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31話・竜胆は作られた存在?


「盲点だったな。ノースデン山に住む者は、外の者と関わり合わないのが当然だと思い込んでいた。さすがはサーラ。私が見込んだ助手だ」

「あくまでも私の憶測でしかないですけど……」

「確かに見る視点を変えてみるのも一理ある」


 ノアールに感心したように言われて、恥ずかしくなった。アコダとカルロッタも頷く。


「ただ、そうなるとあの石工さん達が招かれた相手は誰かとなり、一番、怪しそうなのはリョクショウさんですけどね」


 彼女にはあまりいい感情を持てないでいる。だから猶更、怪しく思えるのかも知れない。


「あの女は竜胆を食らった女だしな、怪しいのは確かだ」

「竜胆もどうしてあのような者を傍に?」

「ロージイの話では、捨て子を拾ったと言っていたな?」

「竜胆が捨て子を拾って育てることはよくあることよ。成人するまでは面倒を見てあげていたじゃない。竜胆に面倒を見てもらったあの山の子達は、母親と慕っていたわね」

「それが今回は仇になったということか?」


 アコダやノアールが不思議がると、カルロッタは、面倒見が良かったからと言っていた。私は竜胆がどんな人かは知らない。それでも山の管理人として皆に頼りにされる存在だったに違いなかった。


「リョクショウさんと一緒にいるブルーノさんは大丈夫でしょうか? リョクショウさんに食べられてしまったりしない? 保護した方が良いのでは?」

「恐らく大丈夫だろう」

「なぜ?」

「ロージイが言っていただろう? ブルーノは竜胆の内縁の夫だったと。あの女にとっては父親のようなもの。食べることはないだろう」

「でも、竜胆さんは食べたのでしょう? 食らったって伯父さんが……」

「あ──。誤解させていたか。食べたのは竜胆の体ではなくて、彼女の核となっていたもの、つまり青金さまが与えた魔石だ。それによって竜胆は妖精のような存在となり、青金さまの命を受けて山の管理をしていた」

「竜胆さんは、青金さまに作られた存在?」

「そうだ」


 花から妖精を作ってしまうだなんて。青金さまは創造主のようだ。竜人である伯父さんが魔法を使えるくらいだから、その王である青金さまはやれて当たり前というか、当然のようなものなのだろうけど。


「ブルーノさんはそれを知っているのかしら? ブルーノさんって、崖から落ちて足を捻っていた上に、記憶を失くしていたから保護されたとか言っていましたよね? 記憶は戻ったのかしら?」


 確かロージイからそんな話を聞いた気がして呟けば、ノアールが反応を示した。


「彼は外から来たのかも知れない」

「……!」

「崖はこの山の外れにある。竜胆は結界の様子を毎日、見に行っていたはず。そこで彼を見つけたのではないか?」

「ブルーノさんは崖の外にいた。つまり結界の外にいたと? そしてそれを見つけた竜胆さんが何か思って結界の中に入れたと?」


 聞き返せば、ノアールは頷いた。アコダもなるほどと、頷いた。


「そうか。竜胆が亡くなったことで魔石を飲み込んだリョクショウが、竜胆の記憶を受け継いだ。それなら山の中から外にいる者を引き入れることが出きる」


 ノアールの見解は、竜胆が結界の張られている山の崖の外に、ブルーノが倒れているのを発見し、結界の内側に引き入れたというもの。アコダは竜胆がそういう行動を取ったので、それをリョクショウが魔石の記憶を通して知り、石工をこの山へ招いていたのではないかと言った。全て推測でしかないが、まずはあの二人に聞いてみようという事で話は終わった。



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