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16話・ノームのところへ里子に?


「ノアールさんは、ここへ前にも来たことがあるのですか?」

「私は子供の頃、ロージイのもとへ里子に出されていたから、この山のことは良く知っているんだ」

「里子?」


 リョクショウを名乗る者に会いに行くことになり、整備された道を歩きながら話をしていると、聞きなれない言葉が出てきて、思わず聞き返してしまった。世間一般的に養子の話はよく聞くけれど、里子なんて言葉を聞いたことはない。どういうことなのだろう? と、思えば、ノアールが言った。


「父親の方針で、物心ついた頃にはロージイに預けられていた」


 ノアールは、お貴族さまだ。貴族は私達平民とは違い、親でも子供の面倒を直接みようとせずに、使用人に任せることがあると聞いている。私が働いていたボーモン子爵家でも、お嬢さまだったマリアナは乳母のクラリーに育てられていた。実際、あの二人は血の繋がった母娘だったけれど。ノアールは別に育児放棄されていたようではなさそうだ。でも、疑問が湧いた。



「それってお貴族さまは皆、そうなのですか? 親から離されて他人に預けられるの?」

「貴族が皆、そうなのかは分からない。私の場合はそうだったというだけで……」

「そうですか」



 ノアールは言いにくそうに答えた。彼は普段から、あまり自分のことを話したがらない。もしかしたら家族仲が宜しくなかったとしたら、余計なことを言ってしまったかもしれない。話題を変えることにした。


「しかし、良く出来た道ですね。緑色の石がとても綺麗」


 舗装された石の道で、このような緑色の石の道は初めて見る。敷かれた緑色の石に縞模様らしきものが入っていつ。表面が艶を帯びて居るようにも思えて、立ち止まって見ていると、ノアールが教えてくれた。


「これは、孔雀石と言われているものだ」

「孔雀石?」


「この石は縞模様が特徴的で、それが孔雀と言う鳥の羽の模様に似ていることから、そう呼ばれている」

「孔雀ってどのような鳥なのでしょうね?」


「私は見たことがないが、孔雀は雄が綺麗な飾り羽を持っていて、目玉のような紋がある羽を扇状に広げると、とても鮮やかで美しいらしい」

「雌は?」

「雌は、茶色や灰色の地味な色をしていると聞いた」


「ノアールさんは物知りですよね?」

「子供の頃、鉱石について色々と教えてもらった」


 孔雀とはどのような鳥なのだろう? 段々気になってきた。ノアールは見たことがないと言ったが、孔雀石について彼に教えたロージイなら見たことがあるのかも知れない。あのハヤブサを操るくらいだから、もしかしたら孔雀にも乗ったことがある? 今度、ロージイに聞いてみようと思っていると、門扉の前に着いていた。



「やはりここは竜胆の家じゃないか? でも、以前来たときは、もう少し小さい家だった気がする」

「竜胆さまもお変わりないと良いですね。ノアールさまもお会いするのは、久しぶりではないですか?」



 周囲を見渡すアコダに、カルロッタが懐かしむように言う。ノアールも中の様子が気になって仕方ないようだ。




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