22話・出会った男達
それから一週間ばかり、ノースデン山の麓にある町に再び、石工達のことを色々と聞いて回ると、彼らがいなくなった後で、山の方から何かを叩いて割るような音が毎日のように聞こえてくると言っていた。そこから考えられることは、行方不明の石工はこの山のどこかに入り込んで、鉱石を掘り出しているのではないかと言う事。
行方不明の石工は12人。そんなにいたら目立つと思うのだけど……と、思いながら山の中をカルロッタと一緒に見て回っていると、「ヤッターッ」と、言う男の声が聞こえてきた。
「見ろよ。これ、大きいぞ」
「リョクショウさまもお喜びになられるだろう。さっそく持ち帰って作業するぞ」
二人の男が掘り出した大きな孔雀石を見て喜んでいた。そしてその石に何かついていることに男の一人が気付き、片方の男が石の下を見て目を見張った。
「何だ? こいつ」
「小人だ。邪魔するな」
二人は石を持って振り払おうとする。一人のノームが石に張り付いていた。
「返せ。人間ども。これは仲間のものだ」
「おまえのような小人には勿体ない。使い道がないだろう?」
「石工の俺たちが上手く使ってやるよ」
「このっ! 泥棒!」
「痛いてぇ。こいつ──!」
手を噛まれて怒った男がノームを地面に打ち付けた。それを目撃した私は黙っていられなくて進み出た。
「あなた達、何をしているの?」
「おまえらこそ、何者だ?」
「我々か。我々は調査員だ。この山の生態調査をアイオライト公爵から依頼されて調べている。サーラ、ノームを頼む」
男から問われて、一瞬躊躇した。自分のことを何と言えばよいのか迷ったのだ。女王直属捜査官クリュサオルはノアールだ。本人の承諾なしに、その助手をしています。なんて名乗れないなと思ったら、私の代わりにカルロッタが答えてくれていた。公爵に依頼された調査員と聞いて、男たちは疑いもなく受け入れたようだ。私はカルロッタの誤魔化しに感心した。
──そうか。生態調査員ね。その設定なら無理もない。
私が地面に打ち付けられたノームを救いあげると、カルロッタが石工と向き合っていた。ノームは背中を強く打ち付けたようで痛そうにしていた。
「君たちは見たところ石工のようだが、その孔雀石はここから持ち出すのは禁止だ」
「はあ? この山の管理人はリョクショウさまだぞ。俺たちはリョクショウさまから許可は得ている」
「この山の持ち主は、アイオライト公爵だ。公爵の許可なく鉱石を持ち出せば罪に問われるぞ」
カルロッタに叱責された男たちは、お互い目配せをした後、後退りその場から逃げ出そうとした。




