勇者は2人に全てを話す
アギトの目の前で気絶したティファ。そんなティファをアギトはお姫様抱っこして屋敷の玄関へと向かった。
丁度、玄関前にメイド服を着た女性が居たので事情を話しエリスの居るところまで案内してもらう。部屋の前まで来てメイド服を着た女性がドアを開け入っていく。アギトはメイド服を着た女性が出てくるまで扉の前で待機していた。メイド服を着た女性は中に入った。そこにはエリスがソファーに腰かけ書類とにらめっこしている。
「エリス様、お客様です。」
書類と真剣に向き合っていたエリスは、メイド服を着た女性の声を聞いて現実世界へと引き戻される。
「あ、ごめん!集中してた!何の用事かしら?」
「はい、エリス様に謁見したいとアギト様というお客様が来ています。」
「え!?アギト様ならティファが迎えに行ったはずだけど?」
「はい、そうなのですが・・・・。どうやら気絶してるみたいでここまで運んでくださいました。」
「まったく、ティファ・・・・。あなたは何をしているの。これでは余計に迷惑をかけているじゃない。わかったわ、アギト様をお連れしてちょうだい。」
「はい、ただいま。」
扉の前で、ティファをお姫様抱っこして待っていたアギトは、他のメイド服を着た女性達にひそひそ話しをされていた。
(うー。早く出て来てよ・・・・。まるで不審者扱いだよ。)
すると、部屋の扉が開きアギトは部屋の中に案内される。
「失礼します。」
「アギト様、この度は本当に失礼しました。私どもの無礼な行いを許してくれとは言いません、アギト様のお望みがあれば出来るだけ尽力を尽くしますので何でもおっしゃってください。」
「ありがとうございます。では、さっそくなのですがティファさんを引き取ってもらえませんか?先程から、外のメイドさん達に変な目で見られていたので。」
「これはこれは、私の妹がとんだ迷惑を・・・・。」
アギトは、ティファを近くのソファーに寝かせた。すると、エリスがティファに近づき、
「こら!ティファ、起きなさい!いつまで寝たふりしてるの!」
【ゴンッ】
「いてっ」
「え!?ティファ、起きてたのか?いつから・・・?」
「ははははははっ。少し前から?屋敷の玄関に入ってからかな?」
「起きてたなら言ってくれよ。おかげでメイドさん達から変な目で見られたじゃないか。」
「いやー、勇者様にお姫様抱っこされて嬉しくてつい・・・・・・・・・あっ!」
「勇者?」
「え!?あ!?ち、違うよ、お姉ちゃん!アギトさんが勇者だなんて絶対にないんだから!ほ、本当だよ!」
「ティファ・・・・・・。あなたは昔から嘘をつくと目が泳ぎますね・・・・・・。」
「アギト様、あなたが勇者というのは本当ですか?」
アギトは少し考える。先ほどのティファの動揺。果たして自分が勇者だという事を話してしまっていいのか。話したとしたら、エリスはどうでる・・・・・。
冤罪でまさか勇者を拷問してしまったなど広がれば、それこそエリスの人生は終わる。アギトは考えた結果、
「はい、自分が勇者で間違いありません。ですが、この街でこの事を知るのはティファとエリス様しか知りえない事です。なので他言無用でお願いします。そうすれば、エリス様の立場も守れるでしょう。」
「はぁ。こうも勇者様に気を使ってもらうとは・・・。私はどうしたらいいのだ・・・・。」
「今まで通りで構いませんよ。気にしないでください。ティファも今まで通りに接してくれると助かる!」
「はい勿論です!今まで以上に、甘々で接します!」
「ティファ?人の話聞いてる?」
「聞いてますよ!これから先も、アギトさんに甘えていいんですよね?もっと、好き好きスキンシップしてもいいって事ですよね?」
「ダメだこりゃ・・・・・・。」
「アギト様、私の妹がほんと済まない。だが、ティファがここまで好意を寄せるのは初めてだ。自慢になるが、アギト様から見てもティファは可愛いだろ?」
「そうですね。とても魅力的だと思います。きっとティファが成人してれば違ったお付き合いを申し込んでると思います。」
「えええええええええええ!それって、私が成人なら結婚してくれるって事ですか?」
「いや、結婚までとはいかないが違う形もあるのかなと・・・・・。って、エリス様?どうかしましたか?そんな青い顔して・・・・。俺なんかおかしなこと言いました?」
「アギト様、この世界の成人っていくつからだか知っていますか?」
「え!?い、いやちょっと訳があって記憶が無いんで、覚えてないんです。それがどうしたと?」
「アギト様は、ティファの年齢を知ってますか?」
「はい、確か15歳で自分の4つ下だと把握しております。」
「そうか知っていたのか。この世界での成人は15歳なんです・・・・・・・」
「――――――――――――――――――――――――。」
「きゃ――――――――!もう、アギトさんったらそんなふうに私の事を想っていたなんて!これはもう結婚しかないですね!今すぐ私と結婚しましょう!いいよね、お姉ちゃん!」
「まぁ、まぁティファが心に決めた人なら、私に反対する権利はないが!」
「はい言質取った!」
「いや、エリス様!そこは、「勇者アギト!よくも私の可愛い妹だましてくれたな!万死に値する!」って事ぐらい言う所でしょ!」
「いや、たぶん、今を逃すとティファは一生結婚しない気がして・・・・。それは姉としても困るので・・・・・。」
「あ――――――――――――――――!ダメだこの姉妹!完全に頭のネジがぶっ飛んでる!くそ――――――――!」
「酷いです、アギトさん!そこまで言わなくても!」
「アギト様、いくら勇者のあなたでもティファを泣かしたら許しませんよ!」
「だ・か・ら・!」
プンプン怒るティファと人を殺める目で見つめてくるエリスに全て話そうと決めたアギトであった。
「ちょっと落ち着いてください。あのですね、今から全ての事を御2人に話しますので、それから決めてください。」
「全ての事ですか?」
「はい、自分が勇者になったことを含めすべての事です。」
「わかりました。お聞かせください。ティファも黙って聞くのよ!」
「はーい!」
アギトはこの世界に転生してきたことを話した。別世界の自分がどういう状況なのか、女神様の事、魔王の事、ありとあらゆること全て・・・・・・。そして、
「え!?って事は、アギト様は別の世界からきて、魔王を倒して、その後元の世界に帰っちゃうの?」
「あぁ、そうだ。この世界で魔王を倒したら、女神様が元の世界の自分がかかっている不治の病を治してくれると約束してくれたからな。」
「そ・・・・そんな・・・・・・・。」
ティファは気が付くと目から大量の涙を流していた。
「あ・・・あれ・・・ど・・どうしたのかな・・・・な・・涙が止まらない・・・・え・・・・ええ・・・・。」
「すまないティファ。そう言う事だから、君の想いは受け取れない。ごめん。」
「いや・・・・・・・・やだ・・・・・・やだよ・・・・・せ・・・・せっかく好きな人が出来たのに・・・・・こ・・こんなの・・・・・・こんなのあんまりだよ!」
ティファは泣きながら部屋を飛び出して言ってしまった。
「ティファ!」
アギトの言葉もティファには届かず、あっという間に姿が見えなくなる。
「すみません、エリス様。やはり言うべきではなかったみたいです。判断を誤りました。」
「いや、アギト様が気にすることじゃありません。いずれどこかで話さなければならなかった事です。それが今日だったという事です。」
「ありがとうございます。そう言ってもらえると少し心の荷が下りました。それと、本当に申し訳ないのですが、今日はこの辺で失礼させてもらいます。また後日お伺いいたしますので。」
「そうですね。でしたら、私達が用意する宿屋に今日はお泊り下さい。話しはつけておきます。」
「はい、ありがとうございます。」
「いいんですよ、ティファの命の恩人なのですからこれぐらいの事はさせてください。」
こうして、アギトはエリスから宿屋の場所が記された地図を受け取り屋敷を後にした。
【スキル紹介1】
【調べる】勇者アギトだけが使える能力。存在する全ての物に使え、詳しい詳細を知る事が出来る。その為、未知のモンスターやレリック武具など初めて存在が明らかになった物にも使える。アギトの能力が上がるにつれて、そのものに対する詳細が増えていく。




