勇者はツンデレ王女の誤解を解く
そして、次の日アリスはワタルと言う人物の情報を得るため、単身でヴィータに来ていた。自身が全身包帯だらけで目立つのでアギトのコートを着て、フードを深くかぶり目立つことの無いよう、道の端を歩いていた。
そして、剣聖エリスに会うために冒険者ギルドまでやってきたアリス。そんなアリスを見かけた渚が・・・。
(ん!?あのコートって確かアギト様が来ていたものと同じだけど・・・・・)
渚の元へとやってきたアリスは、
「すみません。剣聖エリス様に謁見は可能でしょうか?」
「エリス様ですか?失礼ですが、あなたの身分を証明できるものはお持ちですか?」
アリスは、冒険者の証を見せた。
「アリス・ライコネン・・・・。もしかしてですが。」
「はい、この国の第3王女のアリス・ライコネンです。」
「こ、これはこれはとんだ失礼を。」
「いえ、かまいません。それで、剣聖エリス様とは会えますでしょうか?」
「あ、はい!ちょうど昨日帰ってきましたので今はお屋敷におられるかと。連絡してみますので所々お待ちください」
待つこと5分。
「アリス様、大丈夫みたいです。今地図を描くのでお待ちください。それと、そのコートなのですがアギト様の者ですか?」
「アギト?いや、これはワタルと言うFランク冒険者のから預かっている物ですが。」
「そうでしたか。つまらぬことをお聞きしてしまいすみません。」
「いえ。」
渚は、書いた地図をアリスに渡しアリスはエリスの待つ屋敷へと向かう。そして、門の前に居る2人の兵士に話しかける。
「すみません。剣聖エリス様に謁見を申し出たアリスと言います。剣聖エリス様にお会いしたいのですが?」
「ん?あぁ、君がエリス様の言っていたアリスさんだね?聞いているよ、ささっこちらへ」
門番に案内されるアリス。玄関へと向かう途中で、
「しかし、そのコートアギト様の者だよな?何で君が着ているんだ?貰ったのか?」
「アギト様?」
「ん?あっ!そうか内緒だったな。しまった、今の話しは忘れてくれ!」
「まったくお前はバカだな!一生口を開くな!」
「すまん。」
そして、屋敷の扉が開かれ目の前に居たメイド服の女性に訳を話した兵士は門へと帰っていった。
「あなたがアリス様ですね。お待ちしておりました、エリス様がお待ちです。さぁどうぞ。」
案内された部屋には、エリスの他にティファと他の冒険者居た。
「失礼します。私、この国の第3王女のアリス・ライコネンと申します。この度は、剣聖エリス様の貴重なお時間をいただき感謝いたします。」
「これはこれは、王女様。どうぞ楽にしてください。」
「ありがとうございます。早速ですが、エリス様にお伺いした事がございまして。」
「第3王女のあなたが、なぜ私に?何か、依頼ですか?」
「いえ、私がお伺いしたのはワタルと言う男性でFランク冒険者の事です。エリス様に聞けば教えてくれるだろうと。」
「ワタル?知らないわねそんな人物。ティファは聞いたことがある?」
エリスは、すぐ横に居たティファにも聞くが、
「知らないですね。私は、婚約者のアギト以外は他の男どもを男とみなしてないので。覚える価値もないです。」
「そうだったわね。ティファは、アギト様の事しか興味ないからね。」
「はい、勿論です!今すぐにでもアギトに会いに行き、結婚したいくらいです!ですので、もう修行はいいですよね?結婚を申し込んでもいいですよね?」
「この、バカ妹が!アギト様と別れてまだ全然日が経ってないでしょ!私は、半年我慢しなさいって言ったのよ!もう忘れたの?」
「だって、だってアギトに会いたいんだもん・・・・う・・ぅ・・・うぅ・・・・。ア・ギ・ト・・・・・・。」
「おほん、私の妹が失礼した。でも、誰もそのワタルと言う人物は知らないみたいなのですが・・・。それはそうと、アリス様、失礼ですがそのコートは何処で?」
「あ、このコートはワタルから預かっている物です。」
何かに感づいたエリス。続けて、
「なるほど。他にも、何かそのワタルって人物につながる物はもっていますか?」
「えーっと、でしたらこれを。」
アリスは回復軟膏をエリスに渡した。
「ふむ。後は何か情報は無いですか?その人物について。」
「私の知っていることは、転生者で魔王を倒すとかどうとか。あとは、木製武器しか装備出来ないって事ぐらいですかね?」
「ふふふふふふっ。そうですか。魔王を倒す。木製武器しか。」
「あ!やっぱり、笑っちゃいますよね!木製武器しか装備出来ずに、魔王を倒すとか、そんな夢物語を見ている、
【クズでバカで、何の役もたたないこの世に生きてるだけで邪魔な存在。転生前もろくな生活をしていなかった哀れなゴミ】って言ってあげましたよ、本人に!
私に目隠しをして、目を見せないようにした挙句、薬を塗るとか言って手足を拘束された私の体をイヤらしい目つきをしながらベタベタと触って本当に気持ちが悪い。思い出しただけでも死にたいわ。まったく。これだから田舎育ちの男は嫌なのよ。」
「貴様――――――――――――――――!」
アリスが話しを終えた途端、自分の命の恩人のアギトをバカにされた事が許せなかったティファは、目が血走り今にもアリスを殺そうかと言わんばかりに剣を抜き、飛び掛かろうとしていたティファをエリスが止める。
「落ち着きなさいティファ。」
「放してお姉ちゃん!こいつ・・・こいつだけは何が何でも殺す!許さない・・・・・絶対に許さない・・・・アギトをバカにする奴は、たとえこの国の第3王女であろうと許さない!」
「だから、少しは落ち着きなさいティファ。」
エリスは、全身で殺気を放ち、ティファを落ち着かせる。そして、その殺気はアリスにも向けられていた。
「な、何なのよ・・・・・・あなた達。さっきから何を言っているのよ。アギトって誰よ!?私はワタルって言うクズ冒険者の事を聞きに来ただけなのに。」
「まだ言うか!このクソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
「はぁ、誰かティファを押さえて。これじゃ、話しが進まないわ。はぁ。せめてユイがこの場に居てくれたら助かったのに。」
すると、近くに居た天使の宴のメンバーがティファを押さえて一言、
「失礼ですがエリス様、もしここにユイ様やネロ様が居たら、そこの第3王女の首は今頃なかったところですよ。ここに居たのが、ティファ様だけで良かったと考えるべきです。」
「それもそうね。んで、アリスさん。そのコートを脱いでくれるかしら。」
「え?これは、その・・・・・・。」
「聞こえなかったかしら?私は、お願いです服を脱いでください。そう言っているの。」
「わ、わかりました。」
渋々エリスの言われた通りにするアリス。そんなアリスの姿を見た天使の宴のメンバーは無言になる。
「ねぇ、アリスさん?あなた、自分の体をちゃんと見たことある?」
「あ、あるわよ。酷いやけどを負って、もう一生街中を歩けない顔にもなってしまったわ。」
「そう。それで、この回復軟膏はどれぐらい塗っていたの?」
「ワタルの言われた通り、ここ4日毎日塗っていたわよ。それが何の関係があるの?」
「いいわ。教えてあげる。ティファも手を出さないでよ。男性陣は部屋から出ていき、誰もこの部屋には通さないで。いいわね。」
「「「はい」」」
男達はすぐに部屋から出ていき、女性陣だけが部屋に残った。
「さ、アリスさん。その包帯を取ってみてください。」
「え?嫌よ?貴方まで、私を見世物にしようって言うの?」
「そんなことはしないわ。ですから、取ってみてください。」
「嫌よ!絶対にいや!もう、あんな姿見たくない。」
「しょうがないわね。誰か、アリスさんを押さえて。」
「「「はい」」」
「嫌、嫌よ!放して!お願いだから放してよ!何でも言う事聞くから放してよ。」
アリスは目を閉じながら下を向き大粒の涙を流す。
「さ、ティファ、この子の包帯を取りなさい。」
「何で私がこんな奴の?」
「あなたが信じたアギトさんでしょ。きっとそう言う事よ」
「わかったわよ。アギトに免じてやってあげるわよ!こんな奴本当だったら触りたくもないのに。」
ブツブツ言いながら、アリスの顔から包帯を取っていくティファ。そしてアリスは大きな悲鳴をあげる。
「嫌っ――――――――――――――――――――――。」
「全くうるさいわね!少しは静かにしたらどう?」
「嫌っ!止めて、取らないで!お願いします。お願いします。何でも言う事聞きますから。ワタルにもちゃんとお礼を言うから。これ以上、私に生き地獄を与えないで。」
アリスは、足の力が抜けその場に座り込む。
「さ、アリスさん、目の前に大きな鏡を用意したは。その鏡で、ワタルって人がした事を目に焼き付けなさい。」
「嫌ッ!絶対に嫌っ!見たくない、見たくない、見たくない。」
「仕方ないわね。じゃ、選びなさい。ここで自分の体を見ないで私に殺されるか、自分の姿をみてこれからも生きるかどうか。」
「殺してよ!見るくらいなら、いっそう死んだ方がマシよ!あなたにはわからないわよ、私の痛みが。恋もしたかったのに、恋人も出来ずに、こんな姿にされてしまった私の痛みなんか、あなた達にはわからないわよ!」
「なら、尚更見るべきね。今のあなたの姿を。私は、今の綺麗なあなたなら恋だって出来ると思うわよ?」
「え!?何を言っているの?私は、全身火傷だらけのおんな・・・・・・・・。うそ。」
アリスは、目を開けて自分の姿確認した。そこには、全身火傷だらけのアリスは居なく、そこに居たのは火傷を負う前の元の姿のアリスが居た。
「な、何これ・・・・・・。何で火傷の痕が全く無いのよ。」
「これがあなたの言うワタルってこの力なの。」
「嘘よ・・・。こんなの嘘よ。何かの間違いよ!もう、痕は消えないってお医者様にも言われたのに。どうして・・」
「嘘でも、間違いでもないわ。そしてね、あなたの言ってるそのワタルって子はね、本当はアギトって言うの。」
「アギト・・・・?」
「えぇ、この世界に転生してきた勇者アギト。」
「勇者アギト。」
「あの子はね、この世界に魔王を倒すため別世界から来たの。元の世界では、難病にかかり寝たきりの生活で、ただ生きていくことに必死だったのよ。
彼は言っていたわ、この世界に来て苦しんでいる人を1人でも多く助けて、魔王を倒し世界を救って元の世界に必ず戻るって。そして、苦しんでるアリスさんを助けたの。あの方は優しいから・・・・。」
「そ、そんな・・・・・。だったら私はなんてことを彼に言ってしまったの。とても許されることは無いことを・・・私はどうしたら・・・どうしたらいいの・・・・?」
「顔が再びグチャグチャになるまで土下座して私のアギトに謝りなさい。それで、アギトは許しても私は絶対にあなたの事は許さないけどね。」
「あなたはいったい・・・。」
「私?私はアギトの将来の嫁になる女よ!今は、アギトと共に魔王を倒すために剣の修行中!クラン【ブレイブハート】のサブリーダーでもあるわ(嘘)」
「クラン・・・・ブレイブハート・・・・。」
「そう!アギトが作った私達のクランよ!この世界で、1番大きくするの!そして、私達が魔王を倒す!それだけ!」
アリスは黙り考え込む。自分もどうにかしてブレイブハートに入れないだろうかと。しかし、その様子をみたティファは、
「言っておくけど、あなたは絶対に入れないわよ!アギトを侮辱した奴なんて、絶対にお断り!いい、よく聞きなさい!これから先、もう2度とアギトに関わらないで!もし、かかわったなら、今度こそ本当に殺すからね。」
「そうね、私からもお願いするわ。金輪際アギトには関わらないで。王族が絡むとなると、アギトも動きにくくなるから。」
「そ、そんな・・・・・。」
【天使の宴の門番2人】
2人とも、エリスを尊敬し憧れている。共に幼馴染でいつも一緒に居る。その為2人とも独身。職業は槍使いで冒険者ランクは2人もB。昔は冒険者をしていたが、エリスに憧れて少しでも近づきたく門番になる。天使の宴にはあえて所属していない。




