表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/46

19話・竜胆は死んでいた?



 ノアールに相手にされなかったせいか、リョクショウは緑色に染めた長い爪先を弄び、つまらなそうに答えた。アコダが聞いた。


「先ほどからその竜胆の姿が見えないようだが、竜胆はどうした?」

「お館さまなら身罷られた」

「亡くなっただと? いつだ?」


 彼女は軽く言う。竜胆が亡くなったと聞き、アコダやカルロッタ、ノアールから表情が抜け落ちた。


「去年の秋じゃ。その頃には体力が持たないと言って……」

「嘘だ。そんなはずがない」

「信じられません」


 ノアールが否定すれば、アコダやカルロッタも不審そうに彼女を見た。


「おまえさんからは竜胆の気配が感じられる。まさかおまえさん、竜胆を食らったのか?」

「それの何が悪いのじゃ? 我らの世界は弱肉強食で成り上がっている。それは自然の摂理じゃろうが」


 アコダが怖いことを言い出した。食らう? それってどういうこと? 嫌な想像が頭の中を過る。彼女はそれのどこか悪いのかとけろりとしていた。平然とした態度に怖いものを感じた。


 そこへ奥から声がして一人の若者が姿を見せた。茶髪にこげ茶色した瞳を持つ彼と目があい、彼が誰かに似ているような気がしたが、思い出せなかった。彼とは初めて会った気がしない。


「リョクショウ。お客さまですか?」

「ブルーノ」

「お客さまを屋敷の中にも入れず、このような場所で立ち話とは失礼ですよ。皆さま、どうぞ中へ」


 ブルーノと呼ばれた若者は、この屋敷の使用人なのだろう。主人であるリョクショウを窘めるような様子を見せたが、先代の竜胆を食らったと発言した、妖艶な美貌を誇るリョクショウに仕える者だ。見た目は優しそうな風貌をしているが、うっかりお誘いに乗って屋敷の中に入ったが最後、頭からぱくりと食べられたりするのは御免だ。私は思わず隣に立つノアールの袖口を掴んでいた。ノアールは私の顔を見て言った。



「いや。私達はこれで失礼する」

「あの、何のお構いもしないで申し訳ございません」


 私が慌てて袖口から手を離すと、その手をノアールが掴んでいた。踵を返したノアールに手を引かれるようにしてついて行くと、その背にペコペコとブルーノが頭を下げているような気がしたが、この場から少しでも早く去りたいような気持ちでいた私は、それに対して何も言わずに退散することにした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ