25話・ウェデルは既婚者で30歳?
「さあさ。皆さま。席に着いて下さい。お食事の用意は出来ております」
「サーラ、こっちだ」
ノアールに促されて席に着けば、アコダ達も席に着いた。足のない椅子に座るのは初めてだけど、なかなか座り心地は良かった。そこへお盆に足が付いたような物を持って数人のノームが現れた。それぞれ私達の前に置いていく。そのお盆には料理が乗っていた。新鮮な野菜サラダに、揚げパン。豚肉と野菜や豆をとろとろに煮込んだ具沢山スープに、こんがり焼き目のついた鶏もも肉のコンフィー。そして果実の飲み物らしきものがグラスに入っていた。どれも美味しそうだ。
「ここはロージイさんのお住まいなのですか? 家族が多いのですね?」
給仕をしているノーム達は、ロージイの家族らしく、婆ちゃん次はどうする?と、指示を仰いでいることから、側にいたロージイに聞けば頷かれた。
「我々ノームは大家族なのですじゃ。先ほどサーラさまが会ったウェデルには、7歳になる子供もおる」
「えっ?」
「奴は30にもなって落ち着かなくてのう。先行きが心配じゃい」
それには大変驚いた。ウェデルはてっきり見た目の幼さもあって、10代の無鉄砲な少年かと思い込んでいたのだ。
──私よりもはるか年上?!
思わず注目してしまうと、ウェデルは恥ずかしそうに目を逸らした。家庭持ちで子供もいたら、少しは落ち着いて欲しいと親としては思うのだろう。だからロージイは、きつい言い方をしていたのかと思った。
「じゃあ、爺ちゃん。婆ちゃん。私達帰るね」
「皆、ありがとうね」
料理を全て運び終わると、給仕してくれていたノーム達が、ロージイ達に声をかけて部屋から出て行ってしまった。
「皆さん。帰るってどこに? 一緒に暮らしているんですよね? ロージイさん」
たった今、ロージイからノームは大家族だと聞いたばかりだ。当然、一緒に暮らしているものと思っていた。
「一緒に暮らしておるぞい。ただ皆、別々に家族で暮らす部屋がある」
「……?」
どういう意味なのかと思っていると、彼らの事情を知るノアールが説明してくれた。
「ここは私達の住んでいる集合住宅と同じだ。玄関は一つで共有している」
「えっ? 今、出て来たあの穴?」
「あそこは緊急時の出口だ。滅多に使われないな」
ノアールが苦笑する。つまりちゃんとした玄関が存在するってこと? 私達の場合は、危険な目に合いそうになって、急遽ウェデルに連れて来られる形となった為、あの緊急時の出口を使うことになったのは分かるけど、それならどうしてノアール達は、あの穴から出て来たの?
「ちょっとその場から逃げ出さなくてはならないことが起きて……」
「何かあったの?」
「いやあ、大したことではないんだ」
ノアール達が、緊急時の出口を使ったという事は、何か危ない目に合いそうになったのではないの? と、不安になると、ノアールがそれよりもと話し出した。




