33話・古い物より新しい物がいい
「そうか。ではそれからはそのブルーノと、竜胆と三人で暮らしてきたんだな?」
「はい。三人家族のように楽しく暮らしてきました。でも、昨年竜胆さまが亡くなられた後は、ブルーノと二人で暮らしていますの」
「あの屋敷だが、竜胆が暮らしていた時と随分、違うんだな」
「お屋敷も大分、傷んできていたので、建て直したのですわ。見事でしょう?」
「確かに素晴らしい建物だった。でも、個人的には前の屋敷の方が良かった。竜胆の温もりが感じられたから」
「そう? 古い物より新しい物の方が良いわ。ジジイの青金さまよりも、ノアールさまの方が数倍素敵」
リョクショウが胸元で両手を組んでノアールを見つめる。竜王を貶めるような発言をした彼女に、殺気立ったのはアコダだった。
「貴様、青金さまに対して無礼だぞ」
「待て。アコダ」
「何が悪いの? オジサンよりも若い人の方が遥かにいいでしょう?」
リョクショウは、きょとんとしていた。アコダの怒りの理由が分からないようだ。カルロッタは、今にも斬り捨てようとしたアコダを止めた。
「アコダ。相手は拙い幼子だ。許してやれ」
「わらわは幼くはない」
カルロッタは考えなしに発言したリョクショウを、頭が足りていない子供のような者と称したのに、彼女にはその嫌味が通じていなかったようだ。二人のやり取りを聞いていたノアールが、ため息をつきながら聞いた。
「リョクショウ。おまえの住んでいる屋敷は誰が建て替えた?」
「石工達よ。皆、わらわの為に何でもしてくれる」
「彼らはこの山の麓の町に住む石工か?」
「そうよ。彼らは仕事が無くて困っていたみたいだから、良かったらわらわの下で働かないかって声をかけたの」
「どこで彼らと会った?」
「この山の麓の町よ。出かけて行った先で会ったわ」
「この山には結界が張られているのに、どうやって外に出た?」
「えっ? 山の裏手の崖に洞窟があって、そこから出入りしていたけど?」
リョクショウは、ノアールの問いに正直にペラペラと喋った。
「このノースデン山は青金さまの結界が張られている。結界の外に住む者をこの山に呼び入れることは禁止されている」
「わらわは結界とか、そんなの知らない」
「竜胆から何も聞いていないのか?」
ノアールの眉間に皺が寄る。リョクショウは、困っていた石工達を助けたのだと言って、自分が悪いとは思っていない様子だった。




