、小さく呻く。

 元々、大人しい性格で褒められ慣れていない故か、こう言うのには彼女も結構弱かったりする。

 ましてや、ノーレだって悠理の事は気になっている。自分と大きく違う価値観、異世界人。

 そう言うのを抜きにしたって興味は尽きない。だから、やはり悠理相手に容姿を褒められれば盛大に照れてしまう。何も不思議なことではない、それもまた乙女心。


『おー、容赦なくぶん殴ったな……って!?』

 派手に吹っ飛んだ悠理を良い気味だと笑うレーレだが……その方向に何があるのか気付いてしまったと言う表情。運が良いのか悪いのか、彼が着地した場所は――。

「――痛ってぇ……。良い拳持ってるじゃねぇか、カー……ニャ?」

「きゃぁぁぁん♪ いきなり押し倒してくるなんて――――だ・い・た・ん♪」

 ――吹っ飛んだ勢いにより、まさに押し倒した様な態勢でヨーハに圧し掛かっている悠理。侍女服を着ていても隠し切れない豊かな膨らみは自分の胸に触れており、顔も少し落とせば唇が触れる距離。

 この状態でも既に色々と大問題だが、更に問題なのは当の本人が嫌がっていないこと。

 それどころか嬉々として悠理にしがみ付いているだから、始末が悪い。周囲の女性陣達から立上る不穏な空気を背中に感じ取った気がして、彼の頬を汗がつぅーっと流れた……。

「オイ、ミスター。そこになおれや、俺のヘレンツァで潰してやるからよ……」

 予感は見事的中、所有物に手を出されたのが余程気に入らないのかセレイナがヘレンツァを構える。

 因みに、『潰してやる』と言った際にどうも股間あたりに視線を感じた気がするが……きっと気のせいではあるまい……。

「今のは不可抗力だろ! ヨーハもヨーハで嬉しそうにするなよ……」

 自分の無実を叫びながら、ヨーハをしがみつかせたまま難なく立ち上がる。そのままくっついた状態で居る侍女を無理矢理引き剥がすが、『あぁぁん、い・け・ず』と喧しかったのでそれは無視した。

 とりあえず、これで皆の怒りも静まり――――。

「――ねぇ、ユーリ? アタシ、聴きたい事があるんだけど」

 ――否、不穏、未だ去り止まず。気付けば背後は怒気を纏ったカーニャとノーレに固められていると言う緊迫した状況である。しかし、ここで慌ててはいけない。こんな時こそ冷静で居なければ。

「なんだいプリティガール?」

 まるで深夜の海外通販番組に出てくる司会もかくやというテンションでそれに応じる悠理。

 さり気無く褒めたのはきっと通じないと高を括ったからだ。

「プ、プリ? ――コホン、その人達誰? 何やら親しげだけど、事と次第によっては――――」

 案の定、カーニャには通じていない。異世界だから当然の事なのだが、こうして普通に会話出来ている以上、ニュアンスだけも通じる可能性はあると思ったのだが、警戒しすぎただろうか?


「え、グレッセ王国のお姫様(物理)とその侍女さん(変態ドM)だけど?」

 何当たり前の事を聴くんだ? と言わんばかりに首を傾げる悠理だったが――――どうやら二人は初耳だって様で……。

「へ、うえぇぇぇぇぇぇっ!?」

「お、おおお、お姫様が何でこんな所に?」

 姉妹揃っててんやわんや……。あからさまに王族への緊張を露にする二人。カーニャなんて驚きのあまり、咄嗟にノーレの後ろに隠れた程だ。

「――あれ、伝えなかったのかレーレ?」

 眷属姉妹に伝言を頼んだのだから大凡の状況は把握していると踏んでいたのだが……。

 それこそ、ここへ来た二人が周囲を見て驚かなかったのだから、悠理としては知っているものとばかり……。

『ん? ああ、そう言えば連絡来たから直ぐにお前の所に向かったんだっけか』

 どうやらやっと自分に出番が周って来た事でつい行動に移ってしまったらしい。

「ハッハッハッ、可愛いなぁこのうっかりさんめ――ぇぇぇぇぇッ!?」

 ――デジャヴとはまさにこのこと。本日二度目の廣瀬悠理のぶっ飛びある。

 しかもレーレの一撃は電光石火。流石の悠理でも咄嗟のことで威力を殺すことが出来ず……。

 そのままメレッセリア郊外の森へと消えて行ってしまった……。

『かかか、可愛いとか言うんじゃねぇぇぇ!』

 夜の森へ吹き飛んで行った悠理に向かってレーレの可愛らしい叫びが響く。

 本当は言って欲しかったのに、いざ言われてみればコレである。やはり乙女心は複雑怪奇に違いない。


「――オイオイ、俺様達はこんなアホ共に助けられたのか?」

 目の前で繰り広げられた寸劇にバカらしくなって溜息を吐くセレイナ。

 それを見てヨーハは愉しげに笑う。

「賑やかで良いじゃないですか。それに――」

 視線を悠理が飛んでいった方向から真逆の空へ移す。その方角は語るまでもなく――――グレッセ王都。

 詳しく言うなら、そこに居るであろう一人の騎士に思いを馳せる。

()を救うにはあの人の力が必要です。私達ではもう――――」

 ――もう、届かない。ありったけの悔しさを込めて呟くヨーハに、普段のふざけた態度は微塵も見当たらない。

 事態はそれほどまでに深刻。力の限界にぶち当たった者が取る諦めに似た焦燥感。

「……ッ、出来れば自分の力で何とかしたかったんだがな……」

 セレイナもその事には十分気付いている――が、気付いていても認めたくない事はある。

 今回の件はグレッセ王国の姫として、意地でも自力で解決したいハズだ。

「身勝手ではありますけど、この際彼に任せてしましょう♪」

 ――その気持ちを尊重して尚、ここで彼の者に命運を託す。

 この窮地から自分達を救ってくれた青年に。

「癪だが、もう選好みは出来ねぇ、か……」

 覚悟を決めたように苦々しく吐き出す。これから先、グレッセ王都で待つ最凶の敵との戦いに果たして勝利を掴めるのか?

 ――廣瀬悠理とカーネス・ゴートライ激突までのカウントダウンはここに切られたのだった。

明日はどうなるかね……。


金曜日って偶に食事に誘われることがあるから、ロクに更新できないかもねぇ……。

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