勇者はパーティを組む
【翌日の午後】
いよいよ本格的に拠点作りを開始したアギトとアリス。アリスは、昨日雇った木工師とその弟子2人、数名の騎士団を護衛として拠点を作る場所へと向かった。
【数時間前】
「アリス、何を言っている?もちろん俺も行くぞ!」
「だから、あんたは来なくていいのよ!あんたが居ても何にも出来ないでしょうが!だったら、仲間集めをするなり、冒険者ランクを上げなさい!何回言えばわかるのよ、このへっぽこ勇者!」
「しかしだなぁ。アリスに何かあると俺が困るんだが。」
「まったく。心配してくれるのは嬉しいけど、私なら平気だから!騎士団の護衛も居るし、あんな何もないとこ誰も来やしないわよ!」
「しかしだなぁ・・・・・。」
「くどい!いいからさっさと冒険者ギルドに行きなさい!わかった!?」
「はい。」
こうしてアギトは今、1人で冒険者ギルドの掲示板の前に居るだが・・・・・・。
「参ったなぁ。どうしようかな。」
アギトは、遠目から冒険者ランクF専用のクエストが貼り出されている掲示板を見る。
【薬草の採取 冒険者ランクF〜 内容→薬草を10個納品。パーティメンバー1人〜 報奨金500ゴールド】
【ワイルドボアの肉5kgの納品 冒険者ランクF〜 内容→ワイルドボアの肉を鮮度の良い状態で5kg以上納品。パーティメンバー1人〜 報奨金1500ゴールド】
【作物の収穫 冒険者ランクF~ 内容→フラン村での作物の収穫の手伝い パーティメンバー3人~ 報奨金1000ゴールド】
「うーん。どれもパッとしたのが無いな。」
アギトが何のクエストを受けるか悩んでる居る時、その前で2人の男の子と女の子が何やら話しているんのが聞こえる。男の子の方は13~15歳ぐらい。女の子の方は11~13歳ぐらいだ。
「お兄ちゃん、どうしよう。このクエスト、パーティメンバーが3人以上からだって。あと1人誰か居ないかなぁ。」
「あぁ、せっかく報奨金もいいのに、誰もFランクの掲示板なんか見てねーじゃねーか。クソっ!」
(こんな小さい子までもが冒険者?この世界はどうなっているんだ。)
アギトは、前にいる兄妹をチラッと見た後、2人が見ているクエストの紙を見る。
【オーク1体の討伐 冒険者ランクF~ 内容→ステラの洞窟に居るオークを1体討伐し魔石の回収 パーティメンバー3人~ 報酬金4000ゴールド】
(なるほど。確かに他と比べて報酬金は良いが、この世界でのオークの強さってのはFランク3人の強さで勝てるの?)
アギトがそんなふうに考えていると、
「あの~、すみません。少しよろしいですか?」
兄妹の妹の方がアギトに話しかけてきた。
「え!?俺?」
「はい。お兄さんです。もしよろしかったら、このクエストを一緒に受けてもらえないでしょうか?」
「おい、メイ!何を勝手に・・・・・」
「だってしょうがないじゃない!このままじゃ、今日もろくにご飯食べられないよ!?昨日だって、パン1個だったじゃない!そんなの私、嫌だ!」
「しかしなぁ・・・・・・・。」
(パン1個?大丈夫なのか、この兄妹は・・・・。)
「お兄さん、どうかお願いします!この通りです!」
メイはアギトに対して深くお辞儀をする。そして、
「お兄ちゃんも早くお願いして!」
「わかったよ・・・・・・・お願いします。」
「お兄ちゃん!」
「あー、もう!わかったよ!すみません、僕たちに力を貸して下さい!お願いします!」
兄の方も深々と頭を下げる。2人の子供に頭を下げられてしまうアギト。
「わかった、わかったから頭を上げてくれ!頼むから!」
「本当ですか?」
「あぁ、君達さえ良ければ手伝うよ!ただし、あんまり期待すんなよ?」
「はい!ありがとうございます!ほら、お兄ちゃんもお礼言って!」
「お、おう。そ、その、ありがとうございます。」
「じゃ、さっそく手続きしてきますね!少しお待ちください。」
そう言うと、妹のメイは受付へと走っていく。その隙にアギトは2人に対してスキルを使う。
【スキル 調べる】
【メイ 12歳 職業→見習い魔法使い 状態→空腹 死に至る可能性→〇 冒険者ランク→F スキル→低級魔法が使える】
【ガイ 14歳 職業→見習い剣士 状態→空腹 死に至る可能性→〇 冒険者ランク→F スキル→剣士の極意】
(剣士と魔法使いか。さて、どこまでやれるのかな、この2人は。)
「お待たせしました!では、さっそく行きましょう!」
「そうだな・・・と言いたいところだが、その前に腹ごしらえするぞ!」
「え!?私達はお腹など減っていません。それに私達、お金持ってないです。」
「腹が減ってるって、顔に書いてあるぞ!いいから行くぞ、俺がおごってやる!」
「で、でもそこまでお世話には・・・・・・」
「いいのか兄ちゃん!やったー!俺、腹が減って死にそうだったんだよ!いやー、兄ちゃんいい奴だな!」
「お兄ちゃん、言い方!す、すみません。うちのお兄ちゃん、いつもこんなんで・・・・・。」
「別にいいじゃんかよ!」
「お兄ちゃんがそんなんだから、誰もパーティを組んでくれないのよ!少しは反省してよ。まったくもう!」
「わ、わかったよ。だから、そんな怖い顔するなよメイ!」
「お兄ちゃんがそうさせてるんでしょ!」
「あはははははははははっ・・・・・・・・・・。」
(すごい兄妹だな。兄よりしっかり者の妹。恐るべし。)
こうして、3人は一先ず腹ごしらえの為、酒場へと向かった。そして、昼食を取りながら3人は、
「申し遅れました、私はメイ。歳は12歳です。見習い魔法使いです。よろしくお願いします。そしてこちらが兄の、ガイ。歳は14歳の見習い剣士です。」
「よろしく~」
「もう!お兄ちゃん!」
「あははははは。仲が良いんだな2人は。俺の名前はアギト。19歳で、最近この世界に転生された勇者だ。よろしく!」
【ブ――――――――――――――――ッ】
メイは、食べてるものを勢いよく口から吐き出した。
「きたねーな、メイ!飯ぐらいちゃんと食えよ、まったく!」
「な、何言ってるのお兄ちゃん!アギトさんは勇者なのよ!驚くに決まってるじゃない!勇者様に会えるなんて、一生に一度有るか無いかなのよ!わ、わ、わ、わ、わ、わ、わ、わ、私達はなんて方をパーティに・・・・・。あの・・・無礼な口を聞いた兄さんは殺されるのでしょうか?」
「だ、大丈夫。俺はそんなことしないさ。だから安心してくれ。」
「よかった・・・・。」
まさかの勇者に無礼な態度を取った兄を持つメイは、そっと胸をなでおろした。
「それはそうとアギト様?」
「ん!?何だ?」
「アギト様の武器って何なのですか?見た感じだと装備してないので・・・・・。」
「あぁ。俺の武器はこれさ!」
アギトは木刀とショートボウを召喚した。
「木刀と木の弓ですか?」
「そう、木刀と木の弓」
「他には?」
「無い!」
「無い?無いってどういうことですか?剣とか斧とかは無いんですか?」
「あぁ。俺は特性上、木製武器しか装備出来ない。持てることは持てるが、物凄く重たく感じてしまいとてもじゃないが振れないんだ。」
「勇者が木刀?聞いたことないな!本当に勇者なのか?」
「お兄ちゃん!勇者様にむかって何てこと言うの!」
「いや、いいんだ。俺だってそう思っている。木刀しか装備出来ない男が勇者だなんて、誰も信じないさ。」
「私は信じます!」
「お、おう。ありがとう。」
「さー、さっさと食べてクエストの場所に向かいましょ!」
この後、3人は食事を終えいよいよオークを討伐すべく現地へと向かうのであった。
【人物紹11】
名前→メイ 職業→見習い魔法使い 冒険者ランク→F アギトとの出会い→冒険者ギルドでパーティに誘う 武器→杖 年齢→12歳 性別→女 身長→141cm 体重→39kg 髪→赤でセミロング スキル→低級魔法 クラン→無所属 その他→しっかり者の妹。村がモンスターに襲われ、両親が死に兄と2人で冒険者になる。勇者のアギトを尊敬し、好意をよせる。




