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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
新たな仲間編

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勇者は転生者と打ち解ける

「・・・・・・で、だ。アギト」


「ん?何ですか?」


「今日、泊まる所は決めているのか?」


「いえ。まだ、ロックフォールには来たばかりでこれから探そうかと思っています。」


「なら、うちに泊まって行けよ!雫もあー言ってることだし、空いてる部屋もあるしな。それに、もし帰れるのが本当なら皆で話したい事もある。」


「・・・・・正直、助かります。ただ、ご迷惑じゃなければでいいんですが・・・・。それでもいいなら、お言葉に甘えさせてください。」


「了解!おーい、愛華!」


「なーに?あなた?」


「アギトさんが今夜うちに泊まるから客間の用意お願いできるか?」


「あら、ホント?じゃぁ、すぐ用意するわね!」


「頼んだ!」


「えええ!アギトさんは私の部屋で寝るんじゃないの?」


「何、バカな事を言ってるの雫!そんなのお母さんが許すわけないじゃない!」


「えええ!」


「えええ!じゃない。部屋を掃除するんでしょ!さっさと片付けなさい!」


「アギトさんが私の部屋で寝ないならしない!」


「し・ず・く!お母さん怒るわよ!」


「わ、わかったよ!すればいいんでしょ、すれば!」


「わかったなら早くしなさい!」


「はーい。」


(・・・・・賑やかな家だな。少し憧れるな、こーいうの。)


「なんかすみません。」


「気にすんな、いつもの事だ!」


「は、はぁ・・・・・。」


「それより、夕飯まで時間あるけどどうする?街でも案内しようか?どうせ、客何て来やしないし。」


「ほんとですか?大輔さんさえ良ければお願いできますか?俺1人じゃ、迷いそうなので。」


「あはははは。了解!愛華、少しアギトさんと出かけてくる!夕飯までには戻るから!」


「はーい!行ってらっしゃい、気を付けてね!」


こうして、アギトと大輔はロックフォールの街へと繰り出した。そして、ロックフォールの事を大輔と話しをしていると、


「よう、大輔!今日はちっとも売れねー武器を作らねーのか!?」


「うるせー、ほっとけ!どうせ、お前等には俺の作った武器の良さなど一生わからねーよ!」


「お!?言うねぇ~!ま、精々頑張れよ。じゃーな!」


「ったく、あの野郎。あいつらに俺の武器の良さがわかってたまるか!」


(確かに、他の人間じゃ少し使った程度では大輔さんの武器の真価は分からないだろうな。俺には【調べる】があったから、見えただけだ。)


「ん?どうした?」


「いえ、やはり大輔さんの武器の良さは普通の方ではわからないんだなと。」


「まぁ、そうだろうな。特殊効果の切れ味(小)何て、使ってみても効果が分かる奴など然程居ない。」


「う~ん。」


「さっきから何を悩んでいるんだ?」


「いえ、少し考え事を。夕食の時にでもお話しします。」


「あ、あぁ。わかった。」


この後、アギトは大輔の案内で冒険者ギルド、道具屋、酒場などの場所を教えてもらった。一通り街を見て回った2人は、愛華と雫の待つ家へと帰っていった。


そして、大輔の家へと帰ってきたアギトは、リビングに入ると何処か懐かしい匂いがした。それは、元の世界でアギトが小さい時に母の作った料理の匂いに似ていた。


「う~ん、いい匂いだ!愛華、今日の晩御飯は何だ?」


「今日はね、コカトリスの唐揚げと、1本角ラビットの串焼きよ!」


「おぉ、いいねぇ!ついでに、エールはあるかい?あ!ちなみにエールってのは、俺達の居た世界のビールみたいなものさ!」


「ちゃんと用意していますよ!アギトさんもエールでいいですか?」


「いえ、自分は元の世界では未成年なので、お茶があればそちらでお願いできますか?」


「勿論ありますよ、雫もお茶でいいかい?」


「うん!」


アギトと雫はお茶、大輔と愛華がそれぞれエールを手に持ち、


「それでは、自分達以外の転生者に出会えたことに乾杯!」


「「「乾杯!」」」


(・・・・この世界に来てから、こんな食事は初めてだな)


各々が飲み物を口にし、愛華の用意した食事に手を付け始める。


「アギトさんも、遠慮なくいっぱい食べてね!御代わりはいっぱいあるから!」


「はい、ありがとうございます。」


アギトはまずコカトリスの唐揚げを摘まむ。


(すごい!元の世界の鳥の唐揚げと引けを取らないおいしさだ)


「・・・・・おいしい。」


「あらほんと?良かった。アギトさんの口に合わなかったらどうしようかと思ってたの!」


「冗談抜きで本当においしいです。」


続いて、アギトは1本角ラビットの串焼きを食べた。こちらもとてもジューシーで、肉を噛んだ瞬間、口の中に肉のうまみが一気に広がる。絶妙な柔らかさで、臭みもなくこれなら何本でもいけそうだ。


「愛華さんはお料理が上手なんですね。この世界でここまでの食べ物は食べたことないですよ。」


「まぁ、これも私のスキルのおかげなんだけどね。」


(スキル?愛華さんも特別なスキルを持っているのか?)


アギトは愛華に対してスキルを使って見る。


【スキル 調べる】


【愛華 38歳 女】

【転生者】

【状態:良】

【職能ランク:A】

【職業:調理師】

【所属:ロックフォール調理師ギルド】

【固有スキル:料理付与】

  ・調理した食べ物にバフを付与

  ・効果は料理ごとに変化

  ・効果時間:12時間


「・・・・・調理師、ですよね?」


「え!?何で知ってるの?」


「実は、俺のスキルは【調べる】で、対象の情報をある程度は分かるんです。」


「対象の情報・・・・・って事は、スリーサイズも分かっちゃった?」


「い、いえ、そこまでは分かりません。」


「よ、良かった。」


「わぁ、凄い!ねぇねぇ、私のも当ててみてよ!」


「ちょっと待ってね・・・・・えっと・・・・」


「うんうん」


「雫ちゃんは・・・・元気いっぱいな女の子・・かな?」


「ぶー!なにそれ!当たってるけど、ずるい!」


「ははは、調べるのスキルにも限界があるんだよ。」


「ちぇー、なにそれつまんなーい!」


「う、う、うん。さて、そろそろ本題に入りたいんだが、アギトさん良いかな?」


「そうですね、本題に入りましょう。」


「本題?アギトさん本題って何のこと?」


「うん、この話しは雫ちゃんにとっても重要な事だよ。」


【ゴクリッ】


アギトの真剣な言葉にお調子者の雫も流石に緊張した様子だ。


「まず、皆さんに聞きたい事があります。それは、雫ちゃんが転生者であるかどうかです。そして、女神様が言ってたように魔王を倒せば転生者は元の世界に帰れるって事です。」


「なるほど。もし、雫が転生者じゃなくこの世界で生まれたら、魔王を倒した時に雫は向こうの世界には行けないって事か。」


「はい、そーいう事になります。それを踏まえて大輔さんと愛華さんは帰りたいかどうかです。」


「その事なら心配ない。雫も向こうの世界で生まれた俺達の娘だ。」


「そうでしたか。では、帰れるとしたら3人は帰りたいですか?」


ここで、3人は沈黙する。まさか、本当に勇者が現れて元の世界に帰れることが出来るとは思っていなかったからだ。今までに、魔王を倒して元の世界に帰っていった転生者は居ないと言われている。そして大輔が、


「俺は出来る事なら帰りたい。だが、2人が残るというならそれでもかまわない。」


「私は、どちらかというと帰りたいかな?もし、魔王を倒してもモンスターが居なくなるって事は無いんでしょうから。普通に暮らしていても、いつも死と隣り合わせ何てごめんだわ」


「私は帰りたくない!元の世界に戻っても、退屈な日常が待ってるだけだし!この世界には、夢があると思うの!向こうの世界では絶対に叶わない冒険者にだってなれるし、私のスキルでお父さんの役にも立てるし。」


(意見が割れるか。まぁ、予想はしていたが)


「ちなみに、雫ちゃんの職業って何?」


「うん、私の職業は話術師。【話す】事に特化した職業。スキル【交渉】は、値切ったり、お客さんに私の話術でより高く買ってもらうことが出来るの!だから、この世界ではきっとお父さんやお母さんの力になれる。」


「雫・・・・・・。」


「まぁ、お母さんの言う通りこっちの世界では死んでしまうリスクは元の世界より多いから、怖いってのも確かにあるけど、こっちの世界も住んでみたら意外と住みやすいし!」


(確かにそうだ。この世界には、モンスターという物が存在する。絶対に人を襲わないという事は無い。いくら街に居ても、大量のモンスターが街に押し寄せてきたら死ぬリスクも格段に上がる。だが、元の世界ではそれは無い。さて、どうしたものか。)


「わかりました。でしたら、ここで1つ提案があるのですが。」


「提案?」


「はい。今、俺はブレイブハートというクランを立ち上げています。目標はジャッジメントの倍の2000人を目指しています。」


「2000人・・・・・」


「ただ、2000人全員が戦闘できる人を集めているわけではありません。大輔さんのように、クラフトに特化した人も必要です。」


「それによって、クラン全体の戦闘力を底上げし、少しでも――雫ちゃんのような人が、理不尽に命を落とさずに済む世界を作りたい。」


「なるほど。俺達に、ブレイブハートに来ないか?という事だな。」


「そうです。たとえ3人が帰らないという選択肢を取った場合、魔王討伐後この街にいるよりブレイブハートに入ってもらったほうのが安心して生活できると思います。」


「確かに一理あるな。だか、アギトが帰った後のクランマスターは誰がやる?やってくれそうな奴はいるのか?」


アギトは、大輔の問いに対して2人の人物を思い浮かべる。1人目はティファだ。まだ、正式には加入していないが、ティファならアギトが作ったクランを大切にしてくれるはずだ。


そして、2人目はアリスだ。何だかんだ言ってアリスはいつもアギトの味方だ。それに、王女ということもありきっと父親やヴィクトリアも力になってくれるはず。


「現時点で、俺が信頼のおける人物は2人です。」


「まず、1人目はこの国の第3王女のアリス・ライコネンです。まだ、アリスは俺がブレイブハートを設立してまもなく入ってくれた最初の人物です。」


「そして、2人目はティファという剣聖エリスの妹です。彼女のおかげで俺はクランを設立しようと考えました。また、加入はしていませんが、いずれ必ず入ってくれると信じています。」


「・・・・。第3王女までクランに所属しているのか。とんでもないクランだなぁ。本当にそんなとんでもないクランに、俺達家族が加入しても平気なのか?」


「大丈夫です。むしろ、俺の方からおねがいしたいくらいです。必ず、3人の力が必要になる時が来ます。」


「・・・・少し考えさせてくれ」


「わかりました。よく、皆さんで話し合って下さい。」


「さーて、暗い話しは終わったかなぁ?せっかく作った料理が冷めてしまうからいただきましょう。アギトさん、ご飯の御代わりは?」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。」


「は〜い。」


こうしてアギトは、自分以外の転生者と出会い、話してその日を終えるのであった。

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