勇者は怒られる
ライザへと戻って来た3人。さっそくギルドへ行ってクエストの報告をする。そして、クエストの報奨金を巡って話しが始まる。
【街の広場】
現在、メイがオーク討伐の報奨金を持っている。そしてメイが話しを切り出す。
「では、分配を始めたいと思います。まず、お兄ちゃんには600ゴールド。そして、私も600ゴールド。最後にアギトさんに3300ゴールド。コボルトの魔石500ゴールドは、1・1・3で分けました。このように分配したいと思います。」
「却下だ。」
分配に待ったをかけたのはアギトだった。するとガイとメイが、
「何だよ兄ちゃん、それじゃ少ないってのか?3000ゴールドもあれば十分だろ。むしろ、俺達のが少ないくらいだ!」
「やはり少なすぎましたよね。ごめんなさい。」
「違う、逆だ!これじゃ、俺がもらい過ぎている。」
「え!?でも、妥当な分配だと思うのですが。私達2人ではそもそもクエスト自体受けられませんでしたし、オークだって倒せたかどうか。」
「お前達は何か勘違いしているようだが、俺は別にそこまで金には困っていない。俺はただ、冒険者ランクが上がればそれでいい。それにメイは言ったよな?お金は持ってない、昨日はパン1個しか食べてないと。お互い500ゴールドで何が出来る?」
「それは・・・・・・。」
「そして、今後の為にも武器のメンテナンスは必要だ。ガイの剣も盾もメンテナンスが必要。それと、今夜の宿はどうする?まさか。子供2人で野宿するなんて馬鹿げたことを言うつもりじゃないだろうな?」
確かに、500ゴールドでは食事をしたらそれで終わる。だが、武器のメンテナンスはどうする?今夜の宿はどうする?せめて、1人1000ゴールドはないとやっていけない。
その事を重々知っていたメイは何も言えなくなる。
「私達の事はどうにでもなります。」
「いいや、ならないね!だから、今回は素直に4000ゴールド全て2人がもらうべきだ。俺は、コボルトの500ゴールドだけでいい!」
「しかしそれでは・・・・・・・」
「これは決定事項だ!これ以上の反論は認めん!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
納得のいかない様子のメイ。だが、そんな事はどうでもいいとアギトは思う。
「さて、じゃまだ時間もあるし武器屋にでも行こう!ガイの剣と盾のメンテナンスをしにいくぞ!」
「わかりました。」「お、おう。」
こうして3人は武器屋に行ってメンテナンスをお願いしてきた。明日のお昼までには出来るという事なので、今日は解散となるのだが。
「ところで、2人はこの先もずっとライザで冒険者をやっていくのか?」
「はい!今のところはここを拠点にして活動していこうと思っています。ですが、なぜそんな事を?」
「2人さえ良ければ、うちに来ないか?」
「アギトさんの家にですか?」
「あぁ。実はな、ここから1時間の場所に俺達のクランハウスを建ててるんだ!2人さえ良ければ、どうかなと思い。もちろん、住むところも用意する。食事だって用意は出来る。たぶん。」
「たぶん?」
「あぁ、いかんせん料理できるのが恐らく俺だけだと思うんだ。もう1人居るんだが、ありゃたぶん出来そうにない。」
「へっくち。誰か私の噂してるわね!」
「俺も簡単なものしか出来ないからあんまり期待しないで欲しいんだが・・・・・。」
「なら、私がお料理します!こう見えても、少しは出来るんです!ですので、ぜひお願いします!」
「よし、わかった!ガイもそれでいいな?」
「ん?俺は別に飯と寝る所があればどこでもいいぞ!」
「もう、お兄ちゃんってば!」
「ははははははははははっ!じゃ、今日は帰るとするか!」
こうしてアギト達はアリスの待つクランハウス建設予定地へと帰っていった。馬車に揺られる事1時間、自分の家へと帰ってきたアギト、
「おぉ、出来てる、出来てる!」
「ここなんですか・・・・・・・・・・?」
「ここが、兄ちゃんの家・・・・・・・。」
そこには【ブレイブハートの屋敷建設予定地】と書かれた馬鹿でかい木製の看板があった。そして、2棟の家も完成している。
「おーい!アリス、帰ったぞ!?居るか?」
すると、1棟の家の裏からアリスがやってくる。
「あ!帰ってきた!おーい、アギトおかえ・・・・・り?」
「は、初めまして。今日、アギトさんとご一緒にクエストを受けてきたメイです。よろしくお願いします。」
「俺の名前は、ガイ!よろしくな!」
「え!?あ、あぁ。よろしく。・・・・・・アギト。ちょっとこっちへ。」
「ん!?あぁ・・・・。」
アギトを呼び出し、メイたちと距離を取るアリス。
「な、な、な、何よ、あの子達?あたし、聞いてないわよ?あんな子供達が来るなんて。」
「まぁ、俺も今日知り合ったばかりだしな。」
「はぁ?今日知り合ったばかりで、何で連れてくるのよ!」
「だってしょうがないだろ?お金持ってないみたいだし、泊まる所も無いって言うし。」
「だからって。こっちだってお金に余裕があるわけじゃないのよ?あんたそこんとこ分かってる?」
「そうなのか?でも、どうせアリスの事だへそくりぐらい隠し持ってるんだろ?」
「まぁ、多少はあるわよ。ってそんな話しをしてるんじゃないわよ!」
「じゃ、どんな話しだよ?」
「そ、そ、そ、そ、それは今日からアギトと2人で暮らすから、楽しみにしてたって言うかなんて言うか・・・・あ、あ、あ、あんな事や、こ、こんな事も、で、で、で、で、出来るって言うか・・・・・。」
「ん!?何だって?声が小さくて全然聞こえないぞ?」
「う、うるさいわね!この馬鹿!」
「あ、あ、あの・・・・・・・・・」
「な、何よ!?」
「もしかして何ですけど、お姉さんは第3王女のアリス様ですか?」
「そ、そうよ!私はこの国の第3王女、アリス・ライコネンよ!」
「やっぱり!お会いできて光栄です!あー、何て美しい。」
「あ、あなた見る目があるわね!あたしの美しさが分かるなんて!」
「そりゃ、もちろんです。年齢より童顔な顔、決して高くない背丈、大きすぎない品のある胸。全てがパーフェクトです。」
「ねぇ、アギト。こいつあたしに喧嘩売ってるのかしら?」
「ははははははははははっ。」
「笑い事じゃないわよ!あたしが気にしている事全て言ってくるじゃない!」
「そうなのか?そんなに気にしているのか?」
「どうやらあんたも死にたいようね。」
「それは勘弁して・・・・・。」
「ところで、何でこんな所に第3王女様が?も、もしかしてアギトさんの恋人?」
「はぁ?な、な、な、な、何であたしがこんな奴と・・べ、べ、べ、別に、な、な、な、なれたらいいな!なんて、こ、こ、これっぽっちも、お、お、お、お、お、思ってないないんだから。か、勘違いしないでよね。何でこんなへっぽこ勇者なんか・・・・・・。好きだけど(ボソッ)」
「ん?最後の方が聞き取れなかったんですけど、アリス様何て?」
「べ、別に何でもないわよ!ほ、ほらアギト!ご飯の用意しなさい!しょ、しょうがないからあんたが作ったご飯、食べてあげるわよ!」
「しょうがないんじゃ、別に食べなくてもいいぞ?」
「う、うるさい!さっさと行きなさい!」
「へいへい、わかりましたよ!」
そして、晩御飯はアギトとメイが作り皆で食事をしている時アリスが、
「んで、明日はどうするの?」
「とりあえずは、しばらくクエストをこなしていくつもりだ。ランクも上げないとならないしな?」
「ふーん、そっちの2人はどうするの?」
「私達は、アギトさんさえ良ければ一緒にクエストを受けようかと思っているのですが。」
「俺は構わないぞ?何なら、しばらくは3人で行動しよう!」
「本当ですか?やったー!ほら、お兄ちゃんもお礼言って!」
「お、おう。あ、ありがと。」
こうして、アギト達は翌日から3人で行動する事となった。
【1週間後】
とある少女は勇者アギトの情報を得るためヴィータのギルドハウスに居た。
「すみません、冒険者登録したいのですが?」
「はいはい!この渚ちゃんにお任せあれ!では、こちらの紙に必要事項を記入してくれる?その後、こちらの水晶に手をかざしてもらえますか?あなたの適性ジョブが分かるので!」
「ふむふむ、ハツネさんね。ではこの水晶に手をかざしてください。」
「わかりました。」
ハツネは渚の言われるがままに水晶に手をかざした。そして、
「えーっと、ハツネさんの適性職業は・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あの・・・・・・・・・・・・?」
「嘘よ・・・・・・・。こんなのありえない。あるはずがない。この前は勇者、そして今度は・・・・・・巫女。」
【バンッ】
ハツネは勢いよくカウンターを叩いた。
「勇者!お姉さん、アギトさん知っているんですか!!」
「え?えぇ。少し前まで、このヴィータで冒険者をやっていたは。今は、ライザに居るとか居ないとか・・・・。」
「ありがとうございます。では、私はこれで!」
「ちょ、ちょっと、まだ職業についての話しが・・・・。」
「ライザで聞くから平気です!」
こうして、ハツネはアギトがライザに居るとの情報を得るとすぐさまギルドから出て、アギトが居ると言われているライザへと向かうのであった。
「勇者に、巫女・・・・・。いったい何が起ころうとしてるの・・・・・・・・。」
【職業紹介3】
【巫女】選ばれし者だけがなれる職業。生まれた瞬間から授かる職業で、派生してなれる職業とは違い特別なEX職業。レリック武具を装備可能。結界術を使用可能。攻撃、守り、サポートとあらゆる場面で活躍できる。




