23話・危険回避?
「待て」
「うるせぇんだよ」
男の一人を足止めしようとしたカルロッタに、乱暴にも片方の男が殴りかかろうとした。
「カルロッタさん、危ないっ」
すると殴りかかったはずの男性の前で、カルロッタが素早く身を屈めたと思ったら、男の体が吹っ飛んでいた。残された男も「こいつ──」と、言いながらカルロッタさんに向かってきたが、その手を掴んでカルロッタが体を捻るとあっけなく地に沈む。
「カルロッタさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。一応、加減はしたが気を失っているみたいだな。その隙に片付けるか」
カルロッタはそう言いながら、軽々と男たちが二人がかりで持ち上げていた孔雀石を、元の位置に戻した。ノームは感謝していた。
「ありがとうございます。助かります。こいつらは僕らの仲間の家の屋根を根こそぎ持っていくので困っていました」
気絶した男たちに近づくとある匂いがした。どこかで嗅いだような? と、思っていると茂みの向こう側から数名の者達が近づいて来る気配が感じられた。
「おーい、そっちはどうだ?」
「こっちは終わったぞ」
「見つかったのか?」
遠くから恐らく仲間の石工だろう。がやがやと声がしてきた。数十名の男たちが向かってきているようだ。
「何てことだ。仲間が他にもいたのか」
カルロッタが参ったなと呟くと、ノームに手首を掴まれた。
「お二人とも早く、こちらに」
ノームが促した場所には穴が開いていた。躊躇うと突然「失礼します」と、声がしたと思ったら背中を蹴られていた。あっという間に穴の中に落ちていた。
「うわあ──っ。ナニコレ──!」
中は異様だった。明るく白い空間が細く長く続いているようだ。見かけはそんなに大きな穴に思えなかったのに、穴の中はトンネルのようになっていた。中は滑り台のようになっていて、体が滑って下へ下へと落ちていく。ようやくこの先に終わりが見えてきたと思ったら、穴から飛び出していた。抜け出た先はリビングのようだった。天井や、床、壁がきらきらと光を放っていて綺麗だった。テーブルや椅子も材質は白木の木材のように感じられるけど、それよりもしっかりとした質感が感じられ、見た目よりも硬質な気がする。
恐らくここはノームの住まいなのだろう。ノームは鉱石の中に住まいを作ると言っていたから、ここはその中に違いなかった。足元には若草色したふかふかの絨毯が敷かれていた。そのおかげで落下時の衝撃は抑えらえた。
穴から飛び出した私達を出迎えたのは、優しそうな風貌をしたノームのお婆さんだった。




