勇者は初めて魔王軍四天王と会う
アギト達は今日もいつも通り、朝早くからギルドに来ていた。ギルドの中は、既に何人もの冒険者やパーティが居た。
「お!来たぞ!」
「今日もお荷物勇者のパーティが来たぞ!」
「いつも、子供達2人がボロボロで勇者だけが無傷なんだよな。」
「噂じゃ、あの子達にモンスターと戦わせて、自分はいつも後ろから見ているだけって話しよ!」
「うげー。それほんとかよ。勇者の立場を利用して、自分だけおいしい思いをしてるんじゃねーか?」
「きっと、あの女の子も毎日無理やりエッチなことされてるんじゃない?キモーッ!」
冒険者ギルドでは変な噂が立っていた。ガイとメイだけに戦わせて、稼ぎはアギトが独り占めしているとか、メイを性奴隷にしているとか、ガイとメイが傷つく姿に興奮しているとか。
「ずいぶんな言われようだな。」
「その、なんつーか兄ちゃん、スゲー有名だな。」
「ほんとにムカつきます!私、抗議してきます!」
「ほっとけメイ。言わせたい奴には言わせておけばいい!それよりほら、昇格試験受けに行くんだろ?」
「そうですけど。でも、有りもしないことを次々と!私許せません!アギトさんの性奴隷は、アリスさんって決まってるんですから!」
「誰が?いつ?どうやってそれを決めた?」
「アリスさんです!この前言ってました!」
「あの野郎・・・・・・・。」
「ですから、訂正してきます!私は、アギトさんが好きです!けど、『アギトさんの性奴隷はアリスさんだけです!私だってなりたいけど、まだ成人じゃないから無理です!成人になったら喜んでなります』と!」
「止めろ!メイは俺を社会的に殺したいのか!?」
「そんなことは無いです!」
「だった言うな。マジ殺される。」
「むむむっ」
「ほら、さっさと受付に行くぞ!」
「はーい。」
メイはがっかりしながらギルドのカウンターに行き、3人はEランク昇格試験を申し込みをおこなった。
「えー、では3名様の登録ですね。」
「はい!お願いします。」
「では、まずは説明事項から話していきます。」
「お願いします!」
冒険者ランク昇格試験の内容はこうだ。まず、ソロ、パーティ単位で受付可能。試験にはBランク以上の冒険者が1人同行。
アイテムの持ち込みは自由。内容を書留し、後日ギルドから直接本人たちに合否が言われる。おもに〇〇討伐がメインになる。本人たちの討伐が無理で、付き添いの冒険者が手を貸した場合不合格。
リタイアも受け付ける。逃亡した場合も不合格。
死者が出た場合も全員が不合格。
不合格の場合、自分のランクのクエストを複数回クリアーしないと昇格試験は受けられない。
「まぁ、目的のモンスターを倒せなかった時点で不合格だよな。そして、一発合格しかないと。」
「中々シビアですね。不合格になるとまた最初からやり直しとか。」
「ま、平気じゃね?俺達なら!」
「もう、お兄ちゃんは簡単に考えすぎ!」
「まぁ、まぁ、まぁ。それで、今回の付き添い冒険者というのは?」
「あの方です。」
ギルドの店員が指さす方向には、剣を腰に装備し盾を背中に背負っている。どうやら剣士の様だ。その男は、女性に次々と話しかけていた。
「ダニエルさーん!お願いします!」
「じゃ、お嬢さん後でね!へーい、今行くよ!」
チャラそうな男は、受付の男性に呼ばれアギト達の元へとやってきた。
「ちぃーす!」
「ダニエルさんが今回担当する冒険者さん達です。」
「おう!俺の名はダニエル!クランジャッジメント所属の剣士だ!冒険者ランクはBだ!よろしく!」
(エリス様の言っていたジャッジメントのメンバー)
【スキル 調べる】
【ダニエル 22歳 職業→剣士 状態→良 冒険者ランク→B スキル→剣士の風格】
「よろしくお願いします、ダニエルさん。私の名前はメイ、見習い魔法使いです。」
「よろしくお願いします。俺はアギト。勇者だ。」
「兄ちゃんよろしく!俺はガイ!見習い剣士をやってる!将来はスゲー剣士になる事だ!えへへへへっ!」
アギト達3人が挨拶を終えると、
「うーん、メイちゃん君可愛いね!どうだい、昇格試験が終わったら俺の部屋で良いことしない?お兄さんが色々教えてあげるよ?」
「結構です。私はアギトさんが好きなので!お断りさせていただきます!」
「アギトだぁ?あぁ、お前が使えないって有名なクソ勇者か。なんか、第3王女のアリス様とよろしくやってるみたいじゃねーか!アリス様だけじゃ物足りず、この子にも手を出してるのか!いいな勇者ってのは、選ばれし者なら女なんて抱き放題ってか?羨ましい限りだぜ!」
「アギトさんはそんな人ではありません!あなたと一緒にしないでいただけますか!」
物凄い勢いで怒るメイ。もはや、自分への恋心をオープンにする女性は、みんなこうなんだと思うようになったアギト。
「へいへい、じゃとっとと行きますか。俺も暇じゃないんでね。」
「よろしくお願いします。」
「あぁん!?クソ勇者が俺に話しかけんじゃねーよ!クソが!」
「ちょ、ちょっと・・・・」
「止めろ。メイ!行くぞ!」
「むむむっ」
こうして、アギト達一行は昇格試験となる洞窟へとやってきた。道中のモンスターは、勇者の力が見たいとダニエルが言ったのでアギトが全て相手にしていた。
「大丈夫ですか、アギトさん?」
「兄ちゃん、平気か?だいぶ疲れてそうだけど?」
「これくらい平気さ!行くぞ!」
「ちっ!」
アギトは、度重なる戦闘で疲労していた。持ってきた木刀も残り数本、札もここ最近補充できていなかったので残り僅か。
(まずいな。木刀はともかく札の残りが少なすぎる。このダニエルという男、何を考えている。最悪場合、この札で脱出するしかない。)
そして、洞窟の中に入りアギト達は討伐モンスターについて話しをしていた。今回の討伐モンスターはオーガと角の生えたいわゆる鬼だ。前に倒したオークよりも大きく強さも上がっていると聞く。
「今回も、オークの時と同じくメイが牽制しつつ俺とガイでオーガのヘイトを取る!」
「はい!わかりました。任せてください!」
「俺と兄ちゃんなら余裕だって!」
「お兄ちゃん!また油断して!死んでも知らないわよ!」
「大丈夫だよ!まったく、メイは心配しすぎなんだよ!」
「当り前じゃない!たった1人の家族なのよ!お兄ちゃんが死んじゃったら、私はどうすればいいのよ。1人じゃ、生きてる意味なんかないよ。」
「お、おう。すまん。」
「2人もそろそろ着くみたいだ。気を引き締めろ。」
洞窟の深部へとやってきたアギト達4人。開けた場所に出て一行が目にしたものは予想だにしない光景だった。奥では今回討伐する予定のオーガが血を流し死んでいる。
「これはどういう事だ。なぜ、オーガが倒されている。ダニエル何だこれは?」
「お、俺に聞くな!俺だって知らない!こんな話しは聞いていない!聞きたいのは俺の方だ!」
アギト達は恐る恐るオーガがの所へ向かう。そして、入り口の方で声がした。
「やっと来ましたか。ずいぶん遅かったですね、勇者アギト。」
「「「「!!!」」」」
後ろを振り返り、声の主を確認するとそこには執事が着るような紳士的服装をした鼻の長い天狗とも見える魔物が居た。
「誰だお前は!?」
「これはこれは失礼しました。私は魔王軍の四天王、天狗族の長エイモスと申します。」
「天狗族?俺達の持ってるイメージとはだいぶ違うが?」
「あぁ、この格好ですか?私の趣味です。」
「ふーん。で、魔王軍が俺に何の用だ?」
「何の用?フハハハハハハハハハハハっ!」
「何が可笑しい?」
「可笑しいも何も、あなたを殺すために馳せ参じたのではありませんか。」
「ほう、勇者である俺に勝てるとでも?」
【スキル 調べる】
【天狗族エイモス 得意技→疾風撃→ウィンドカッター→呪符 性格→凶暴 弱点→斬撃→火→鼻 魔石→✖ モンスターランクS】
(ランクS・・・・。俺達じゃどう足掻いても勝ち目は無いか。何とかしてガイとメイだけでも逃さないと。)
「さて、お話しはこれぐらいで始めましょう。」
「吠えずらかくなよ、クソ天狗!」
アギトはメイ達が逃げる隙を作る為に戦う事を決意する。
「ガイ、メイ!俺とダニエルがどうにかして時間を稼ぐ!その間にお前達は逃げ・・・・・・・・何をしているダニエル?」
「く、来るな・・・!近づけばこの女を殺す。いいな!」
「メイ!」
「お兄ちゃん!」
「クソ―!メイを離せ!」
メイを人質に取られたガイは怒り、ダニエルへと攻撃を仕掛ける!
「よせ、ガイ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
【ガキンッ】
ガイの攻撃を剣で受け止めるダニエル。そして、
「近づくなと言っただろうが、このクソガキが!」
【ザシュ】
「うっ!」
ダニエルの剣がガイの腹部を貫く。
「お兄ちゃん――――――――――――――――!」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
もがき苦しむガイ。腹部から物凄い血が流れ、血の海が出来る。
「ガ――――――――――――――――イ!」
「い、言う事を聞かないこいつが悪いんだ。お、俺は悪くない!」
「ふふふふふふっ。これは中々面白い光景ですね。いいでしょ、そこの冒険者!そこの勇者を殺したならあなたを我が眷属として迎えましょう!」
「ほ、本当ですか、エイモス様!」
「はい、本当です。だから、そこの勇者を殺しなさい!」
「てめー、ダニエル!気でも狂ったか!」
「うるさい、うるさい黙れ!!俺は、生き残れるならなんだってやる!たとえ、魔王軍に魂を売ってもだ!」
「クソが!」
【人物紹13】
名前→ダニエル 職業→剣士 冒険者ランク→B アギトとの出会い→冒険者ギルドでアギト達の試験官をする 武器→剣 年齢→22歳 性別→男 身長→180cm 体重→81kg 髪→茶色でロン毛 スキル→剣士の風格 クラン→ジャッジメント その他→クランジャッジメントに籍を置く剣士。女性を見ればすぐ口説くチャラ男。軽い性格でクランの女性からは嫌われている。




