巫女は新たな仲間を見つける
ライザに戻って来たガイ達はすぐに冒険者ギルドへと向かった。そして、今日起こった出来事を受付の男性に伝える。
「―――なるほど。スライムの異常発生か。」
「あぁ。俺も昔、何度もスライムと戦って来たけどあそこまでの数を一度に相手にした事は無い。とてもじゃないが、あそこの森のスライム討伐は新人冒険者にやらせることはお勧めしない。」
「わかった、よく報告してくれた。こちらでも調べてみることにする。原因がわかるまで新人冒険者は立ち入り禁止とする。」
「お願いします。」
ガイ達は、報告を終えると今後どうするか三人で話し合っていた。
「で、これからどうする?」
「別のクエストでも受ける?Fランククエストは何もモンスター討伐だけじゃないし、村のお手伝いから薬草などの納品もあるし。私もお兄ちゃんもランク上げを急いでいるわけでもないし。」
「そうだな。急いであげても、実力が共わないんじゃ意味ないからな。他にもFランク冒険者を募ってパーティメンバーを増やすってのもありだな。」
「そうだね。私もお兄ちゃんと二人じゃ、これから先心配だし。」
「メイ、それどー言う意味だよ!」
「そのままの意味だよ!お兄ちゃん、すぐに突っ込んでいくし危なっかしくて見ていられないもん!」
「別に考えなしに突っ込んでねーよ!ちゃんと、考えがあっての事だ!俺はスライムの動きが鈍いのを確認してから前に出た。」
「どうだか!」
「まぁまぁ。確かに私も、もう少し人数が居たほうがいいと思います。そうすれば、今日みたいな思わぬ出来事にも対処が可能かと。」
「んじゃ、ギルドの掲示板で募集をかけて見るか。あと二人ぐらいでいいか?」
「うん。前衛と中衛が欲しいね。後衛は私とハツネさんがいるし。」
「よし!それでいこう。ハツネさんもそれでいいかい?」
「はい。二人にお任せします。」
三人は新たにパーティの底上げに募集をかける。Fランクの冒険者二人を。なぜ、Fランクの冒険者か………それにはちゃんとした理由がある。
この世界での冒険者ランクを上げるには、同じランクの冒険者同士で同じ昇格試験を受けなければならないからだ。
その為、ハツネが冒険者ランクを上げるには一人で昇格試験を受けるか、複数人で受けるかになる。
勿論、後者の方が優位に上げられる。
ギルドに募集をかけてからしばらく様子を見守る三人。すると、一人の男性がガイ達の募集した紙を見ている。
そして男性は、受付へと行き何やら話し込んでいる。その後男性の視線は、ガイ達に向けられた。
その男性はガイ達の元へとやってきて、
「君たちがパーティメンバーを募集している子たちか?」
男性は、ガイ達を順にみる。
「そうだけど…………おっさん俺達のパーティに入りたいの?」
「………俺はまだ26歳だ。おっさんではない。」
「えぇ?26歳っておっさんじゃん!」
「ちょっとお兄ちゃん!」
「ガイさん、流石におっさんはどうかと………」
「いや、どう考えてもおっさんだろ!」
ガイはヘラヘラしながらメイ達に話す。
「すみません、私の兄が………」
「………かまわん。それより、君達のパーティに加わりたいのだが平気か?」
メイは男性を見た。男は長身で使い込まれた鎧を身に着けていた。右肩の装甲には無数の傷跡が刻まれている。
「え?それは構わないですけど、私たちはFランクの冒険者さんを募集しているのですが………」
「………平気だ。俺はFランクの冒険者だからな」
男性はメイに冒険者の証を見せた。確かに『Fランク』と刻まれていた。
しかし、その証は新品ではなかった。縁は擦り減っており、長く使われてきたことを物語っている。
ガイは証と男性の顔を交互に見た。
(………本当にFランクか?)
「なぁ、おっさん!Fランクってのは分かったんだけどよ、なんでその歳でFランクなんだ?どう考えてもおかしいだろ?」
「確かに、ガイ君の言う通りです。何か事情があるのですか?差し支えなければ教えてもらえませんか?」
「そうだな。これからパーティメンバーになるかもしれない冒険者には話しておくべきか。俺は確かにFランク冒険者の見習い騎士だが、戦闘の経験はある。」
「まぁ、その冒険者の証を見ればわかるけどおっさん何者だ?」
「俺は、元騎士団に所属していたものだ。この国ではないがな。」
「この国の騎士団じゃない?」
「………あぁ、俺はこの国の北に位置する国、【バイス王国】からこの国に亡命してきた。バイス王国の騎士団に所属していたが、あの国の騎士団は腐っている。」
「どー言う意味ですか?腐っているとは?」
「あの国は、この国の騎士団とは違い人を助けない。自分達の立場を利用し、人身売買、汚職、闇ギルドとの繋がり、ありとあらゆる闇に関わっている。
俺は、子供を売る商人を捕まえた。だが上官はこう言った。『その件は見なかったことにしろ』と」
「ふーん。でもさ、そんなのこの国でもある事なんじゃねーのか?案外この国だって腐ってるかもな」
「………それでも俺は信じたい」
「まぁ、俺は何でもいいけどよ、二人はどうする?」
「私は別にいいと思うよ。お兄ちゃんよりしっかりしてるし、戦闘の経験もあるみたいだし。」
「私も構いません。前衛の方が増えるのは心強いし。」
「だってよ、おっさん!良かったな!」
「お兄ちゃん、言い方!もう、その上からはどうにかならないの!」
「構わない。俺が君たちにお願いしているのだからな。」
「ですけど………」
「本人が良いって言ってんだからいいじゃねーか!メイはいちいちうるせーんだよ!」
「もう!」
【ゴンッ】
メイは持っていた杖でガイの頭を叩く。
「いてーな!何すんだよ、メイ!」
「お兄ちゃんが馬鹿だから叩いたの!もっと口の利き方ってのがあるでしょ!」
「ったく、メイは真面目過ぎんだよ!」
「これが普通なのよ!お兄ちゃんが世間知らずなだけ!そうですよね、ハツネさん!」
「え!?ま、まぁそうですね。」
「なんだよ、ハツネさんまで………」
「本当にすみません。兄には私から後で言い聞かしますので。」
「………あぁ」
「ところで、お名前はなんて言うんですか?」
「………そうだったな。俺の名前はグレイヴだ」
「グレイヴさんですね、私はメイ。見習い魔法使いで、こちらが兄のガイ。見習い剣士です」
「ちぃーす」
「私はハツネ。職業巫女です、よろしくお願いいたします。」
「………巫女?」
「はい。なんか珍しい職業みたいで……はははっ」
「確かに今まで聞いたことが無い。」
「まだまだ足手まといの存在なので期待しないでください。」
「………わかった」
こうしてガイ達は、新たに見習い騎士のグレイヴをパーティメンバーに迎え入れたのであった。
【人物紹介】
名前:グレイブ
年齢:26歳
性別:男
身長/体重:185cm/90kg
髪型:黒で短髪
職業:見習い騎士
冒険者ランク:F
使用武器:メイス+大楯
所属クラン:無
所持スキル:ガーディアン・オース(守護者の契約)
人物特徴・設定
・基本無口
・元バイス王国の騎士団に所属していた
・悪を許さない




