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11話・伯父さんは説教をされていたようです


「もしや、あなた方は調査団のお方で?」

「その通りだ。しばらく世話になる」

「わざわざ遠いところからご苦労様です。わしはこの街の町長を務めているエイタスと申します。こっちは妻のミアムです」


 老夫婦は丁寧に挨拶をしてくれた。ノアールは二人に、女王直属捜査官クリュサオルとしての身分を証明する懐中時計を、胸元から取り出して見せた。二頭のペガサスに守られた十字の盾。それはヴィジリタス国の紋章で、その紋章を扱えるのは陛下か、一部の者のみ。つまり彼は女王陛下の代理人だと示している物でもある。


「私はクリュサオル。陛下の命を受けてここに参った。何かあれば協力して欲しい」

「畏まりました。なんなりとお申し付け下さい」

「遠くから参られてお疲れでしょう? お部屋の用意は整ってございます。どうぞごゆっくりなさって下さい。後で食事は運んできますので」

「それは助かる。有難い」



 町長夫婦はぺこぺこと頭を下げてくる。ノアールの助手でしかない私にも、腰が低い態度で何だか申し訳なくなった。すぐに部屋の方へ案内すると言われたが、ノアールがまだ、連れが来ていないので……と、断った。あとは自分達でするから心配はいらないとお断りして、町長夫婦を帰すと、ようやくアコダ達がやってきた。


「サーラ。さっきは済まなかった」

「怖い目に合わせてごめんなさい」


 カルロッタに散々叱られたのだろう。アコダと目があうなり、がばっと頭を下げてきた。その隣でカルロッタも深々と頭を下げてくる。


「もういいです。気にしないでください」

「俺はジグルドの娘だから、てっきり慣れているものだと思い込んでいた」

「父さんは私の前で竜の姿になったことはなかったし、父さんが竜人だと知ったのは伯父さんに会ってからですよ」


 アコダは思い込みも激しいのかも知れない。私の言葉でさらに落ち込んでいた。


「本当にごめんなさい。二度とこのようなことはさせないから、もしも、これに嫌なことをされたら遠慮なく言ってね」

「はい」


 私は思わぬ味方を手にいれたようだ。伯父はカルロッタには頭が上がらないようで苦笑していた。この館には沢山の部屋があったが、警護の点からノアールはアコダと、私はカルロッタとの同室が決まった。





 翌日から聞き取り調査が始まった。女王陛下の指令は、ノースデン山で12人の石工達がいなくなったことの調査。石工達は皆、この山の麓の町に住んでいた。領主館の管理は私達が会った、この町の町長がしていたらしい。石工のそれぞれ家族の下を訪れて、いなくなった日の当人の行動を聞いて回った。ノアールはアコダと、私はカルロッタと組んでの調査。てっきり仕事に不慣れな私はアコダと組まされるかと思ったのに、ノアールはカルロッタと組むようにと言ってきた。


ノアールに耳打ちされた話では、アコダが嫉妬深く、カルロッタに近づく男性がノアールだったとしても許せないらしい。竜人族の夫婦はオシドリ夫婦で結構、ありがちな話なのだと言う。だからと言って、夫婦で組ませると全然に仕事にならないとかで、ノアールとしては無難な選択だったようだ。


 

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