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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
巫女ハツネ編

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巫女はアギトを知る人物たちと出会う

アリスに課せられたCランクの冒険者になるためクエストをこなそうとライザへやってきたハツネ。掲示板の前に行きFランクのクエストを探す。


「う~ん、どれが良いんだろう・・・。1人でも出来そうなクエストはと・・・。」


ハツネが悩んでいると1人の冒険者が声を掛ける。


「姉ちゃん、何かお困りか?」


「え?」


ハツネは声のした後ろを振り返る。そこには、腰には剣を携え背中には鉄製であろう盾を背負っている少年が立っていた。そして、その隣には少年と同じぐらいの年の女の子が居る。

女の子は手に杖を持ち、頭には大きな帽子を被っており、いかにも魔法使いであろう恰好をしている。


「お兄ちゃん!言い方!」


「あ!わりー。つい、いつもの癖で・・・。」


「もう!しっかりしてよ!いつまでもそんなんじゃ、アギトさんに笑われるよ?」


「!!!」


「しょうがねーだろ、抜けねーもんは抜けねーんだから!」


「君たち、アギトさんを知っているの!?」


アギトという単語を聞いてすぐさま反応するハツネ。少年の両肩を掴んで勢いよく話しかける。


「いててて。姉ちゃん、いてーよ!」


「あ!ごめんなさい。」


「全く、何で女の人はアギトさんの名前を出すと我を忘れるんだ・・・。」


「はぁ!?お兄ちゃん、それ本気で言ってる?もし、本気で言ってるなら、世の中の女性に謝って!」


「何でだよ!確かにすごくいい人だけど、それだけだろ?」


「これだから見る目の無い凡人の男性は嫌なのよね。いい!?アギトさんは、強くて、優しくて、カッコイイ、旦那さんにしたい男性ランキングをぶっちぎりで1位!女性なら、誰しもが憧れる人なの!」


「何だよそのランキング!?いつの間に調べたんだよ、そんなの・・・。」


「私の独断です!」


えっへんと胸を張る魔法使いの女の子。それを、冷たい目で見る剣士の少年。そんな様子をただただ見守るハツネ。


「それはそうと、お姉さんもアギトさんを狙ってるんですか?あの人は競争率高いですよ!噂じゃ、確定ではないですけれど婚約者もいるみたいだし!」


「こ、婚約者!?」


「あくまでも噂ですけどね。それに、アリスさんというこの国の第3王女も狙ってるみたいですし。私はまだ子供ですけど、あと3年したら立派な女性になります。」


「その前に魔法をまともに当てられるようになれよ。」


「なっ!?当ててるもん!」


「3回に1回な。」


「2回に1回は当ててる!」


「全弾命中させろよ!たまに、俺の方にまで飛んでくるぞ!」


「そんなことないもん!いつも、お兄ちゃんの居る場所が悪いだけだもん!」


「なんだと!?」


「なによ!」


二人は言い合いを始める。


だがハツネの頭の中は、それどころではなかった。


(この人たちは……アギトさんを知っている)


胸の奥が熱くなる。


勇者の背中を知る者たち。


自分よりも先に、その隣に立っていた者たち。


「・・・あの」


ハツネは意を決して口を開いた。


「私も、クエストを受けようと思ってここに来たんです。ですが、まだ一人で戦った経験がなくて・・・」


二人の視線がハツネに向く。


「もしよければ・・・一緒にクエストを受けさせてもらえませんか?」


一瞬、沈黙が流れる。


先に口を開いたのは少年だった。


「姉ちゃん、職業は?」


「巫女です。御幣と札を使って戦います。」


「巫女・・・?知ってるかメイ?」


少年は眉をひそめる。


隣の少女も不思議そうな顔をする。


「う~ん。聞いたことない。」


「主に、攻撃、防御を行ないます。そして結界なども張る事ができます。」


ハツネは真っ直ぐに二人を見た。


その瞳に宿るのは、迷いではなく決意。


「私は・・・強くなりたいんです。アギトさんの隣に立てるように。」


その言葉を聞いた瞬間。


少年と少女の表情が変わった。


先ほどまでの軽い空気が消え、真剣な眼差しになる。


「・・・俺の名前はガイだ。職業は見習い剣士。」


「私はメイ。見習い魔術師です。」


メイは一歩前に出る。


「私たちも、強くなるためにクエストを受けてます。アギトさんに認めてもらうために。」


ガイは掲示板を見る。


そして一枚の依頼書を剥がした。


【森のスライム3体の討伐】

冒険者ランク:F~

達成条件:スライム3体の討伐および魔石の納品

パーティメンバー:1人~

報奨金:500ゴールド


「ちょうどいいのがある。」


ガイはハツネを見る。


「姉ちゃんの力、見せてもらうぞ。」


それは試す言葉だった。


だが同時に――


受け入れる言葉でもあった。


「・・・はい!」


ハツネは強く頷いた。


こうして――


巫女ハツネは、初めての仲間と共にクエストへ向かうことになる。


勇者の隣に立つ資格を得るための、最初の一歩として。


――だがこの時のハツネは、まだ知らなかった。


初めてのクエストが自分の無力さを思い知る戦いになることを。

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