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私だけ  作者: snowman
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3ページ目

 

 私と彼の間には、15年という隙間がある。

数字にすると途轍もなく永く感じるその距離も、私には見えなくなっていた。

彼はとても若く見えるし、私よりも遥かに多くのことを経験している人としての大きさとチラチラと覗かせる子供っぽい部分に惹かれてしまう。


 週に1・2度しか会えないけれど、その僅かな時間で私たちはたくさんの話をした。

酔っ払ってしまうとすべて忘れてしまう彼は、きっと半分も覚えてはいないだろうけど。


 二人きりで仕事をする日もあった。

彼も私もお酒を飲まずに素面で話す貴重な時。

その時だった。

とても衝撃的な話をされたのは・・・


「前の彼女とプール行った時さ・・・」

普通に聞いていたけれど、ちゃんと聞いてみると彼は過去に不倫していた。

昔働いてた店のホールの子に告白されて、一度は断ったけれど付き合ってしまったらしい。

「俺ダメなんだ。好きって言われると、自分も何か返さなきゃって思って気付いたら好きになっちゃってさ」


ショックだったのか・・・


今でもあの時の感情は分からない。

キレイ事を並べても、私だってその立場になりたいと思っているということは事実だった。


「まぁ・・・お前に手出したらチーフ(私の上司)に殺されるけどな」


この言葉の方がショックだったかもしれない。

『お前には手出さないから。これ以上好きになるな』

と言われている気がした。


すでに私は飼い犬のように、彼に少しでも構って貰えるように隣でヘラヘラと尻尾を振っているようなものだったから。



 そんな中、仕事はあまり上手くいっていなかった。

上司との関係や、急な移動話・・・

どうしていいか分からなかった。

移動してしまったら、もう彼とは会えなくなる。

移動する先はあまり評判の良くない店舗で、彼も「お前をあの店には行かせたくない」と言うほどだった。

それでも上司の言うことには逆らえない。

彼もそれを分かっていて「いつでも相談しに来い」と言ってくれた。



 頑張ろうと思った。

でもそれは時を程なくして脆く崩れ落ち。

私は始めて自分が壊れると感じた。

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