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28話・人魚はプライドが高いらしい


「いえ、そんなでもないです。伯父さん、人魚とノームさん達の間に何があるの?」


「そうだな。この場にジグルドが要れば話したと思うが、人魚は神代から続く一族で、我々竜人や妖精たちよりも立場が尊いとされている。そのせいで人魚はプライド高く、自分達の一族以外をどこか下に見ている部分がある」

「もしかして私のお母さんも、お父さんを見下していた?」

「それはない。おまえのお父さんたちはお互いを同等に見ていて、他の種族に対しても親切だった」


 アコダの話を聞いて安心した。私の実母は憧れていたフィロメーラさまだった。フィロメーラといる父は幸せそうだったから、実は上下関係にあったとしたら嫌な気がした。それにしても人魚だからどうしたというのだろう? その人魚至上主義が納得いかなかった。


「人魚が神代から続く一族と言っても、そんなに大したことないのにね。海の中の世界しか知らないのでしょうし。私から見れば海の中で閉鎖的に暮している人魚よりも、想像が豊かで、何かを生み出す特殊な能力があるノームさん達の方が100倍も魅力的だわ」

「ありがとう。嬢ちゃん」

「ありがとうございます。人魚の姫にそう言われたなら、私達の先祖たちもどんなに喜んだでしょう」

「そんな、大げさですよ」


「それが大げさでもないんだよな。ノーム達は人魚に嫌われたことで妖精界を追われたからな」


「そんな。酷い。伯父さん、誰がそんなことを?」

「人魚達を束ねる王だ。海王が彼らを醜いと馬鹿にした」

「何て失礼な。そのようなこと気にしなくていいですよ」

「お優しい。あなたは人魚の姫なのに、心根も優しいのですね」


 そうだと言ってチムが、懐から何かを差し出してきた。


「これはオーロラの櫛です。これで髪をすくと髪の毛が艶々になりますよ。差し上げます」

「いいの? 頂いても?」

「お礼です」

「良かったな」


 アコダと、カルロッタが微笑んでいた。もしも、この場に父や母がいたのならこんな風に自分を見てくれていたかも知れない。そう思うと天の国に行ってしまった父ジグルドや、母のフィロメーラを思い切なくなった。




 それからも私達は二手に分かれて、山を探っていた。すると何人かの石工に出会うようになった。彼らは孔雀石を掘り起こしていて、そこを見つけて声をかけると逃げ出していくようになった。もしかしたら私達がこの間、出会った石工が何か言っていたのかも知れない。彼らがいなくなった石工かどうか確認して、どうしてこんなことをしているのか聞きたいのに、それも聞き出せないまま一週間ほど経っていた。

 そんなある日の事。


 森の中から男の人達が、争っているような声が聞こえてきた。近づいてよく見ると、一人の若者に二人の男性が絡んでいるようだ。


「うるせぇな、だからどうした?」

「リョクショウは、そのようなことを望んでいない」

「あんたさ、ブルーノさんだっけ? リョクショウさまのお気に入りだか何だか知らないけど、俺たちの邪魔をするなよ」

「俺たちのすることに邪魔するなら、痛い目に合うぜ」


 どこかで聞いたような声音や口調だと思えば、この間ノームのウェデルが止めようとした孔雀石を、無断で持ち去ろうとした石工の二人だった。


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