勇者は初めてパーティでの戦闘を経験する
オークが居ると言われるステラの洞窟に向かう3人は、途中にある森の中で3人はコボルト2体を見つける。
「止まれ!ガイ、メイ!オークと戦う前に2人の実力を見たい。2人であのコボルトを倒してみてくれ!」
「余裕だぜ!任せておけ!」
「お兄ちゃん、油断は禁物だよ!」
「んなの分かってるよ!準備は良いか、メイ!?」
「う、うん。大丈夫!」
ガイは鉄の剣を右手に、左手には鉄の盾を構える。メイは杖を自分の前に構え、いつでも魔法を撃てる準備をする。アギトはメイのすぐ横で様子を見守る。
「行くぞ!スキル、剣士の極意」
ガイがスキルを使うと全身が一瞬オーラで包まれる。アギトは、ガイを調べて剣士の極意の効果を見る。
【剣士の極意 一時的に攻撃力と防御力が少し上げる 発動時間は使用者の強さにより変わる】
ガイが目の前のコボルトに向け走り出し、コボルトに先制攻撃を仕掛ける。ガイに気付いたコボルトも、剣を構える。
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ガイは右手の剣を大きく振りかぶり、コボルト目掛け振り下ろす。対するコボルトは、ガイの攻撃を剣で受け止めもう1体のコボルトがガイめがけて攻撃する。
「させない!ファイアーボール!」
メイのファイアーボールが、ガイを攻撃しようとしていたコボルトに当たり、コボルトは大きく体勢を崩す。そして、ガイはすぐさま態勢を整えて怯んでいるコボルト目掛け、盾を前に体当たりをする。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
そして、体当たり攻撃により吹き飛んだコボルトに追撃を行なうガイ。そのまま、倒れているコボルトの胸に剣を刺す。そしてコボルトはガイの攻撃により息絶えたのだが、
その間に、もう1体のコボルトはメイめがけて向かって来ていた。メイはコボルトに向けて再び魔法を放つ。
「ファイアーボール!」
胴体に直撃を食らったコボルトは、吹き飛び地面を転がる。そして、戻って来たガイの攻撃によりコボルトは倒されたのであった。
「ふぅ、どんなもんだい!」
「もう、お兄ちゃん前に出すぎ!」
「いいじゃんかよ、倒せたんだから!」
「今回は倒せたから良かったけど、もし私のファイアーボールが躱されていたら私死んでたよ!」
「そ、それは・・・・・。」
「確かにメイの言う通りだ。あの時ガイは、追撃をするのではなく、最初に攻撃を仕掛けたコボルトを相手にするべきだった。メイとの距離が開き、すぐさま戻れない状況で他のモンスターが現れたらどうする?
陣形は崩れ、2人も死んでいたぞ。今回はたまたまこの2体で済んだからいいもの、次からはお互い適切な位置を意識して戦うんだ。」
「わ、わかったよ。気を付ける。」
(あぁ、さすがはアギトさん。あの短時間でそこまでの分析をするなんて)
こうしてアギト達は、再びステラの洞窟へと歩き出す。向かう途中モンスターと数体の遭遇するが、先程とは違いガイはアギトの言う事を聞き、メイとの適切な距離で戦う。そして、
「ここが目的地ステラの洞窟。」
ライザから歩いて30分の所にステラの洞窟はあった。多少の戦闘はあったものの、予定より早く着いたアギト達。
「よし、中に入ろう。くれぐれも油断はするなよ。いいな!」
「「はい!」」
洞窟内はうす暗く、ひんやりしている。アギト達は松明を片手に洞窟の奥へと進んで行った。洞窟内を10分ほど歩いたとき、遂にお目当てのモンスター、オークと3体のコボルトを見つける。
アギトはすぐにオークに向かてスキルを使う。
【スキル 調べる】
【オーク 得意技→薙ぎ払い 突進 性格→凶暴 弱点→斬撃→雷→火 魔石→〇 モンスターランクE】
オーク達が居る場所は開けており、見通しは良い。明かりで照らされ戦いやすい場所だ。ここで、アギトが2人に作戦を伝える。
「よし、いいか。まず、俺が単身でオークとやりあう。その間に2人は、邪魔なコボルト達を始末してくれ。その後、コボルト達が死んだのを確認出来たら、俺と一緒にオークを攻撃してくれ。どうしても刃物でない木刀しか装備出来ない俺だと、時間がかかりすぎる。」
アギトの話しを真剣に聞く2人。その目は輝いており、まるで弟子が師匠の話しを聞いているかのようだ。
「そして、ガイはコボルト達を倒したら、主にオークの足を攻撃し動きを止めてくれ。奴の動きを封じた後、メイはサンダーボルトで威嚇しつつ、ファイアーボールを連発。すかさず俺も攻撃をする。止めの1撃はガイ、お前に任せる!いいな!」
「はい!」「了解!」
「ではいくぞ!」
まずアギトはショートボウを取り出し、爆発の札が結ばれた矢を取り出し、オークめがけて放つ。そして、ガイとメイはそんなアギトの後ろから右へと周り、大きくアギトとの距離を取り、メイはすぐさまコボルトに向けてファイアーボールを撃つ。
アギトの予想通り、オークは爆発の矢を食らい、コボルトはメイのファイアーボールが直撃し、それぞれがモンスターのヘイトを取る。
オークは、アギトの攻撃に警戒して構えをして、コボルト達はガイとメイ目掛けて走りだす。そして、向かってくるコボルト達にメイは再びファイアーボールを浴びせ、ファイアーボールの直撃を受けたコボルトをガイが冷静に処理し、まずは1体倒す。
アギトはそのままオークへと向かい、木刀2本を召喚して攻撃を仕掛ける。オークは持っている片手斧でアギトを対して横の薙ぎ払いをする。
それを左手に装備した木刀で受け止め、木刀が真っ二つにされてもアギトは直進して、右手の木刀でオーク左足を攻撃する。しかし、オークは小太りで脂肪が多く木製武器では大したダメージは与えられない。
オークは、一瞬顔を歪めたがすぐに顔をニヤつかせアギトに攻撃する。アギトは、たいしてダメージが入らない事は承知していて、オークの攻撃が来る前に後ろに飛ぶ。
空振りに終わったオークは、少し顔をイラつかせる表情を取る。これもアギトの作戦通り。自分では倒せるはずはないと思い、例え倒せるとしてもえらく時間がかかることはアギトでもわかる。
だからこそいい。アギトは、オークに「こいつ弱いな。こんな奴自分の敵ではない。」と思い込ませ、注意を自分に向けさせ、ガイ達がコボルト達を倒す時間を稼ぐだけ。
アギトがオークと対峙している瞬間も、ガイとメイは次々とコボルトを倒し、遂に残るはオーク1体となる。
「アギトさん!終わりました!」
「よし、では作戦通りに行くぞ!」
メイの言葉で3人はオークに向けて攻撃を仕掛ける。まずはメイのサンダーボルト。
「サンダーボルト!」
メイの杖先から、雷が放たれオークは一瞬怯み、その隙にガイが飛び出しオークの足に斬撃を浴びせる。刃物で切られたオークの足は血が飛び散り、アギトは爆発矢でオークの頭を攻撃。メイもその後すぐにファイアーボールをオークの胴体に当てる。
オークは、自分の間合いに入っているガイを片手斧で攻撃するが3人の攻撃により、動きが鈍くなっていて空振りするばかり。
オークの攻撃を躱しながら足元に攻撃を加え続けるガイ。やがてオーク苛立ちが頂点に達し、咆哮を放つ。オークの咆哮により、縮み上がってしまったガイは動きを止めてしまい、薙ぎ払いを食らってしまう。
「ガイ!」「お兄ちゃん!」
とっさに我に返り盾でガードするも、ガイは大きくはじけ飛ばされる。アギトはすぐにオークとの距離を縮め、攻撃を仕掛ける。兄が吹き飛ばされた事により、ビビってしまったメイは攻撃を止めてしまう。
「メイ!攻撃の手を緩めるな、撃ち続けろ!」
「は、はい!」
再度、魔法を撃ち始めるメイ。アギトも木刀でオークを攻撃し、自分にオークの意識を引き付ける。
「いててててて。いてーな、この野郎!許さねーぞ!」
幸いにも鎧を着ていた為、そこまで致命的な傷は負わずにすんでいた。防具様様というやつだ。
「お兄ちゃん!」
「わりー、油断した!」
そう言ってガイは再びオークへと攻撃を仕掛けに行く。
「ガイ、メイ!一気に畳み掛けるぞ!」
「はい!」「おう!」
アギトは武器をショートボウに切り替えて、爆発矢をオークの顔面目掛けて放つ。メイもサンダーボルトで、オークの動きを封じる。そこへガイがオークの胸へと剣を突き刺す。
「これで終わりだ――――――――!」
ガイの攻撃は、見事オークの心臓を貫いた。オークはその場に倒れ込み心臓が停止した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
「どうだ!ざまーみろってんだ!」
「やったー!やったー!やったー!」
「ふぅ。」
ガイは、当然と言わんばかりに胸を張り、メイは嬉しさのあまりアギトに抱き着く。
「あの・・・・メイ?そ、その離れてもらえると助かるんだが・・・・。」
「はっ!す、すみません。嬉しくてつい。」
顔を真っ赤にするメイ。そんな様子を見ていたガイが、
「ガキじゃねーんだからそんなにはしゃぐなよ。」
「うるさい!お兄ちゃんにはこの気持ちわかりませんよーだ!べー!」
「ほ、ほら2人も、魔石の回収を忘れるなよ!」
「はーい!」「ほーい。」
3人は無事オークを倒てその体から魔石を取り出し、ライザへと帰っていく。
【人物紹介12】
名前→ガイ 職業→見習い剣士 冒険者ランク→F アギトとの出会い→ギルドでパーティに誘う 武器→剣 年齢→14歳 性別→男 身長→167cm 体重→65kg 髪→赤で短髪 スキル→剣士の極意 クラン→無所属 その他→誰に対しても遠慮をしない。その為、他の冒険者から距離を置かれることもある。しっかり者の妹が居ないと生きていけない。




