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38話・それがなぜ、私のせいになるの?


「どうする? クリュサオル殿?」


 判断を仰ぐようにアコダが聞いてくる。その隣にはカルロッタもいる。


「いつものように消してくれ。12人もいるから二人で頼む」

「了解」


 そう言うなり二人は、石工達に向けて何か眩い光を放ったと思ったら、この場から皆を連れて瞬間移動した。急に大勢の人が消えて驚いた。竜人が魔法を扱うのは、以前アコダにハムスターの姿にされた時に知ったが、大勢の者達を移動させる力があるなんて驚いた。


 彼らを見送ってからノアールは、隅の方に隠れていたリョクショウに声をかけた。


「リョクショウ。おまえからは何もないのか?」

「えっ? わらわ?」

「何も気が付いていないのか? それとも演技か?」


 リョクショウは、ノアールに声をかけられると笑顔を見せて駆けつけてきた。背後からブルーノが止める声が上がったようだが、彼女は気にしていなかった。


「リョクショウ!」

「ノアールさま。助けてくれてありがとう」


 ノアールに飛びつこうとした彼女から、不快な匂いが香ったと思ったら、彼は彼女の手を掴んでいた。


「無自覚か? 意図的に行っていたのか?」

「何を言っているの? ノアールさま」

「私がこの匂いの正体に気が付かないとでも?」


 ノアールに腕を掴まれたまま、リョクショウはキッと私を睨みつけた。


「わらわの邪魔をしているのはおまえか?」

「何のことですか? 知りません」


 ノアールから良い反応をもらえなかったからって、私のせいにされても困る。私は何もしていないのにと言えば、彼女は顔を顰めた。


「わらわの魅了にかからないなんて……、石工達も正気に戻ってしまったし、考えられるとしたら、おまえのあの変な声のせいに違いない」

「やっぱり、石工達を惑わせてこの山に連れてきたのは、おまえだな?」


 ノアールに睨まれて、彼女は目を潤ませた。


「ノアールさまの顔、怖い。嫌だ」

「元からだ。悪いな」


 ノアールは彼女の涙に、絆されることはなかった。そればかりか彼女に冷たく言った。


「随分と器用に泣けるのだな?」

「酷い。わらわはノアールさまに疑われて悲しいのに」

「誤魔化すなよ。おまえ魅了の力を持っているだろう?」

「この女に何か言われたの?」


 リョクショウはノアールに疑われていると気が付いたようで、私を再び睨む。だから何も言っていないのに。なぜ、私のせいになるの?



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