勇者は土地を得る
アギトはヴィクトリアの悪知恵により王城へと連れて来られてしまった。観念して王様の話しを素直に聞くアギト。
「そなたが勇者アギトだな?」
「はい、そうです。お初にお目にかかります王様。」
「よいよい、そんなに畏まらんでも。この部屋には、我々しかおらん。もっと気楽にしてくれ。」
「しかし・・・・・・・・・。」
「その方が儂も話しやすいのじゃ。」
「わかりました。では、そうさせてもらいます。」
「ふむ。さてさっそくなのだが、今回我が娘アリスを助けてもらったことに感謝する。そして、アリスを助けてもらった礼の事なのだから。」
「いえ、たまたまです。そして、お礼など不要です。」
「なぜじゃ?そして、聞く話しよると、とてもじゃないがアリスが居た場所をあんな短時間で探し出すことは不可能だと思うが?本当にたまたまなのか?儂にはそうはみえんが。何か隠しているな?」
痛いところをアギト。ライザ周辺では隠れるところはたくさんある。それを、攫われてわずか1日で助け出すことなどまず不可能だ。事前にアリスの事を目撃していない限り。
「流石は、王様。そこまでわかっておられてたのですね。」
「はっはははははははははは。儂も伊達にこの国の王をしておらんよ。」
「わかりました、包み隠さずお話しします。」
アギトは王様に全てを話した。アリス達とすれ違った事、その時しっかりアリスの特徴や何で移動していたかをしっかり覚えていた事。
ライザに着き、アリスが行方不明になっていて、冒険者ギルドでアリスの特徴を聞いたこと、包み隠さず全て話した。
「そうだったのか。では、なぜその時、街に居た騎士団や冒険者ギルドに相談しなかった?報奨金も出していたはずじゃが?そして、アリスを保護した後狼煙だけあげて、なぜその場から居なくなった?」
「それら全ては、共通して俺の存在を王族には知られたくなかったからです。」
「なぜ知られたくない?」
「俺は、どうしても魔王を倒して元の世界に帰りたく、王族に知られると色々自由に動けなくなり、ただ無駄に時間だけを取られてしまうからです。」
「なるほどな。そう言う事だったか。確かに、今この時もお主にとっては時間の無駄だろうな。」
「すみません。」
「何、お主が謝る事ではない。なら、私達が全面的にお主をサポートするって言うのはどうだ?アリスを助けたお礼でという事で」
「サポート?」
「あぁ。こちらからは、お主にこれから先の旅を干渉しない。急に呼び出したりお主の行動の邪魔をしないという事だ。そして、お主が必要な物ならこちらで用意させるという事だ。どうじゃ?これなら良いじゃろ?」
「それだと、こちら側がもらい過ぎです。何も、そこまでしていただく義理はありません。自分の事は自分で何とかします。」
「しかし、聞くところによるとお主は木製武器しか装備出来ないのじゃろ?それだと、どうしても低クエストしか受けられず、低クエストの報奨金ではそれこそ暮らすに暮らしていけないじゃろ?その分時間を費やすことにもなる。」
「おっしゃる事は分かります。ですが、それの事に関してはこれから集める仲間とどうにかしていくつもりです。」
「これから集める仲間か。お主、クランは作っておるのか?」
「一応は。ブレイブハートと言うクランです。今はまだ、剣聖エリス様の妹と2人だけですが。今は全然小規模ですが、いずれはこの街の最大クランジャッジメントより大きくするつもりです。」
「これはずいぶん大きく出たな!」
「はい。でないと、魔王には勝てないと思います。聞いた話しでは、今までどの勇者も魔王にすらたどり着けていないと。
ですから今までの勇者以上に仲間を集め、俺の手で今度こそ魔王を倒して見せます。」
「ははははははははははっ!見事だ勇者アギト!ならせめて、いずれ誕生するその大規模なクランが何不自由なく過ごせるくらいの土地を分け与えよう!」
「土地ですか?」
「うむ。この街に所属するジャッジメントにも全員が何不自由なく暮らせるためだけの土地は分け与えておる。だからそなたたちにも、土地を分け与えよう。そこまで大規模だと、土地を買うにも膨大な金がかかろう。
かと言って、クランに所属する者があちらこちらで暮らしていたら、必要な時に集まれんじゃろ。」
「そうですね。確かにそれは考えてました。俺達の考えている規模のクランになると、膨大な土地とお金がかかります。」
「なら、干渉しない事と土地だけで手を打たないか?欲しい物は、自分達で稼ぎ自分達で買う。自給自足をしていれば食費もかからんし、余るなら売って金にすればよい!どうじゃ?」
「わかりました。それでお願いいたします。」
「決まりじゃ!ヴィクトリア、勇者アギトに例の場所を分け与えよ!良いな!?」
「あの場所ですか?確かにあそこなら適してますね。丁度、新しい街をつくる計画もしていましたし。わかりました。至急手配します。」
「はーい、はーい!お父様!」
「何じゃアリス?」
「その土地の領主を私にしてください!アギトだと、冒険で忙しいのでクランの所有地は私が管理したいです!」
「「却下」」
アリスの申し出を当然のように却下するアギトと王様。そうだ、まだ15歳の娘が膨大な土地の管理など出来るわけがない。
ただ、住まいを作ればいいという物でもない。今後、大勢の冒険者や人間が集まる所だ。自給自足をして、少しでも経費を抑えたい所、人の管理、土地の管理、この他にも山ほどある。
それをアリス1人でやるには無謀すぎる。
「お願い致します。あたしも、アギトの力になりたいのです。戦いで役に立たないのは知っています。ならせめて、私に出来る事でお役にたちたいのです。だから、どうかお願い致します。」
アリスは深々と頭を下げる。アリスは分かっていた。戦いではアギトの足を引っ張るだけ、なら、裏方をすればいい。
アギトの仕事を少しでも減らすために。すると、兄のヴィクトリアが、
「父上、勇者アギト様。俺からもお願い致します。どうか、アリスにやらせてもらえないでしょうか?アリスに至らないところがあれば、俺もサポートいたしますので。」
2人の申し出に王様は、
「うーむ。どうなさいますか、アギト様?」
「アリス、本当にそれで良いんだな?お前はまだ15歳で若い、これからやりたい事だって出てくるかもしれない。けど、今ここで引き受けたらそれすら出来なくなるんだぞ?その覚悟はあるのか?」
「あるわ!どうせ、この先も城で普通に生きて行くだけの人生。そんな人生なら、せめて命の恩人のアギトの力になりたい、ただそれだけよ!」
「わかった。じゃ、街?の事はお前に任せる!これから先、俺の力になってくれ!」
「任せないアギト!立派な街を作ってあげるわ!あなたが私に跪いて結婚を申し出るくらい、素敵な街を作るわ!」
「いや、絶対に結婚はしないぞ?」
「何でよ!結婚しなさいよ!」
「無理。」
「そ、そう、まぁいいわ。でもね、今に見てなさい!必ずあなたを落としてみせる!どんな手を使ってでも!」
「なんか、だいぶ話しが逸れているのだが。」
「う、うるさいわね!ゴチャゴチャと!そうと決まれば、早速出発よ!準備して来なさい!」
「へいへい、分かりましたよ!では、王様行って来ます。ありがとうございました。」
「何、気にするでない。礼を言うのはこちらなのだから。」
こうしてアギトは、アリスとヴィクトリアを連れてアリスの管轄の領土に行くのだった。
【職業紹介 その他】
生まれ持って何も適性が無かったものがなる。王族 貴族 農民 平民 ※農民は農業全般が少し得意。平民は得意なものが何もないただの人




