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召喚者は究極自由人!  作者: 暮川 燦
第一章・召喚されし男とグレッセ王国編
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命運を握る者達?・その1

長くなっちゃったので区切りまーす。


多分、今日中には書き終わらないから、これで今回の更新はお終いですかね。

「ルンバ・ララは俺が倒した! 出来ればこれ以上手荒な真似はしたくない、大人しく拘束されてくれないか?」

 地面へと倒れ伏したルンバを見つめ、唖然とする兵士達。彼等が感情で持って暴走を始める前に悠理は叫ぶ。出来れば戦いたくないと言う思いは変わらない。一時とは言え行動を共にした仲、そう簡単に敵と割り切って捨てる事は中々出来ないものだ。

 もし彼が望むなら、身に宿す“千変万化”が何の迷いも持たない“非情な戦士”へとその精神を強化するだろう。――多分、悠理はそんな事を望みはしないだろうけども。

「――解ったよ新入り……」

 誰もが隊長の敗北に愕然とする中で、悠理と行動していたあの先輩兵士が真っ先に恭順の意を示す。

 これはきっと彼なりの敬意、先輩兵士は先輩兵士で悠理の行動を慮ったのではないだろうか?

 自分がこうして真っ先に折れる事で、周囲が余計な騒動を起こさぬ様に抑制したのだ。現に彼がそうした結果、残りの兵士達も次々と大人しく武器を下ろして行った。

 元々、コルヴェイ王に負けて強大な力を持つ個人へトラウマを抱える者の集団……。なじる訳ではないが、そんな彼等が本能で強者と認めた悠理に歯向かう訳が無い。故郷が滅んだ時と同じ様に服従を選ぶ、生き残る為に。

 そんなルンバ隊を見てホッとするのと同時に、強大な力で相手を捻じ伏せる事への不快感を覚える悠理。こうも一方的な戦い――――いや、戦いにすらならない状況を楽観的な気持ちでは居られない。

 王道ファタンジーのチート主人公が、自分の能力で敵をバッタバッタと薙ぎ倒し、悦に浸ると言うのは良くある話……。しかし、ソレは嘘に違いない。或いは悠理の性格ではそこまでの心境に至らない――と言い換えるべきか。

 ――例え、どれほど正当性があった上で力を振るおうとも、そんな奴はやはり卑怯者なのだ。圧倒的な暴力で捻じ伏せたのには変わりないのだから……。

 ともあれ、ここに一応の決着が着いたのだから、いつまでも負の思考に陥っているのは勿体無い。

 悠理は取りえずそう思う事にして今度こそ安堵の息を吐く――。


「――ふい~、これにて一件落ちゃ……」

「おいゴラァッ! テメェ、“グランディアーレ”をこんな近距離で振るうとは何考えてんだドアホォッ!!」

 ――ホッと一息つく間もなく、セレイナ胸倉を掴まれ問答無用に揺すられる。そりゃもう、凄い勢いでぐわんぐわんと。

 行動を起こした動機は怒り3割、焦り7割り。かの剣の悪辣さを熟知している彼女にとって軽いパニックもの。

 かつてグレフ・ベントナーがとある淫魔を打倒する為に造り上げた秘蔵の剣。その存在は強力過ぎた為に闇へ葬られたハズなのだ。

 それがこんな場所にある事が既に異常事態であるのに、目の前で振り回されたとあっては軽い錯乱に陥るのも無理のない話。

「あばば……!? わ、私達の“祝福”が傷モノに……!」

 ヨーハも顔を真っ青にして大げさなほど震え、いつも以上にオーバーな表現を口にした――――いいや、全く持ってオーバーでもない。

 何故なら、“グランディアーレ”は“祝福を傷付ける”からだ。祝福殺しと違って完全に能力を無効化するのではなく、症状自体は喪失と比べればまだマシ。――と言っても、この力の恐ろしい所は傷をつけられたら治らない所にある。

 祝福が傷つくと言う事は、能力の“機能不全や劣化”を意味し、それが一体どういう形で現れるかは特定不可能。

 いつも通り能力を使おうとしてもそれが出来ない、或いはさっきまで大丈夫だったのに突然使えなくなる――など、症状は性質の悪いものばかり。いっそのこと能力を失った方がマシだった、と証言する者も居る。

 中途半端に力が残っている事が不運。生まれてからずっと自らの中にあった才能に、人は誰しも縋り、当たり前だと勘違いしてしまう。

 才能を失った時、もしくは絶頂期の力を発揮できなくなった時、どれだけ恵まれていたかを知り絶望するのだ……。それが破砕剣“グランディアーレ”の悪辣さである。 

 

「だだだ、大丈夫、大丈夫、そこの辺りはちゃんと、制御して、てててっから!!」

 セレイナに身体を激しく揺さぶられ続ける悠理は何とかそう弁明する。

 ――グランディアーレの力についてはグレフから聴かされていた。だからそこは既に対策済み、彼の意思一つでコントロール出来る様に“改竄”してある。

 しかしそうでなくても、一振りすれば暴風を巻き起こす程度には強力無比な代物であるのに彼も驚いたが。

 何だかんだと言って使う機会がなく、今回が初お披露目――――と打ち明けると、怒られそうなので黙ってお口にチャックである。

『案外あっけなかったよな……。それはそうと――――さっき誰が可愛らしいって?』

 不機嫌さを全開にしてジトを向けるレーレ。どうやら先程ルンバに『可愛らしい子から求められたら期待に応えるのが男』と言った事に対して嫉妬深さを発揮した様だが……。

 この自由人に果たしてそれが伝わるかどうか――。

「カーニャとノーレだけど?」

『ぶっ殺すぞこのやろー!』

 ――根が素直だからと言って必ずしもプラスに物事が運ぶとは限らない。

 正直すぎた悠理の解答は火に油、レーレの怒りを買うものでしかなかった。

「お、おい、何怒ってんだよ?」

『怒ってなんかいねぇよバーカ!』

 当然の如く、彼女がご立腹の理由に検討すらつけられない悠理。これは彼自身が“自分に嫉妬される程の魅力が無い”と思い込んでいる所為なのだが……。ここまで鈍感であると原因はそれだけじゃないのかも知れない。

 レーレは怒ってないと言いつつ、執拗に彼の脛を狙う。だが当然悠理も逃げる――しかし、逃げれば勿論彼女もそれを追う。

 そして未だに自由を奪われて満足に動けない兵士達の目の前で逃走劇が始まる。なんとしまらない姿なのだろうか? これが戦いを制した勝者の姿だと思うと、敗者はバカらしくなるもので……。

「――プッ……、クククッ。何だ……、モテモテじゃないか新入り!」

 ついに笑いを堪えきれなくなった兵士がそのバカらしさに噴出す。それはやはりと言うべきか先輩兵士からのもの。

 そして最初に彼を基点として周囲がそうした様に、笑い直ぐ様伝染する。

「――ハハッ、何だこの光景は?」

 異様とも言えるその光景に耐え切れずセレイナも笑う。

 先程まで戦っていたハズの者達が敵味方の境界を取っ払って共に笑っている……。

 普通なら有り得ないハズの出来事、大げさに称するなら――奇跡。

 傷付いて傷付けて、憎んで憎まれてが当然、それが戦うということ。なのにこの光景は現代で言うなればスポーツ染みた爽やかさがある。 

「不思議な方ですねぇ……」

 どこか感心した様に呟いたのはヨーハ。視線の先に居る男がこの光景を作りだしたのだ……。

 今までに出会った事のない未知の存在――――ミスターフリーダム、廣瀬悠理。

 楽しそうに逃げ回る彼等を見て、ヨーハは確信を抱く。

 ――彼こそ、グレッセの命運を握る者であると……。

――しまった、ルンバさん達まだ仲間になってない……。


さ、詐欺じゃないよ! 調整が上手く行かなかったんだよ!


あ、それと、昨日減ったと思ったら今日は二件ブクマが増えてました。


嬉しいけど、何でだろね?

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