24話・ノームの家
「お帰り。ウェデル。あれまあ。カルロッタさま?」
「チムか? 久しぶりだなぁ」
「婆ちゃん。知り合い?」
「こちらは坊ちゃんの護衛を務めていらっしゃる、アコダさまの奥さまよ」
「この子はチムの孫だったのか」
意外にも助けたノームの祖母チムと、カルロッタは知り合いらしい。チムは私に目を止めた。
「こちらのお嬢さんは?」
「夫の姪だよ。ジグルドの娘だ」
「まあ、そうでしたか。私はこの子、ウェデルの祖母のチムです。あのジグルドさまに、このような大きなお嬢さんがいるとは思いもしませんでしたわ」
優しそうな風貌をした老婦人は、にこにこと笑いかけてきた。チムは私の父のことも知っているようだ。
「でも、どうしてお二方がウェデルと一緒に?」
「それはこの方たちが助けてくれて……」
ウェデルが私達に会った時の話を聞いたチムは、深々と頭を下げてきた。
「孫のウェデルを助けて頂きありがとうございました。大したおもてなしは出来ませんが、食事を一緒に如何でしょうか?」
「良いのかい?」
「勿論です。もうそろそろ、うちの主人もお客さまを連れて帰るでしょうから。主人は張り切って先ほど、出かけて行ったんですの。坊ちゃんとそのお連れさまを、我が家へご招待したいから、ご馳走を用意しておいてくれと言って」
坊ちゃんという言葉が出て来て、もしかしてチムの旦那さまとは──と、思っていたら、「うわああああっ」と、言う聞きなれた大声と共に、私達が先ほど出て来た穴からロ-ジイと、人が飛び出してきた。アコダとノアールだ。大声を上げていたのはアコダのようで、ノアールは澄ましていた。
「チム。今、帰った」
「お帰りなさい。旦那さま」
「いま、坊ちゃんのところに顔を出したら、二人がまだ帰って来ていないと言われてのう。そのお二人じゃが……おんや? どうしてここにカルロッタさまとサーラさまが? 今、お誘いに上がったところですじゃ」
チムに出迎えられたロージイは、まだ客人が揃っていないと言いたかったのだろう。ところが先にカルロッタと私がいたので驚いたようだ。
「ウェデルが、お二人に助けてもらったのだそうですよ」
「おまえはまた、危ないことをしたのか?」
「だって、爺ちゃん。あいつらまた、仲間の家の屋根を掘り起こしてどっかに持っていこうとしていたから」
「確かに無鉄砲な行動だとは思ったが、仲間思いの良いところがあるじゃないか。ロージイ」
「それはそうじゃが……」
「まあ、勇敢なのは良いことだ。家族を守るためにはそれぐらいの意気込みでないとな」
「それにしても、おまえと言うやつは。一歩間違えれば……」
ロージイは目を吊り上げた。ウェデルは不貞腐れた様な顔をする。カルロッタとアコダはさりげなくウェデルのフォローをしていた。ロージイが孫を叱るその脇で、チムは涙ぐんでいた。
「しかし、坊ちゃん。大きくなられましたねぇ」
「チムまでその坊ちゃんと言うのは、止めてくれ」
チムはふふふっと笑った。ノアールは参ったなと頭を掻く。横では説教が続きそうな気配があったが、チムがロージイを諫めた。
「旦那さま。お客さまは揃ったのでしょう? もうその件は終わりにしてお食事にしましょうよ」
「……そうじゃな。では皆さま、こちらへどうぞ」
ふかふかの絨毯はリビングいっぱいに広がっていた。その一角に、床座席とクッションが置かれていた。




