勇者は強がる
【ライザ冒険者ギルド】
【ヒュッン】
「「「!!!!!」」」
「な、何だ!?男の子が現れたぞ?それに、酷い傷だ。」
「どうなってやがる!?」
「帰還の札の効果か?」
「誰か、手を貸してくれ!」
【ヒュッン】
「「「!!!!!」」」
「また来たぞ!今度は女の子だ!」
「おい、嬢ちゃん!平気か!?」
「2人とも、怪我が酷い。」
「誰か、司祭か大司祭は居ないか?何なら司教でも構わねー!」
「わ、私、司祭です!直ぐに診せてください!」
「この女の子も手当てが必要だ!誰か頼む!」
「急げ――――――――!」
突然、冒険者ギルドに現れたのはガイとメイだった。辺りは騒然となり、助けを求める声が鳴り響く。
「え!?ここは?ア、ア、アギトさん?何処?」
「あぁ?アギトだぁ?誰だそいつは?」
「アギト?そいつってあの雑魚勇者の事じゃねーか?」
「そーいえば、この子達あの勇者といつも一緒に居た子じゃないかしら?」
すると、メイ達を今朝、昇格試験の受付をした男性がメイに話しかける。
「確か君達は、今朝昇格試験に行った冒険者の子だね?どうしていきなりここへ?」
メイは頭をフル回転させ記憶を探る。兄に帰還の札を使い、自分も使おうとしたが、ダニエルにより自分の分は奪われた。そして、手に握られているのはアギトが渡した回復軟膏。そして、その後気がついたらここに居た。
「あいつは?」
「あいつとは誰だい?」
「私達を裏切った冒険者・・・・えっーと・・・。」
「もしかして、ダニエルさんの事かい?」
「そう!そいつよ!あいつのせいで、私達は・・・。ってアギトさんは何処?何処に居るの?」
「ここに現れたのは、君とお兄さんの2人だけだよ?」
「そ、そんな。じゃ、アギトさんはまだあいつと・・・。」
「あいつ?あいつってのはダニエルさん?」
「違う!魔王軍四天王・・・・・・・。私達はそいつと戦っていて、あのダニエルとかいう冒険者が裏切ってピンチになって、それから、それから・・・」
「魔王軍四天王。それは本当かい!?だとしたら大変な事だぞ!直ぐに騎士団に連絡だ!急げ!」
「アリスさんの所へ行かないと・・・。知らせないと、アギトさんことを。すみません、誰か馬車を用意してくれんなせんか?第3王女のアリス様にこの事を伝えないと。お願いします、馬車を用意してください。」
「あ、あぁ。わかった。でも、君の手当てをしないと。」
「私なら平気です!」
「でも、見るからに酷い状態だし・・・・・。」
「私より、この薬で兄をお願いします!これを兄の傷口に塗ってください!」
メイはそう言ってギルドの受付の男性に回復軟膏を渡す。そして、杖を支えに立ち上がり馬車が到着するのを待つ。
【馬車を待つこと5分】
ようやく、冒険者ギルドに1台の馬車が到着する。すぐさまその馬車にメイは乗り込み、アギトのクランハウスに行くようお願いした。
1時間後、馬車はアギトのクランハウス前に到着し、メイは降りて大声でアリスを呼ぶ。
「アリスさ――――――――ん!居ませんか?アリスさーん!」
メイの大声の呼びかけで、家から出てくるアリス。
「誰よ、あたしを呼んだのは?あたしは今、いそがし・・・メイ?どうしたのよ、その体!ガイとアギトはどうしたのよ?」
「ア、アリスさん。助けてください、お願いです。このままじゃアギトさんが・・・・・アギトさんが・・・・う・・うぅ・・・・うぅ・・・。」
「メイ、落ち着いて!何があったのよ?あなた達の身に、何があったの?泣いてちゃ分からないわよ!」
メイは、泣きながら今までの状況をアリスに伝えた。今日あった今までの事を全て。
「そう。そんな事があったのね。メイ、私を頼ってくれてありがとう。アギトは死なせないわ!必ず助けて見せるから、安心して。」
「う・・・・うぅ・・・・は、はい。」
「メイ、よく頑張ったわね。偉いわ!後の事はあたしに任せてあなたも休みなさい。ロブ、あたしはちょっと出てくるから、この子の手当てお願い出来るかしら?」
「おう!任せな!」
「すまないわね。」
「気にすんな!これも仕事のうちさ!」
「ありがとう。じゃ、ちょっと行ってくる!」
「おう!気を付けてな!」
アリスは急ぎライザへと向かった。メイからの情報だと、アギトはまだ昇格試験会場の洞窟に居るとの事だ。至急、王都の騎士団にアギト救出作戦を要請しようと考えていた。
最悪、ジャッジメントの手を借りることも視野に入れて。
【アギト視点】
「さぁ、続きといこうじゃねーか!」
「その体で私に勝てるとでも?」
「どうだろうな?でも、あんまり勇者様を甘くみんじゃねーぞ!」
アギトにはわかっていた。どうやってもこの状況が覆らないことを。木刀も残り数本、札も数枚あるが左手が呪詛の影響で全く動かく、弓が使えない状況では意味をなさない。
しかし、ここで予期せぬ事が起こる。
「あら?まだやってるの?」
新たに現れたのは、上半身が人間の女性で下半身が鳥のモンスターだ。いわゆるハーピーというやつだ。
「おや、アルメリアではございませんか?こんな場所まで何の用ですか?私は今、この勇者と遊んでいるんです。邪魔しないでいただけると嬉しいのですが。」
「まったく、とっとと殺しなさいよ勇者なんか。また性懲りもなく私達に挑んで来るなんて馬鹿な人間。」
「まぁ、まぁいいじゃありませんか。勇者が死んだ時の人間の顔ときたら、それはもう滑稽で笑いが止まりませんよ。」
「あんたの性格どうにかならないのかしら?それより、魔王様がお目覚めよ!早く戻りなさい。」
「おぉ!やっと魔王様が!この日をどれだけ待ち望んだことか!ぜひ、早くお会いしたいものです!」
「なら、さっさと帰るわよ!」
「そうですね!帰るとしましょう!では、勇者よ、また会う日まで。」
「俺がお前達を素直に帰すと思うか?」
「おや、そんなに死に急いでどうするんですか?今のあなたでは私達を相手に手も足も出ないですよ!?」
「やってみないと分からないだろ!」
アギトはエイモス目掛け走り出す。
「わからないの?あなたじゃ私達には敵わないのよ!大人しくそこで寝ていなさい。」
アルメリアはエイモス目掛け走り出したアギトに向かって、両手を広げて数十枚の羽を飛ばす。アギトは、右手の木刀で羽を叩き落すが数が多すぎるため捌ききれない。
「くっ!」
それでも、走る事を止めないアギトだったが、
「!!!」
突如アギトの視界が歪む。毒だ。同時に体全身が動かなくなり、その場に倒れこむ。
「残念ね。私の羽には、状態異常を付加する能力があるの。大人しくそこで寝ている事ね。運が良ければ助かるんじゃない?さ、エイモス行くわよ!」
「そうですね。では、勇者またお会い致しましょう。あなたが生きていればですが。」
アルメリアが出した黒い渦の中に、エイモスとアルメリアは入って行き消えていった。
(結局、俺には何も出来ないのか。何で俺はこんなにも弱いんだ。クソが・・・・・・・・・。)
【魔王軍】
勇者が倒されると、魔王と魔王軍は長い眠りにつき、一定の周期で目を覚まし、その都度別世界から勇者が召喚される。まずは、魔王軍が目を覚まし目を覚ました魔王軍は、魔王復活の為に魔力をを注ぎ魔王の目覚めを早まらせる。魔王軍の数は、数千、数万とも言われている。魔王直属の部下で魔王軍四天王も存在する。




